CDJ2日目
昨日のOLDCODEXやLiSAでヘドバンし過ぎたこともあり、多少首が痛いが疲れはほとんど残っていない

・TOTALFAT[GALAXY STAGE](12:00〜)
GALAXY STAGEといえば山崎洋一郎の前説
その山崎氏が、

「先ほどTOTALFATに会ってきましたが、どうやら彼ら年を開けたようです(笑)昨日開けたみたいです(笑)」

と言い出して、笑わせるなかSEが流れてメンバーが登場すると、Joseが

「明けましておめでとうございます!!」

と新年になってないにも関わらず、新年の挨拶を始め、

「新年通り越して、夏になっちゃいました!!」

と語って「夏のトカゲ」からスタート
もうぶっ飛びすぎである(笑)

メロコアに原点回帰した新作「Conscious+Practice」からツービートの「Broken Bones」、浦和レッズ関連の番組のテーマソングとなった「Phoenix」で次々と左回りを誘発すると、「晴天」では、

「Leave your umbrella」

の大合唱
心のモヤモヤ雲も払っていく

だが、ただのメロコアでは終わらないのがTOTALFAT
近年の軸であったミクスチャー路線から培った「Delight」ではJoseがハンドマイクになる数年前では考えられない状況
KubotyがフライングVでなくなっているのも驚きだが、この数年で彼らはメロコアの域を抜け出したようだ

お待ちかねの「PARTY PARTY」で今年最後のばか騒ぎをすると、

「これトリじゃないよね?熱風が凄い」

とShunは驚き
山崎氏が「年明けている」と話したのは嘘ではなかった
お目覚めは勿論、モヤモヤも晴らし、熱さまで呼び起こしてしまったということだ

最後はこのバンドの代名詞である「Place to Try」だが、そもそもこの曲、元々はパンクロックをもっと世に広めるために作った曲
その役割はWANIMAや04 Limited Sazabysが担ったが、

「幾度となく君と 描いた夢は 今声となって 胸を刺す」

のようにこの曲はTOTALFATを支え続けている
気が付けばTOTALFATはこの曲に支えられていたのだ

Shunは序盤、

「先頭打者、TOTALFAT。先頭打者ホームラン飛ばします!!」

と宣言したが、その目論み通り見事な先頭打者アーチだった

セトリ
夏のトカゲ
Broken Bones
Phoenix
晴天
Delight
PARTY PARTY
ONE FOR THE DREAMS
Place to Try

・dustbox[COSMO STAGE](13:00〜)
会場限定シングルをリリースしている関係で、そのCDを入手してからCOSMO STAGEに向かわれた方が多いdustbox

その新譜に収録されている「Summer Again」と「Bitter Street」をリハで行ってから本編に移ると「Try My Luck」を筆頭に代表曲を連発していくが、この日は

「大きな声で応えて!!」

と音源の出だしを再現するように「Still Believing」、

「朝まで踊っていたいよね!!」

と「Dance Until Morning」を休むまもなく続けていくが、ロッキンとは違いCDJは30分しかない
それだけにひたすら曲をやることに集中している

邪魔するものを吹っ飛ばすように「Rise Above」を撃ち抜くと、今年は新曲を試す年であったことを明かし、JOJIもボーカルを務めた「Farley」を披露
非常に覚えやすい曲で定番化は間違いないだろう

ほぼ練習なしで「Here Comes A Miracle」をはじめ、文字通り奇跡を起こしてしまえば、いつもなら「Jupiter」→「Hurdle Race」の流れがこの日は逆に
実は会場限定シングルには「Jupiter」の再録ver.が収録されている
それもあって、「Jupiter」を最後にしたのかもしれない

30分で9曲やるのはメロコアバンドたる所以だが、COSMO STAGEはぎっしり満員だった
毎年出演してくれるのはありがたいけど、出来ることならまたGALAXY STAGEで見たいよな…

セトリ
Try My Luck
Riot
Still Believing
Dance Until Morning
Rise Above
Farley
Here Comes A Miracle
Hurdle Race
Jupiter

・め組[MOON STAGE](13:30〜)
このフェスは勿論、ジャパネクでも名を知られているめ組
先日の渋谷Jackに続けて出演

「め組の人」をSEにサポートを含む5人編成で登場すると、ボーカル菅原が

「め組、始めます〜!!」

とWANIMAに影響されたのかと突っ込みたくなる始め方で「Amenity」からスタートするが、菅原のポップセンスの高さはさよなら、また今度ね時代から全く衰えていない
ロッキンオン本誌でこのバンドは新譜がリリースされる度にインタビューが掲載されるが、それは「彼の才能を埋もれさせずにいたい…!!」という想いが強い
彼の出発点はRO69 Jackに優勝したからだし、優勝しなければ表舞台にすらいないのかもしれない
渋谷陽一が彼のライブを見たという報告もあるし、それだけこのバンドをブレイクさせてやりたいんだろう

菅原がハンドマイクに持ち替えた「悪魔の証明」ではメンバー1人1人がソロパートをプレイするが、特筆すべきはドラムの外山
ドラムソロを行いつつも途中でスティックを折り、すかさず持ち帰るというすご技を披露したのだ(楽器への想いが強い人からすれば反感を買うパフォーマンスだけど)
このパフォーマンスは否応なしに頭に刻まれるはず

「雨に唄えば」からインスパイアされた「500マイルメートル」で菅原が持ち味とするポップセンスを遺憾なく発揮すると、ここで重大発表
それは今日までサポートとしてめ組を支えてきた寺澤(Ba.)と外山が正式加入する嬉しいニュースだった

菅原達也はさよ今が活動停止(その後解散)、今年メンバーが2人離脱しても、立ち止まることなくバンドを続けてきた
そして今日再び5人となった
ここからめ組は再び転がり出す
我々に生きるエネルギーをより与えてくれるはずだ

そんな5人になっため組のラストナンバー、「ぼくらの匙加減」は、

「僕、彼女に浮気されてしまったんですけど、その原因は彼女が本当の恋をしてしまったからなんです。だから皆さん、恋人にはスーパーで買ってきたたこ焼きを油まみれで掴んでキスしてください!!」

と菅原の恋愛エピソードが元になっていたことが判明した
菅原は早々に離婚してしまったから音楽を始めたはず
だから彼が報われる日が来て欲しい
こっちも微力ながら力になるから

セトリ
Amenity
お化けだぞっておどかして
悪魔の証明
500マイルメートル
ぼくらの匙加減

・9mm Parabellum Bullet[GALAXY STAGE](14:10〜)
昨年のCDJで滝が復帰し、今年のライブから本格的に滝が合流した9mm
ライブを見るのは初のGALAXYとなった15/16以来

お馴染み「デジタル・ハードコア」をSEにHEREの武田を含む5人編成でメンバーが登場すると、そこには滝の姿も
滝が不在になった際の9mmのライブはちらっと見た程度
けれども滝がいるだけで自然と安心感が沸いてしまう

その滝は「新しい光」から全開
一時活動が制限されていたのが嘘のようにステージを駆け抜けている 

「Black Market Blues」では歌詞を

「幕張メッセに…たどり着いたぜ!!」 

に変更
新曲「カルマの花環」でスリリングな9mmを体感させると、

「次に10年前に制作した曲をやります」

と卓郎が話したのでレア曲でもやるのかなと思いきや、その正体は「21g」
久々に9mmらしい歌謡メタルだなあと思っていたが、まさか10年前からあった曲とは…
どうにで推薦曲ベスト20に入れてしまうわけだ(信じられないだろうが、筆者は中学1年の頃から9mmを知っている)

和彦がウッドベースに持ち替えて演奏する「キャンドルの灯を」を経て、来年のデビュー15周年に向けて新たな口火を切ることを宣誓する「The Revolutionary」で滝がギターを1回転させる大胆なプレイ
これには思わず声を上げてしまった

「21g」、「カルマの花環」と共に新曲としてリリースされた「キャリーオン」も演奏し、2018年の9mm活動史を知ってもらうと、最後は滝のライトハンド奏法が冴えまくる「ロング・グッドバイ」

そもそも昨年、滝の復帰ライブを見ようとCDJ3日目から参加予定だった
しかし無理が募り、前日に体調不良
CDJに1日でもフル参加するため当日幕張に行けない屈辱を味わった 
それから1年… 
滝が縦横無尽に暴れまわる姿を見れて本当によかった 
今更だけど滝さん、お帰り
貴方方は誇るべき大学の先輩です

セトリ
新しい光
Black Market Blues
カルマの花環
21g
キャンドルの灯を
The Revolutionary
キャリーオン
ハートに火をつけて
ロング・グッドバイ

・FOMARE[COSMO STAGE](15:00〜)
ここまで見てきた出演者はCDJに過去、参加経験があるもの
ならば彼らはどうだろうか
パンク界、期待の新星FOMARE初出演である

「冬の夜私がまた あなたを汚していた」

とこの時期に歌詞がピッタリな「Stay with me」からライブは始まるが、ボーカルのアマダは積極的に煽るなどとにかく熱い
ドラムセットのシンバルの高さ、アマダのスタンスから「My Hair is Badに似ている」と指摘する方も多い

ただ、FOMAREの方向性に近いのはMONGOL800
それもMONGOL800以上にツービートが多い
MONGOL800をアップデートした日本語ロック、それがFOMAREなのだ

先日PVが公開されたばかりのファストチューン「新しい歌」、

「夏が終われば  冬が恋しくなる」

という歌詞が毎年ロッキンに参加されてる方の気持ちを代弁してるように見える「風」を歌うと最新シングルから「Can't help myself」

決して幸福な曲ではないが、メロディーから香るのは雪の匂い
今年の冬を過ごすベストパートナーになってくれるはずだ

3人による合唱が美しい「夢から覚めても」、大きな歓声に招かれた「Lani」と名曲をひたすら演奏したが、最後の「タバコ」、

「僕のこの息が止まった頃 この歌は誰が歌うかな」

の衝撃
一見、軽いタイトルに見えてこのバンドえぐい歌詞を書いてくる
それは「libido」や「悲しきハッピーエンド」でも証明済み

既にTSUTAYA O-EASTを完売させるレベルとなっているが、WANIMAと04 Limited Sazabysに続けるか

セトリ
Stay with me
新しい歌
Can't help myself
夢から覚めても
Lani
タバコ

・SPYAIR[EARTH STAGE](15:45〜)
昨年からMETROCK、サマーソニックに出演するなど少しずつフェスに進出してきたSPYAIR
いよいよロッキンオン主催のフェスにも進出

開始早々、場内にサイレンが鳴り始めるとサポートメンバーを含む5人編成で登場し、「MILLION」のオープニングナンバー、「OVERLOAD」からスタート
シングルカットされている曲ではないため、レスポンスは少し物足りなさもある
だが、音圧は想像以上
それはサポートメンバーがいるのもあるが、ここまでラウドなサウンドだとは…

客席に襲いかかるように音像が迫る「現状ディストラクション」、「まさかこの曲が聞けるとは…!!」と思わず唸ってしまった「Last Moment」、「ハイキュー!!」初代主題歌である「イマジネーション」を続ける豪華なヒット曲構成
UVERworldは初出演時から攻撃的なセットリスト(とはいっても、あれは初めて見た方に最高のUVERworldを見せるために致し方ない部分もある)を見せたが、SPYAIRは初心者にも分かりやすい構成
初出演でどれだけ客を持っていけるかしっかり考えられたのだろう

とはいえ、IKEは一度バンドからの脱退を宣言してしまうほど喉の不調に苦しめられた男
だからか、1曲ごとに休んだり既存曲のキーを大幅に下げるなど、慎重に活動しているのが分かる一面も

だが、「サクラミツツキ」を皮切りにギアをあげ始めると、「ROCKIN' OUT」、「RAGE OF DUST」といった近年のシングルでは骨太なラウドロックを展開
IKEの歌唱力も100%の力が乗っかっている

代表曲の「サムライハート〜」では全員でタオル回しさせるパフォーマンス
キーが下がっているのはやはり残念だがハードなサウンドに寂しげな歌詞が載っているこの曲を聞けば、学生の頃を思い出す
以前、今の20代や30代はAqua Timezに支えられてきたと書いた
同じように10代、20代はSPYAIRと共に青春を過ごしてきたのである
だから彼らの曲を聞くと青春を思い出してしまうのだ

「HYDEさんにも、the HIATUSにも、[Alexandros]にも繋げようぜ!!」

とIKEが熱い言葉を交わし、

「いくつになっても夢があって それをただ誇らしく 自分がいればいい」

と「I Wanna Be...」で我々を鼓舞すると、最後はいつまでも繋がっていることを約束する「SINGING」

IKEは中盤、

「CDJという素晴らしいフェスがあることを知っていて、横目で見ていました」

と語った
SPYAIRは実績だけ見れば充分成功しているバンド
ヒット曲も多いし、アリーナでワンマンできる規模にまでバンドは広がった

しかしそれでも満たされてなかった
彼らは兼ねてから東京ドームでワンマンをしたいと宣言している
夢へ近づくためにも、より知ってもらうために近年は少しずつフェスに出るようにしたのだろう

最初の客入りを見て「これはGALAXYでも良かった気が…」と感じたが、終盤にはほぼ埋まっていた
徐々に巻き込んでいくさまは流石2010年代を代表するバンド

セトリ
OVERLOAD
現状ディストラクション
Last Moment
イマジネーション
サクラミツツキ
ROCKIN' OUT
RAGE OF DUST
サムライハート(Some Like It Hot!!)
I Wanna Be...
SINGING

・The BONEZ[COSMO STAGE](17:00〜)
「今日、9歳の娘が来ています!!9ヶ月になる長男も生まれました!!パパ頑張らないとな〜!!」

と微笑ましい報告からTHE BONEZのステージ
最新作「WOKE」から跳び跳ねたくなる「SUNTOWN」でスタートするが、早くもJESSEはステージから飛び出してしまう(モニターにJESSEが映らなくなった) 
JESSEが所属するRIZEはロッキンオン主催のフェスでは出禁になってしまっているため、今や出演できるのはTHE BONEZ
だからこのフェスではダイブやモッシュを煽ることはしない
けれども客席付近まで突入してしまった
これには「大丈夫かな…?」と不安になってしまう

ステージに戻り、RIZEに通じるラウドサウンドをみせる「Rude Boy」、打ち込みが曲を彩る「LIFE」と「WOKE」から次々に演奏すると、

「今年はどんな年だった?1年の漢字が「災」と聞いて神社のおじいちゃんが皆が共感する漢字を選ぶのがいかに大変か、わかった。」

と話し、自身も所属する東北ライブハウス大作戦、日本各地で起こった災害、更には現在話題になっている沖縄問題にも目を逸らさず触れ、

「今年で終わらせたいこともある。でも続けなればならないこともある。だから、年を跨ぐ瞬間もしがみついていけ!!」

と対話せずに強行姿勢を崩さない政府を批判するように見える言動、並びに我々にエールを送り、ここに来た客と盟友、そして今会えない方に捧ぐ「Friends」を届けると、

「ここにいる仲間達に最高のビール奢らせてくれ!!」

と最後は「Thread & Needle」で祝福の合唱
この時ステージ後方にある照明は回転するように点滅していた
苦しみや悲しみ、怒り
そういった負の感情を祝福へ転換するように

ライブはやはり見ごたえがあった
ただ来年も出られるか、それが気がかりなところである

セトリ 
SUNTOWN
Rude Boy
LIFE
Friends
Thread & Needle

・MUCC[COSMO STAGE](18:00〜)
このフェスにもすっかり馴染んできた印象があるMUCC
今年はトリ前という大事なポジションを任された

ロッキンでは全員メイクを整えていたが、この日はほとんどメイクを行っていないリラックスモード
そういえばTHE BACK HORN(ボーカル将司と地元が同じなので仲が良い)とのツーマンも同じスタンスだった

しかし演奏を始めれば空気は一瞬で変わり、エレクトロ要素を取り込んだ「ENDER ENDER(PVにガチャピンとムックが出演した)」から一気にヘドバンの嵐
更に重厚な「G.G.」で跳躍させていき、完全にMUCCのステージへと生まれ変わる 

だが逹瑯が、

「客席降りていい?え、出禁になる?TOSHI-LOWさんも…降りてない?」

と一歩間違えれば出禁になりかねない行動を試みようとしたため、当然ざわつく客席(MUCCは出演できるフェスがそう多くない上に、ロッキンは地元なのでそこに出られる権利を失ったら痛すぎる)
なんとか踏みとどまって、デモ音源が配信されている「自己嫌悪」を行うが、ミヤが随所に台詞を挟むので全く曲に集中できない(笑)
ただ、ライブで演奏するようになったということは音源化が近いということ
来年リリースされるアルバムでようやく音源化されるのだろうか

「危なかった、危なかった!!飛び降りなくて良かった!!だって嫌だもん、出禁になるの!!」

と逹瑯自身も踏みとどまったことに安堵
その上でCOSMO STAGEのトリ前をやらせてもらったことに感謝すると、

「裏でも色んな仲間と会ってきて、1人に「4曲目お願いします」と頼んできました」

とコラボを匂わせると、ROTTENGRAFFTYからNOBUYAが登場
たたでさえ凶悪な「蘭鋳」が更に牙を尖らせるスペシャルバージョンとなり、ヘドバンもより凶暴に
この曲で見られるバンギャのヘドバンはいつ見ても凄い

そして最後は壮大な「生と死と君」で締めくくったが、これだけジャンルを横断しながら生き残っている彼らには尊敬の言葉しかでない
V系はどうしても敬遠されてしまう存在ではあるが、MUCCを見ると「カッコいいバンドにジャンルなんて関係ない」と改めて思う

セトリ
ENDER ENDER
G.G.
自己嫌悪
蘭鋳 feat. NOBUYA(ROTTENGRAFFTY)
生と死と君


・LAMP IN TERREN[MOON STAGE](18:30〜)
本来ならこの時間は規制が起こるであろうくるりに備えて、COSMO STAGEに残る予定だった
だがボーカル松本が「俺ら見に来た方がいい!!」とリプを送ってきたこと、「The Naked Blues」があまりにも良かったので、急遽テレンを見ることに

MUCCをギリギリまで見ていたため、到着すると「地球儀」を始めようとしているところ
だが、一音鳴らされただけで「え?」と思った

もう風格が違いすぎる
数年前に見たとき、彼らはまだ自信が持ててなかったのかライブも安定しているとは言えなかった
それが序盤から気迫を感じるようになった
ボーカル松本のポリープが原因で活動停止を余儀なくされた
これがバンドを根底から買えたのだろう
前回見たときとバンドは見違えるように進化している

王道でありながらもこれまでのテレンとは明らかに何が変化したことを感じさせる「オーバーフロー」、

「俺は恥ずべき裸の王様」

と自虐する度肝を抜く歌い出しからはじまる「New Clothes」と新作の曲はこれまでと格が違う
前作の「Fantasia」はバンドの迷いが明白に見られ、このバンドがやる必要のない曲にまで手を出していた
本来このバンドはGRAPEVINEのような音楽性を志していたはずだ
それが急にBUMP OF CHICKENみたいになった
その瞬間、「もう駄目だ」と思った
でもそれは間違いだった
「The Naked Blues」はテレンは再生、いや覚醒したのだ

過去の歌唱を全て塗り替える気迫の入った演奏で「innocence」を歌い上げると、

「6年目でようやくどうすればいいか分かりました。自分が好きになれない人もいると思う。そういう人は音楽聞いて。これから大きなステージに連れていくから。約束します。」 

と松本が決意表明
そして最後の「BABY STEP」
かつてこのバンドは「孤独の救世主」と称されたこともある
あのときの光はまだまだ微かなもので、今にも消えてしまいそうな光だった
でも今ならきっと救える
壮大な闇すらも
フレデリック、THE ORAL CIGARETTESといったMASH A&Rのオーディション組には大きく遅れを取ってしまったが、まだまだ取り返せる
テレンの逆襲はここからはじまる

セトリ
地球儀
オーバーフロー
New Clothes
innocence
BABY STEP

・くるり[COSMO STAGE](19:00〜)
しかしテレンを見た結果、くるりは案の定入場規制がかかり、「その線は水平線」は音漏れを頼りに聞くこと
それにしてもくるりがこのステージに出演することは違和感しかないが

ステージがステージなのでいつもの大所帯編成もかなり窮屈
だがこの編成で聞く「琥珀色の街、上海蟹の空」は何度聞いても格別
ファンファンはコーラスとして存在感を発揮しているし、美しいメロディーも健在
2年前に発表されたこの曲の驚きは決して消えることない

しかし驚いたのはなんとここで「Tokyo OP」をやってきたこと
この曲、春のツアーで行っていた「東京オリンピック」が曲名を変更したものであるが、一種競技の始まりからクライマックス、そして表彰
その全てをこの1曲で見事表現している
それをまさかフェスで聞けるとは思わなかったが案の定、初見には付いていけず次々と退場
直後に「ソングライン」をやったのでその流れは尚加速

変な曲として最近のくるりの代表曲となりつつある「Liberty & Gravity」は「これを超える変な曲を作れるバンドは現れるのだろうか?」と最近思ったりもするが、ファンファンとサポートの松本の2人がトランペットパートを交互に弾くアレンジは生でしか体感できないもの
合いの手の反応はワンマン以上に悪かったが

「よいお年を」

と岸田が告げて、最後に演奏したのは「ロックンロール」
くるりほどフェスで空気を読まないバンドはいないが、それは今日も変わらない
しかし裏を返せばこれほどファンにたまらないセットリストをやってくれるバンドもいない
自分はファンだから贔屓目になってしまうが、ライブはとても良かった

セトリ
その線は水平線
琥珀色の街、上海蟹の朝
Tokyo OP
ソングライン
Liberty & Gravity
ロックンロール

・フジファブリック[GALAXY STAGE](19:45〜)
EARTH STAGEでは幕張メッセの付近にあるQVCマリンでワンマンを行った[Alexandros]がライブを行っている時間
その裏、GALAXY STAGEのトリを務めるのは来年大阪城ホールワンマンを控えたフジファブリックである

この日のドラムは先日のFC限定ライブに続き玉田豊夢
SEもなく、メンバー登場がするといきなり「若者のすべて」からスタート
世間でのフジの代表曲は今や「銀河」ではなく、この「若者のすべて」
つまり今のフジにとっては切り札のようなもの
それを最初に持ってくる
これには恐れ入ってしまった

メンバーのソロパートがフェスでも定番となりつつある「虹」では金澤が鍵盤の上に登り、

「幕張ー!!」

と叫び、山総、加藤と繋いだあと、玉田のソロパートの間に2人が楽器を入れ替えるスムーズな動きはこの日も
直後にリリースされた「電光石火」の合いの手はほとんどないものの、多くの拳が上がっているだけに完全に定着したといっていい

来年バンドが15周年を迎えること、アルバムがリリース(ここで山総が噛み、金澤がズコーとなる(笑))されること、更にツアーを回ることを報告すると、アルバムから先行配信されている「東京」を演奏

アルバムからの新曲は正直「恋するパスタ」でも「破顔」でも良かった
でもアルバムの中で特にインパクトがあるのはこの「東京」だし、サイケと歌謡曲の融合を聞いたらもう忘れられなくなる
山総が先日のFC限定ライブでも話していた通り、ギターを弾きまくっているが個人的には早く歌詞が見たい

フジの象徴とも言える「銀河」が文字通りGALAXY STAGEを高速で駆け抜け、金澤が山総、加藤と共に弦楽器を弾く「SUPER!!」の間奏は微笑ましいものがあるが、

「君を忘れはしないよ」

がこの日は特に響く

何故ならフジは2009年のCDJを決して忘れられることができないから(このCDJの前に志村正彦が亡くなり、当日は演奏予定曲の映像を流して出演扱いにした)

「あの時、ステージの袖で見ていて。未だに思い出すんですよね。あの日のことを。だから志村くんのことを後世に伝えていきたい。そしてバンドも続けていきます。」

と山総が改めて決意
だからこの日の「手紙」は今まで一番エモかった

「さよならさえも言えずに時は過ぎるけど」

がまさにこの瞬間、重なったから
時の流れは決して止まることはない
でも志村正彦の残した音楽は今後も生きていく
絶対に志村さんの音楽を忘れるもんか

しかし、これで終わらず

「このままだと悲しいままなので」

と急遽「星降る夜になったら」を追加

WOWOWで以前放送されたフジのフェスヒストリーで使われたCDJ09/10の映像がこの「星降る〜」
あの日、現地でいた方には

「昨日の夢がなんか 続いてるみたい」

な光景
でもあの時と違って、そこにいるのは映像ではない生のフジ
この「星降る〜」はこの日最大のハイライトとなった

セトリ
若者のすべて
電光石火
東京
銀河
SUPER!!
手紙
星降る夜になったら

2日目もあっという間
ベストアクトは覚醒したテレンだけど、ハイライトは最後の「星降る夜になったら」以外あり得ない

Next Live is... CDJ18/19 〜Day3〜 @幕張メッセ(2018.12.30.)