今から12年前
ストレイテナーは1度だけ、幕張メッセでワンマンを行ったことがある

当時のテナーはというとMステやポップジャムに出演したこともあってか勢いにのっており、「LINEAR」はアルバム初のオリコンTOP10入り
その勢いで幕張メッセ公演に臨んだのだが、結果はというと、後にKANA-BOONやBLUE ENCOUNTが味わった9-11ホールが完全に埋まらず当日券が出る事態
その後、テナーは武道館ワンマン(普通なら武道館→幕張メッセなのにテナーはなぜか逆だった)を2度に渡って成功するも、幕張メッセのことは忘れられなかったのだろうか
12年の時を経て、いざリベンジに挑む

客席はアリーナスタンディングが中央にあるサブステージを挟んで、2つに大きく別れている仕様
Bブロックになってしまうと、ステージがやや見えにくくなるのが難点だが、中央にはサブステージがあるので、その時見やすいのがせめてもの救いか
なおこのサブステージ、ライブ前は大勢がBUMP OF CHICKENのはずかし島(要はアコースティックライブ用に設けられた小型ステージ)だと予想していたが、蓋を開けてみたら我々の予想を覆すものだった

定刻から5分過ぎた辺りでゆっくり暗転
お馴染みの「Mlps Rock and Roll」が流れ始めるが、いつもと違うのはテナーのメンバーを1人1人映像と共に紹介したこと
そのためイントロをループさせる特別仕様となっているのだが、その映像のなかにはかつての幕張メッセワンマンのものが
そこにはシンペイがステージにダイブしたり、機材をぶっ壊す場面も見られ、後にひなっちに突っ込まれることに

そんな長い映像紹介を経て、メンバー(OJは襟足を金に染めている)が登場するが、準備を終えるとホリエがパワーコードを鳴らし始める
その時は誰もが「?」だったが、シンペイ、ひなっち、OJと1人ずつプレイしていくとその「?」は徐々に確信へ代わり、

「幕張メッセのバーサーカーに捧ぐ!!」

とシンペイが叫び度肝を抜く「BERSERKER TUNE」からスタート
これを受けて次々に突撃するフロントエリア
これでじっとしている方が無理な話

準備運動を終えると、続けて不穏な緑の照明が会場を照らす「The World Record」、早くも天井に準備されたミラーボールを回転させると思わせて回さない「Alternative Dancer」とテナーのダンスサイド
この2曲でイベントホールは完全にライブハウスとなるわけだが、「The World Record」はやはり四つ打ち感は少なくなっているし、「Alternative Dancer」はひなっちの手数が増え、サビになると一気に倍速
特にひなっちのベースはOJのギターソロを飲み込んでしまうほどの存在感

「ずっと今日のことを考えていました。今日を終わらせに来ました…まだ始まったばかりだけど(笑)。今日が最後のつもりです。そして明日、またライブがしたくなるようなライブをします。」

とホリエが挨拶代わりに告げると、MCの最中から流れていた同期を足掛かりに「DAY TO DAY」で滑空

ひなっちのベースが力強く牽引する「タイムリープ」で時の流れを封じ込めれば、その流れは「Man-like Creatures」ですかさず解放
しかもそれを再現するように前半は緑の照明、後半は因果から解放されたかのごとくカラフルに
この流れはBayhallで見たときと変化してないが、この照明演出は前回なかったものなので、今後も活用して欲しい所存

ホリエが鍵盤に移ると近年はどうしても「シンクロ」を思い浮かべしてしまうが、この日は「Lighting」
それもバックには武道館公演の際使用された映像が10年ぶりに使用される最初の武道館(「Nexus」のツアーファイナル)に参加された方ならたまらないもの(通常の「Lighting」のPVからメンバーを取り除いたもの)
ホリエ、シンペイ、OJによる合唱はやがて眩しいようで優しい雷を巻き起こすが、ここから「Braver」、「SAD AND BEAUTIFUL WORLD」と鍵盤曲を連打
それも「Braver」はレーザー演出つきとアリーナらしい仕様である

この「Braver」ではイントロではホリエ、間奏ではOJがクラップを煽るが、今考えてみればこの始まり方はqueenの「we will rock you」へのオマージュとも取れる
この曲がリリースされたのは昨年の夏
だから決して狙ったものではないが、ボヘミアンラブソディもヒットしているし、何かの勘違いでこの曲に手を出してくれないかなと思ってしまう(特にホークスの川島慶三。「クラップして欲しい」という理由でキングギドラの「公開処刑」を登場曲にしている)

加えて、

「朱く焼けた世界を青が闇に染めて」

を演出で顕現させたあとでは、「SAD AND BEAUTIFUL WORLD」もより深い意味を持つ

そんな美しい流れから一転「冬の太陽」、「TRAIN」のエモい流れでは冬の寒さを打ち消し、熱さに昇華していくのだが、バックでは映像は使わずメンバーのシルエットを投影
以前、フジファブリックが「陽炎」を演奏する際に用いた演出であるが、切なさと激しさが混合するこれらの曲にこの演出は良く似合う
なお前回「TRAIN」を聞いた際、間奏でOJがコーラスを行っていたがそれは今回も
かつて封印されていたコーラスパートの復活はもうないと思っていただけに驚きである

「TRAIN」を終えるとメンバーが楽器を置いて移動開始(サブステージがあったので誰もが予想していたが)
その転換中、「VANISH」のプロトタイプが流れ、スクリーンにはthe telephonesが出演したことで話題を呼んだ同曲のPVが映し出されるのだが、どよめきが起こったのはサブステージにはアコースティック用の機材ではなく、ミニマムと形容してバンドセットが用意されたから
そこにホリエ達が到着すると、シンペイの合図を皮切りにそのまま「VANISH」に突入するまさかの展開へ(しかもミラーボールがここからサブステージ終了までずっと回転)
ちなみにこのセットを作った理由について、

ホリエ「俺たちひねくれているから、ステージから縦に伸びる道(花道)あるじゃん?あれ作りたくなかった」
シンペイ「そのせいで一部の方(注釈付指定席)が犠牲になったけどね(笑)」

とのことだが、一度中央から自分たちのいるステージを見たかったのが大きな理由らしい
その代償として、音がなかなか掴みにくくなっていたが(シンペイ曰く、「0.9ほど遅れて聞こえる」らしい)

ステージ中央にいるということは、四方から見られている状況であり、「ふざけにくい」と嘆いていたが、

「つい数週間前、そこでCDJあったじゃん。その時に「ああ、もうすぐか…。」と思っていたし、「キャパ半分だし大丈夫だろ」と思っていたんだけど、当日になると緊張するっていう(笑)。でも今日は味方しかいませんからね!!」

とこの状況をホリエは歓迎
ひなっちやシンペイ(ここにくるのは「ラブライブ」のイベント以来と話すのがいかにも彼らしい)も最初は緊張しており、それが「DAY TO DAY」辺りで抜けたとのことだが、OJは

「まだ緊張してるよ!!」

とやはり弄られ役に
そんなOJは襟足を金に染めたことに触れたが、本当は白く染めたかったとのこと
しかしながら案の定、脱線してきたのでここで打ち止め

「まだまだ踊れるか!?」

とホリエが煽って「瞬きをしない猫」の性急なビートをシンペイが決めると、「KILLER TUNE[Natural Born Killer Tune Mix]」ではひなっちの間奏のベースソロがシンセベースを駆使したものに変化(エフェクターは最小限であったため、いつも使っている機材はセットされてなかった?)し、久々に「オイ!オイ!」の合いの手も起こると、音を切らさず入った「DSCGRPHY (DECADE DISCO MIX) 」では、終盤で銀テープが飛び散るこの祝福感
しかもこの2曲、初の武道館ワンマンでもレーザーが使用されている
10年前の演出をアップデートする
そんな進化も感じられた

メンバーがステージに戻ると、いつの間に4人に紛れ込んでいたのは秦基博
事前に発表されていたこの日の大きな目玉である

ホリエ「ビールがキンキンに冷えていた時期だったよね」
秦基博「この人、すぐ日本酒飲み出すんですよ(笑)」

とこの曲が夏に作られたことを明かすと、ホリエがやたら「冬の名曲」とパワーワードを繰り返し、

「ハードル上がってるじゃん!!」

と秦が突っ込むなかで遂に「灯り」を完全版で披露
秦の歌唱力の高さは言うまでもないが、ホリエがライブではキーを下げている箇所を秦が軽々歌っているのを見ると、この人の肺活量はどうなっているのかと思ってしまう
そう考えてしまうのは彼の名曲、「鱗」のアップテンポバージョンでさえ楽々歌いこなしてしまうから
この2曲を聞けただけでもこの日のチケット代を払った価値がある
でもこれで見納めは勿体ないので、JAPAN JAMでまた共演してくれないかな

その秦基博がお気に入りだと話した「Boyfriend」からはメロウなゾーンへ
ベストアルバムの人気投票で上位にランクインしたことから見事ベストアルバム入選を果たした「彩雲」を続けるが、「Behind The Scene」に収録されていたこの曲が定番になるとは予想もしてなかったし、当時の自分に「この曲、ベストに入るぞ」と聞かせたらどんな反応するをするのだろう(当時は「78-0」が定着するものだと予想していた)

そしていつまでも我々の心を掴み続ける「REMINDER」 
この曲が人気投票第1位であったことには長年、テナーの担当であるロッキンオン山崎洋一郎も驚いていたが、実はリクエスト制を導入していた2度目の武道館ワンマンでもこの曲は2位だった(1位は「SAD AND BEAUTIFUL WORLD」。この武道館ワンマンはほとんど演奏されてない曲を聞きたいという方が多く「ETERNAL」や「GUNSHIPRIDER」が上位入賞を果たしている。)
だからこの曲が1位であることにはなんら疑問は抱かない
むしろ未だにこんなに愛されているのかと感慨深くもある

「これまでの話はツアーでしたので、これからの話をしようと思いましたが、未来がどうなるかはわからない!!でも俺達はかっこいいと思った音楽をやっていく。これからもテナーはずっと4人です!!」

と力強く宣言し、これからのテナーを導くであろう「The Future Is Now(当ブログの2018年度推薦曲第1位でもある)」がレーザーと共にテナーの未来を明るく照らすとと、まさかの「原色」

「孤独はいつも味方だった」

というフレーズ、これが勤務中に流れてきて自分を救ったのはごく最近のことである
バンドと過ごした時間が長ければ長いほど、自分とバンドが交わった歴史がライブで甦る
アニバーサリーライブなら尚更だ

本編ラストはフェスでもお馴染みの「Melodic Storm」から「シーグラス」
でも、「Blow! The Melodic Storm」の合唱はフェスよりも大きいし、これはもはや祝福の合唱
そして「シーグラス」の美しさが余韻を引き寄せるのだった

アンコールでメンバーが戻ってくると、シンペイは昨年のワンマンでも触れていた法被を着用(FC限定で販売。この日身に付けている方もいた)

シンペイ「みんなのために着けてやったんだからな!!」
ひなっち「今日終わったらお役ごめんとかなしだよ。例えば町内会のイベントで使うとか(笑)」

と法被を軸にフリートークを実施しつつ、昔機材を破壊したり、ステージに突入していた頃のシンペイを弄ると、ホリエがファンに泣きそうになったと言われたことにひなっちが触れ、

「これからのテナーは泣かせることを目標にする」

と宣言するがそこから泣かせる映画を挙げていく流れとなり、

ひなっち:刑事物語2
シンペイ:インディペンデンス・デイ
ホリエ:千と千尋の神隠し
OJ:天空の城ラピュタ

と挙げていくが、2人がジブリ作品を挙げたため、ひなっちは「紅の豚」が好みと渋い回答
そこから再びシンペイの過去をいじろうとすると、

「もうやろうよ!!」

とOJストッパーが発動
アリーナ会場だろうが、緩いトークは歯止めがかからなかった

アンコールでやるイメージがあまりない「From Noon Till Dawn」で、

「今なら言える 「愛してるぜ みんな!!」」

とホリエが叫び、最後はOJのギターリフがリフレインしていく別れの歌「羊の群れは丘を登る」で終了

だが、あの曲をやらずに終わるわけがない
そう確信していたファンの手拍子に導かれるように再登場し、

「長時間お疲れ様です!!」

とホリエがファンを労うと感謝を込めてファンに向けた新曲「SPIRAL」を披露
ファンに向けて書いたとホリエは話したが、この曲、今すぐにリリースして欲しいと思うほどの名曲 
メロディーも素晴らしいし、すぐに何度もリピートしたいのだが、音源化は今日のライブが映像化されたあとになるのだろうか
配信リリースしても良いと思うんだけど
そして最後はこの曲がなければテナーは存在していないといっても過言ではない「ROCKSTEADY」
約3時間、28曲に渡る熱演はこれにて終演
ホリエは肉声で、

「ありがとうございました!!」

と叫び各方面にお辞儀をして退場
スクリーンにはこの日の公演が4月に映像化されることが発表された

レア曲はほとんどやらないと思っていたのは予想通り
ただ、サブステージで踊らせまくる構成には完全にやられた
こんな方法もあるのかと思いもしなかったから

こうした周年イベント、並びに記念碑的ライブではどうしても「過去の曲をやって」という声が多い
実際Spitzのアリーナツアーもindigo la End、BLUE ENCOUNTでさえそうした意見が出ていた
しかしテナーは前回の武道館以降の曲を中心にセットリストを組み上げた(それもセトリの半分を占めている)
こんなセトリを組めるのは間違いなくテナーだけ 
「今日で終わらせるつもりできた」というホリエの覚悟は間違いなく伝わっている

終盤、ホリエも言ってたがいつかは好きだった音楽から離れるときは来る
実際解散してしまったバンド、活動停止したミュージシャンの曲を聞くことは自身もほとんどない
でも今日の記憶は絶対に廃れない
それは今日ここに来た誰もがこの記憶を「REMINDER」のフレーズの如く伝えていくのだから 
自分がテナーを聞かなくなるは未来永劫ない
21st Century Rock Bandよ、これからもよろしく!!

セトリ
BERSERKER TUNE
The World Record
Alternative Dancer
DAY TO DAY
タイムリープ
Man-like Creatures
Lighting
Braver
SAD AND BEAUTIFUL WORLD
冬の太陽
TRAIN
VANISH
瞬きをしない猫
KILLER TUNE[Natural Born Killer Tune Mix]
DSCGRPHY (DECADE DISCO MIX) 
灯り w/ 秦基博
鱗 w/ 秦基博
Boyfriend
彩雲
REMINDER
The Future Is Now
原色
Melodic Storm
シーグラス
(Encore)
From Noon Till Dawn
羊の群れは丘を登る
(W Encore)
SPIRAL※新曲
ROCKSTEADY

そして来月、テナーの盟友THE BACK HORNが3度目の武道館に臨む 
テナーと違い、こちらは20周年の集大成といえるツアーファイナル 
既に窓枠公演に参加したがレア曲だらけだったし、どんなライブになるのか楽しみでしかない
それまで絶命してたまるか

Next Live is ... Official髭男dism @NHKホール(2019.1.24.)


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