タイトル:「YES
アーティスト:BRADIO

昨年リリースした「FREEDOM」はファンクに馴染みがない音楽リスナーにも届くように、非常にポップで聞きやすいアルバムにしたBRADIO
その後ZEPP Tokyoを完売させるまでになりましたが、今年に入りドラマーが脱退
このアルバムは3人体勢初のアルバムです

さて、このアルバムはこれまでの作品と異なりメジャーレーベルからのリリース
そうなると、前作以上にポップになりそうな予感がしますよね?
ところがどっこい、このアルバムはポップになるどころか逆にコアな作品になっています(笑)
メンバーがインタビューでこの作品をラーメンに例えてましたが、そのたとえに乗っかるのであれば塩ラーメン、いや濃厚味噌ラーメンです(笑)

なので今回の作品はどれも濃い曲ばかり
加えて、今回はホーンなども打ち込みではなく実際に奏者に来てもらって製作したとのこと
そのためサウンドも迫力があり、コーラス隊の合唱が最初に目に入る「きっと遠く キミともっと遠く」、サンバも盛り込んだ「Boom! Boom!ヘブン」といった曲も聞き応え満点というわけです

これに官能な雰囲気も醸し出す「Sparkling Night」、ザ・ラテンな「Shout To The Top」といった変化球っぽい曲もありますが、やはり基本はファンク
特に「Funky Kitchen」や「Feel All Right」はファンク成分増し増し
余程自信がないとこの曲は作られないかと

でもこうした派手、あるいはファンキーな曲が並ぶ一方で歌詞に暗さがあるのもミソ

「明日が来るとは限らない」

と「Boom! Boom!ヘブン」で歌えば、

「信じるものはいつか救われるって 救われた試しがないぜ」

と「Shout To The Top」でも

今回のレコーディング、ボーカルの真行寺は作詞が難航したため、別録りしたことを明かしています
当然孤独
その状況がこの歌詞を呼び起こしたのかもしれません
明るい影には暗さもある
このバランスは絶妙です

奇妙なリズムで踊らせる「スキャット・ビート」、陽性な「Sexy Lover」、どこか情熱的な「INAZUMAジャケット」、そしてスラップベースが印象的な「人生はSHOW TIME」とどこをとっても濃厚なアルバム
メジャーに移籍すると、どうしてもポップなアルバムを作りがち
そんななかでこれだけ濃厚なファンキーなアルバムを製作したとなると、次回作は更に濃厚なものになると考えられます
前作も傑作でしたが今作も傑作
メジャーシーンで活躍する数少ないファンクバンド
次回作も期待です