かつては伝説と言われ、Hi-STANDARDが復活した2011以降は不定期で開催されているAIR JAM
今回は第3回(2000年)以来となるZOZOマリンスタジアムでの開催となった

前回までと異なり今回は1ステージ制
転換時間を考えての処置らしいが、それでも1ステージ辺りの持ち時間は35分程度と思われた
しかしこの転換時間の短さが徐々に響いてくるようになる

・BRAHMAN(12:00〜)
入場に時間がかかったため、会場到着時既にお馴染みのSEと共にオープニング映像(ツアーで使用されたものと同じ)が流れていたBRAHMAN
既にRONZI達がスタンバイしているなかで、TOSHI-LOWが最後に現れ、歓声を浴びると挨拶代わりと言わんばかりの「SEE OFF」で早くもダイバー続出
ステージは横に広いこともあって、TOSHI-LOWはステージの袖から袖へ動きまくり

そのまま音を欠くことなく「BEYOND THE MOUNTAIN」で大きな手拍子を起こすと、

「愛しい90年代に別れを告げ、今の時代を生きていくために‼AIR JAM2018、1回表、BRAHMAN始めます‼」

とTOSHI-LOWが宣言し、KOHKIが咆哮する「賽の河原」、メンバー全員が声を掛け合う「雷同」と近年の曲を次々に連打
過去と現在のキラーチューンを照らし合わせるかのように続けた形に

SLANGが出演していることもあり、「守破離」では、

「北海道からAIR JAMにはるばる来てくれました‼」

とTOSHI-LOWが紹介してKOが登場
容姿から威圧感はバリバリだが、そのままどっしりと歩いていくのだから、存在感は更に増す
90秒しかないとはいえ、物凄い迫力であった

KOHKIのギターから「今夜」が始まるのは誰の目にも明らかであったが、突然沸き立つ歓声
それもそのはず、細美武士が予告なしで登場したのである
TOSHI-LOWとは兄弟のような関係であり、盟友
たった1曲のためとはいえ、こうして登場してくれるからTOSHI-LOWとの絆の深さを感じさせられたが、あの地震が起こったからこそ、

「宝箱かくした あの街に行こう」

がより響いた

細美と熱い抱擁を交わすと、「Answer for...」でダイバーが次々と転がっていくなかでTOSHI-LOWが客席に突入
「警醒」ではいつものようにダイバーがTOSHI-LOWに襲いかかるが、この日はステージ前方からTOSHI-LOW側に向かうダイバーが続出し、スタンド席から見るとダイバーが逆走する珍しい光景に(笑)(これにスパイダーマンっぽいダイバーまで現れたから更に笑えた)

しかしそんな笑いが一変するのは福島第1原発の光景がスクリーンに映し出される「鼎の問」
既にあの大地震からは5年以上経過している
それでもこの曲をやるのはあの光景を絶対に風化させてなるものかという彼らの強い意思があるのだろう
先日の大地震に対して、「原発を再稼働させておけば…」なんて意見もあったようだが、そんな意見は絶対に受け入れられない

「前々回はトリ前、前回は中盤、今回は最初、次は…押し出し?」

と出番がどんどん前になっていることをTOSHI-LOWが弄ると「これが最後のAIR JAMになるかもしれない」と話し、

「2012年、福島でやったAIR JAM。そこで歯が折れたって話と泣いたんだけど、その時のライブの感想を聞かれたらほとんどの人がMCって言って(笑)。それで歯医者さんが映像を見えたら、「TOSHI-LOWさん、感動しました‼」って言ってきて、「歌とMCどっち?」って聞いたら、「MCです‼」と言われて(笑)。「特にインプラントの部分に感動しました。ですが、TOSHI-LOWさん、あなたの前歯はインプラントではありません‼ただの差し歯です‼」前歯が差し歯であることが判明しました(笑)。これがAIR JAMの秘密です。もう未練はございません(笑)」

とTOSHI-LOWに纏わるAIR JAMの秘密で爆笑の嵐
本人がインプラントと思っていたのだから尚更だろう

「活動停止している人達が羨ましいときもあった。特にあの3人組…。でもありがとう、Hi-STANDARD‼」

とTOSHI-LOWはHi-STANDARDに感謝を述べるが、

「こちらこそありがとな‼」

とまさかの難ちゃん登場(笑)
確かにHi-STANDARD再結成の原動力はTOSHI-LOWが大きい
2011年のAIR JAM開催を強く推したのは何を隠そう、TOSHI-LOW
横山健と電話で喧嘩になり、TOSHI-LOWがいた居酒屋に横山が殴り込む事態になったのだが、その時に早めのアクションを進言したのがTOSHI-LOW
その進言もあって、AIR JAM2011が開催
Hi-STANDARDが復活したのだ
Hi-STANDARD復活にはTOSHI-LOWなしでは語れない
だから難ちゃんはTOSHI-LOWに感謝したのだ

「明日からはただのパンクバンドに戻ります。またライブで会いましょう。」

とTOSHI-LOWが再会を約束した上でラストの「真善美」が始まるが、この時2000年のAIR JAMからこの日のAIR JAMにたどり着くまでの経緯が映像で流れていった
これは「愛しい90年代に別れを告げ、今の時代を生きていくこと」を意味したものである
最後は勿論マイクを手放したが、BRAHMANはどこに行っても心に刻まれるライブをしてくれる
それが「圧倒的なパワー」を持ってる所以なのかもしれない

セトリ
SEE OFF
BEYOND THE MOUNTAIN
賽の河原
雷同
守破離 feat. KO
今夜 feat. 細美武士
Answer for...
警醒
鼎の問
真善美

・SiM(12:45〜)
しかしながら最初のBRAHMANで既にタイムテーブルが押し始め、SiMが始まったのは13時直前
タイムテーブルが若干不安になった状況での登場である

警報ブザーが襲来を告げるなかでまずSHOW-HATE達が姿を現し、次に現れたMAHが「Blah Blah Blah」を象徴するフレーズを歌い出すも、

「AIR JAMそんなもんですか?もっと声出せよ‼」

と反応が薄いことに納得がいかず、もう1度歌わせてから本編へ

続く「T×H×C」では至るところに左回りを起こさせ、Hi-STANDARD目的で見に来たと思われる方を驚かせる
しかしながら自分のなかでは左回りの代表は「Faster than the clock」
最近こちらの曲を重視するのは何か理由があるのだろうか

「Set the free」でスカダンを踊らせたあとは、

「「AIR JAM、かかってこいやああああ‼」ってヘイスミ(HEY-SMITH)の猪狩が言ってました(笑)。言いませんよ、ハイスタの目の前でそんなこと」

とヘイスミの猪狩を弄り、

「横浜、福島、福岡、ZOZOマリンもとい千葉マリンスタジアムに帰還しました‼」

とAIR JAMへのリスペクトを込めてか、あえてZOZOマリンスタジアムを千葉マリンスタジアムと呼び、SHOW-HATEがシンセを弾く「GUNSHOTS」ではモンキーダンスで踊らせるわけだが、SiMのライブを見るのが始めてという方が多かったのか、多くの方が戸惑っていた様子
スタンド指定席からは笑いが起こっていた

MAHがハイトーンボイスを見せる一面もある「Amy」を聞かせると、

「ちょっと話していいですか?僕は昔から音楽をやろうと決めていたんですが、なかなか始められなくて。そしたら、中学校から帰宅すると姉(以前、DEAD POP FESTiVALでTOSHI-LOWが話していたBRAHMANが好きな姉だと思われる)がベースを持っていて、「これがベースか…!!でも弦が4本しかない…!!」って思ったんだけど、そしたら姉が「やりたいんだったらやるわ」ってベースを譲ってくれたの。それでその時、一緒に譲ってもらったCDが「MAKING THE ROAD」で、隅からすみまでコピーしたわけです。ただ僕が聞き始めた頃には、ハイスタは活動停止していて、生で見れなかった訳です。でも2011年にハイスタが復活して、そこで自分が好きな「Dear My Friend」をやってくれて泣くと。更に「The Gift」のツアーにも呼んでくれて、健さんが「まあくん、あの曲やるよ‼」って言って、「Dear My Friend」をやってくれて、また泣くと。今回のAIR JAMは18年ぶりの千葉マリン。特別なことをしたいなと思って、ベースを練習してきました‼」

とハイスタへの想いを口にし、なんとMAHがまさかのベース・ボーカルへ
この隙にSINはベースからギターへ持ち替え、ハイスタのバンドTシャツを着用

そして「Dear My Friend」のカバーを行おうとするものの、MAHがまさかのミス(笑)
すると袖で見ていた難ちゃんが、MAHにブーイング
だが、改めて行うと見事なカバー
ハイスタファンは勿論、ここに来た方全てを熱狂させた

「これまで色んなことを経験してきたけど、未だに夢を見させてもらってありがとうございます‼ここからはSiMの曲で‼」

とMAHが告げると、「KiLLiNG ME」からラストスパート

最後は「f.a.i.t.h」でウォールオブデスを巻き起こしたが、不完全燃焼気味だったメトロックと比較すると、MAHは最後も笑顔
それもハートマークを作ってステージを去っていった
こうしたライブをしてくれるなら、SiMをもっと見たい
9月のぴあフェス、SiMを見るか未だに悩んでいるけど

セトリ
Blah Blah Blah
T×H×C
Set the free
GUNSHOTS
Amy
Dear my friend(Hi-STANDARDのカバー)
KiLLiNG ME
f.a.i.t.h

・SLANG(13:30〜)
ここからの2組は事前に動員が不安視されていたアーティストである(特にこの時間帯はお昼時でもあるため)
まず1組目は北のハードコアの要であるSLANG
見るのは尽未来祭以来

SiMとSEが同じなのか、準備が出るとまたも警報ブザーが鳴り始め、メンバーが姿を表すが全身にタトゥーを入れたKOは相変わらずの威圧感
一見、畏敬してしまいそうだがこう見えて動物の愛護活動に積極的に動くなど優しい人柄の持ち主だ

いざ音を鳴らし始めると流石の轟音
20年近く活動を続けているだけあるが、彼らの音は塊を越えて最早ミサイル
BRAHMANはハードコアの中に美しいメロディー、(ラウドバンドではあるが)SiMはレゲエ、シンセを盛り込むことによってキャッチーさを生んでいる
だが、SLANGはそんなことはしない
己の信じる音楽で20年以上歩み続けてきた

しかしながらこれまでのアーティストと違い、客席は全く埋まっていない
それはお昼時と言うのもあるが、彼らの認知度は低い
だからこんな悲惨な光景を生んでしまったのだろう

「空いている席は北海道人の席だから」
「まさか休憩時間と思ってないだろうな?」

とKOは自虐していたが、それでも心境はかなり苦しかったと思う
だが、そんな弱さは見せてられない

それは彼らは北海道出身のバンド
今回のAIR JAMも出演見送りになる事態になりかかっていたのを仲間がどうにかして幕張までの経路を確保してくれたらしい
だからこそライブで北海道を勇気づけたかったのだろう

時に客にマイクを託しながら、

「下手くそ‼」

と罵声を浴びせながらも、拳を交わす彼なりの愛を見せつつ、以前のAIR JAMはボーカルにパートチェンジしたばかりの出演であったこと、bloodthirsty butchersが始まった途端にガラガラになってしまったという現場を知るものだからこそ、言えるAIR JAM事件簿を話し、

「北海道に支援くださってありがとうございます。今度は北海道でAIR JAMやろうぜ‼北海道なめんなよ‼」

と感謝しつつ叫び、最後は「何もしないお前に何がわかる 何もしないお前の何が変わる」を叩きつけて終了
多くの方はこの時間、「知らないし休むか」といった姿勢で休憩していた
でもせっかくのフェス、しかもハイスタがこうして呼んでくれたのに見ないのは本当に勿体ない
かっこよかったよ、SLANG

・KOHH(14:15〜)
SLANGはハードコアなので、このフェスの客層とは一致している
だが、KOHHは今回唯一のラッパーである
そんな彼がどれだけアウェイなのかはいとも容易く想像できるだろう(強いて例を挙げるならBRAHMANがアニサマでライブをするようなもの)

最初にDJがメロウなトラックを流し、雰囲気を掌握したところでKOHHが登場
アーティストイメージとは異なり、サングラスは着用していない

基本的には不穏なエレクトロにリリックをゆっくり載せていくスタイル
SKY-HIのように高速ラップを見せるわけではないし、R-指定のようにフリースタイルを、KREVAのように確実に韻を踏みにいく訳ではない
だが彼のリリックは重い、重いのだ
そんなラップがゆっくり耳に染み込んでいく

後半、次のアーティストがホルモンということで一気に集客が増えたがそれは多くのアーティストが彼らを目撃したことを意味する
この日の出演者では最も傷跡を残したのは恐らく彼だろう

セトリ
Die Young
Living Legend
Dirt Boys
It G Ma
Family
Drug
Mind Trippin'
Hate Me

・マキシマム ザ ホルモン(15:00〜)
この時点で既に30分近く時間が押している
そんななかでホルモンが前半ラストとして降臨(タイムテーブルが押しすぎてもはや正確なタイムテーブルが把握できない)

そんな状況ではあるが、あのSEが鳴り響くとやはり怒号の大歓声が起こり、「恋のメガラバ」が始まってしまえばそんな杞憂も一瞬で吹っ飛ばしてしまう
それでも若干苦笑いあり
あのホルモンですら完全にはホームではない状況になっているとは…
なお歌詞は一部スクリーンに表示される仕様
場合によってはPVが映し出されるVIP設定

「3回目だから口紅をしてきた(笑)」

とナヲは3回目のAIR JAMということで気合いを入れて口紅セット
更に次女の誕生日でもあるらしいが、別に気合いを入れることがあるのでは?と思うのは自分だけだろうか

THE BLUE HEARTSのカバーから始まる「鬱くしき人々のうた」で美しいメロディーを響かせ、ドラゴンボールの映画挿入歌になったからだろうか、もはや隠す気すらなく「F」ではフリーザの映像を使用すると、パワハラ問題や暴力ネタをとダイスケはんギリギリを攻めたにいくが、

「我々は衝撃の瞬間を目にしました‼」

とTOSHI-LOWが熊本のフェスで鮪のように人を抱いている様子を公開

「KO兄さんも来ているのに見られたらアカンって‼」

とナヲが忠告すると、ステージ袖から上半身裸となったTOSHI-LOWと細美武士から登場
危うく封印道具でまたも封印されかけたが、この道具はどこから用意したのだろうか

今年のホルモンは昨年と比較すると有名曲中心になっているが、AIR JAMだからかまさかの「ロック番狂わせ(番狂わせ=相撲なのか、力士をイメージした映像)」、更に「糞ブレイキン脳ブレイキン・リリィー」という腹ペコに向けた曲もしっかりと
定番曲だけで固めず、こうした曲で勝負できるのもホルモンの強さ

もはやタイムテーブルが把握できないためか、「恋のおまじない」は1発本番とはいえ、いつもよりは丁寧に
そのまま「恋のスペルマ」へ行くと思いきや、ここでTOKIOの「LOVE YOU ONLY」をカバー
この曲を選んだ意図は分からない 
ホルモンの悪ふざけという可能性もある
だが、ひょっとするとこの曲を絶やさせないようという意思もあったかもしれない
何故これをやったのかは本当に謎

そして最後は「恋のスペルマ」だが、あの下ネタ全開の歌詞がスクリーンに映し出されたときはもはや笑うしかない
内容を知っていたとしても

それにしてもここまでは満員になることは一切なかったのに、ホルモンは今日初めてそれを成し遂げた
こんなに激しいロックをやっているのに老若男女に愛されるホルモン、恐るべし

セトリ
恋のメガラバ
鬱くしきOP〜月の爆撃機〜
鬱くしき人々のうた
F
ロック番狂わせ
糞ブレイキン脳ブレイキン·リリィー
LOVE YOU ONLY(TOKIOカバー)
恋のスペルマ

ここでアリーナスタンディング後方に設置された特設ステージでスケボーによるパフォーマンス
プロの集団が来ているだけあって、スキルは物凄いが、中にはオリンピック強化指定選手もいたという
彼らが2年後、オリンピックで飛躍するのだろうか

・HEY-SMITH(16:05〜)
ここから後半戦が始まるが、タイムテーブルの遅延は一行に収まる気配なし
帰路を考慮すると、進行を不安視する方も出てこざるを得ないだろう

それでもバンド専用の登場演出でヘイスミが登場すれば「Living in my skin」からは誰もが無我夢中で踊り出す
軽快なホーンサウンドが鳴り響けば、一瞬で誰もが楽しい気持ちになれる

派手なホーンサウンドが魅力である「Dandadan(PVではメンバーも派手な格好をしている)」、地元にいる友達に届くようにと歌われた「Don't worry my friend」と「Stop the war」収録曲を続けると、

「「AIR JAM関係ねえ‼」ってMAHが言ってました。ハイスタに喧嘩を売ることはしませんよ、俺たちは。」

とMAHに弄られた仕返しを行い、

猪狩「俺達の始まりはハイスタだもんね、満さん。」
満「そう、ハイスタの曲をホーン入れてコピーしてた。」
猪狩「ハイスタに憧れてバンド始めたけど、ハイスタと同じことはしたくないから、スリーピースじゃないし、ホーンもいる。ハイスタかかってこいや‼」

とバンドが生まれるまでの経緯を語りつつ、いつものように主催者へ宣戦布告

思わず拳を突き上げたくかる「2nd youth」、猪狩がパンクロックを聞くきっかけになったKNUCKLESの「Radio」のカバーで踊らせると、「Let it punk」はこのフェスにぴったり
猪狩は常々、バンドをやってほしいと口にしているがこの曲は雑誌のインタビューで「カバーしやすい曲」と評され、猪狩は喜んでいた
この日、親につれられてこのフェスに来たという子供も若干いる
もしかしたらこの曲がパンクロックに目覚めるきっかけになるかもしれない

マリンスタジアムに届く風邪を夏風へと変える「Summer Breeze」、膨大な数のヘドバンを起こす「we sing our song」とひたすら曲を連打しつつも、この日のハイライトは「I'M IN DREAM」
ハイスタと同じステージに立っている状況を夢見たものは数知れず
ハイスタが復活した2011以降なら尚更
そこで演奏される「I'M IN DREAM」
猪狩の心境はここに現れている
だから

「後2曲で終わりです…終わりたくない‼」

と夢の時間を終わらせたくない猪狩の気持ちは痛いほど分かる

その一方で、

「政治家が抑えつけていく時代になってしもうたけど、自分達を信じていこうな。「なんで自分が評価されないんや‼」ってときあるやろ。俺も同じや。俺だってそう思うことしょっちゅうあるから。でも勇気貰いたくなったときは俺達のライブに来てください。光を与えるから。ハイスタが俺達に光を与えたみたいに俺らが希望の光になるから‼」

と希望の光になることを宣言し、再会を約束する「Goodbye To Say Hello」、最後は「Endless Sorrow」の爆音パンクを鳴らして終了

ライブを見るのは久々だったが、日に日にヘイスミのライブは良いなあと思うようになっている
このバンドは社会風刺の曲が今日のバンドと比較すると、特に多い(だから「Stop the war」が生まれた、ハッピーなアルバムを作りたかったのに戦争への悲しみが止まらなくなってしまったから)
でもそれらを含みつつ、あくまで軽快に鳴らす
そんな軽快な曲達が未来を明るく照らしていく

セトリ
Living in my skin
Dandadan
Don't worry my friend
2nd youth
Radio
Let it punk
Summer Breeze
we sing our song
I'M IN DREAM
Goodbye To Say Hello
Endless Sorrow

・10-FEET(16:50〜)
ハイスタ主催のフェスだというのに、会場中に掲げられるのはあのスリーピースのタオル
「そして伝説へ」のSEと共に高まる高揚感
2010年代前半のパンクシーンの牽引役とはいえ、隙間が全く空いていないのは流石10-FEETといったところ

スリーピースらしからぬ重厚なミクスチャーを堪能させる「1 size FITS ALL」から始めると、ご当地ネタで歌詞を「米川」に変えた「RIVER」、

「ピザ食べてるか〜?」

と歌詞に会わせるように突然ピザの話題を出しつつも、左回りの嵐となった「1sec.」とどんどん飛ばす

しかしながらこの日の10-FEETはほとんどMCをしなかった
普段なら限られた時間でも笑いを取りに行くのが10-FEET
だが、それをほとんどやらずストイック
いつもと違う10-FEETを見ているよう

そうなったのは恐らく、10-FEET以降の出演者は巻くように運営から指示が出たのだろう(終演が21時であるため、押すことはまず許されない)そのため10-FEET以降、転換速度が格段に上がっていた

それでもTAKUMAは、

「今日はお前らと向き合いに来た」

とそんな雰囲気は一切感じさせず、名曲「太陽4号」を壮大に響かせ、「VIBES BY VIBES」、「その向こうへ」でダイバー続出
そしてあっという間に「ヒトリセカイ」で終わってしまったが、そもそも10-FEETは曲全てが魅力的であるから、MCを無理に行う必要はない
それでも我々にもっと楽しんで欲しいから愉快なMCを行っているのだ

「ハイスタが居なければ、俺らはいません‼」

とハイスタへのリスペクトも忘れなかったが、今やシーンの顔となっているWANIMAが出てくるまでシーンからパンクの火を保ち続けてこれたのは彼らのお陰
ヤバいTシャツ屋さんのように今後は10-FEETの影響を受けたバンドが必ず出てくる

パンクロックをハイスタから次の世代へ
今後のAIR JAMから10-FEETがラインナップ漏れすることは絶対にない

セトリ
1 size FITS ALL
RIVER
1sec.
太陽4号
VIBES BY VIBES
その向こうへ
ヒトリセカイ

・The Birthday(17:35〜)
前述通り、あっという間に転換が行われ、すぐに始まったThe Birthday

SEが流れるなか、チバの姿が目に映ると大歓声
危惧されていた動員もそこまで悲惨なことにはなっていないが、これはハイスタを聞きつつ、thee michelle gun elephantを聞いて育った方が多いからだろうか

「とんでもない歌が 鳴り響く予感がする」

というこれで上がれなかったからいつ上がるのか?という「くそったれの世界」からが始まると、ここまでの出演者と比べるとアンサンブルは段違い
そりゃチバがかなりのキャリアの持ち主だというのもある
だが、安定感がここまで随所から伝わってきたのはこの日の出演者ではいない
大ベテランの貫禄、ここにあり

続いて最新アルバム「NO MAD」から「1977」に繋げるが、何故かチバの声が聞こえにくい
「くそったれの世界」では良く響いていたため、チバの声に問題はない
どうやらマイクにトラブルが生じているらしい
グルーヴの調子は良いだけに声が風に流れてしまうこのアクシデントは勿体なかった

「まさかAIR JAMに出られるなんて‼ハイスタありがとう‼」

とあのチバが発したことには驚いたが、マイクトラブルを処理すると、やはりチバは絶好調
ハンドマイクに持ち変えた「24時」では、ヒライのベースが牽引するなかで、チバはハーモニカを手に濃厚なセッション
このセッションにかなりの時間を費やしていたが、このセッションが本当に至福
ハーモニカもここまで輝けるのか‼と感心してしまった

ジャジーな作風の「Red Eye」もハンドマイクで歌い上げれば、

「お前ら、歌えるか?」

と煽り、名曲「涙がこぼれそう」の美しいメロディーがスタジアム中に響き渡る

「24時」で時間を使いすぎたためか、早くもラストは「なぜか今日は」

「鼻唄 空にとけた」
「鼻唄 空に消えた」

のように沈みゆくシンプルなギターロック
でもアウェイな環境の中でも、しっかりと心を届け昇華していく
見るのは今回が初めてだったが、やっぱりロックはかっこいいわ‼

セトリ
くそったれの世界
1977
24時
Red Eye
涙がこぼれそう
なぜか今日は

・04 Limited Sazabys(18:20〜)
ハイスタの前、重要なスロットルを担うことになったのはフォーリミ
GENも驚くように、まさかの大抜擢となった

タイムテーブルが押していることから、あっという間に転換を終え、「knife」をリハがてら行うと、捌けることなくそのままステージに残り、「monolith」で一気にダイバーを飛躍させていく

既に空は真っ暗
なのでこの時間帯は照明も映え始めているが、薄暗い緑の照明を高速で突き抜けるかのような「fiction」、夜空を全力で爆走する「escape」とフォーリミを代表するキラーチューンが夜に演奏されることでより輝いている
夜の野外、それもスタジアム規模も似合うバンドになっていた

「AIR JAM2000のビデオは擦りきれるほど見ました‼比喩じゃありません‼トリ前を任されたということで参考にできるものがあるかなと、先日ここでELLEGARDENを見たのですが、何も得られませんでした。特別なことをやろうかなとも考えましたが、いつも通り自分達の曲をやっていきたいと思います‼」

とハイスタへの尊敬を語りながらも、あくまで普段通りのライブを行うことをGENが宣言
するとここで来月リリースされる新作「SOIL」から「Message」を披露
アルバムのオープニングだけあって、「Remember」のようなショートチューンだが、GENは久々に英語詞で歌ってるように聞こえた
恐らくライブの定番になる曲だろうが、これだけではまだアルバムの全体像は不明

ハイスタからバンドを受け継ぐようにシーンのヒーローになるべく、果敢に歌い上げる「My Hero」、RYU-TAとKOUHEIのカメラ目線のアクションが大きい「swim」では、タイトルの如くダイバーが空を遊泳
そのなかでやっと夜の野外で聞けた「midnight crusing」ではいつもの流星群の下りはなし
だが夜空のもとで聞ける「midnight crusing」はこれまでで最も美しい
夜空の下、流星群が降ってくる状況でこの曲を聞けたら尚最高だろうな

そんななかで今回、名古屋から出演しているバンドはフォーリミ(過去にはthe 原爆オナニーズなども出演していた)だけであることを明かし、ハイスタ並びにELLEGARDENへのリスペクトを口にした上で歌われたのは「Buster Call」
この曲といえば、かつて何度もリフトが発生しその度にGENが幾度なくリフトを制止してきた
だからこの日もリフトが起こらないか、少し危惧していたが、この日はそうならなかった
というよりはGENの意思が浸透してきたのだと思う
ダイブは衝動的に起こるものであって、飛びたいから飛ぶものではない
やはりダイブはこうでなくては

そして最後はこのバンドの代表曲として定着した「Squall」
フォーリミがハイスタのトリ前を担ったのは、ハイスタが自分達の意思を継いで欲しいと思ったからだろう
恐らくこれまでで一番、緊張していたと思う
それでもやり遂げ、パンクのバトンは名古屋の星に受け継がれた

セトリ
SC①knife
monolith
fiction
escape
message※新曲
My Hero
swim
midnight crusing
Buster Call
Squall

・Hi-STANDARD(19:15〜)
開始時刻は19:15だが、実際にライブが始まったのは20時前
かなりタイムテーブルが押してしまっているが、満を持してHi-STANDARDの登場である

開始前にハイスタを待ち構えるお客さんの素顔が次々と映し出されるなかで、遂にあの3人が姿を現すと、

「今日来れなかった人たちまで届くように‼」

と難ちゃんが告げて、本日2度目の「Dear My Friend」
この「Dear My Friend」は会場にいる方は勿論、ライブに来たくても来られなかった方のために歌っている
序盤からダイバー、大合唱が巻き起こっているが、ステージ右奥で見ていたSiMのMAHはまた泣いてしまったのだろうか

「その命は誰からのものだ?」

と全ての命を祝福する「The Gift」、

「恋してますか?夫婦の方、今でも恋してますか?」

と難ちゃんが問いかけた「Summer Of Love」と新旧のキラーチューンを続けるが、ハイスタのように復活したバンドはたいてい、

「新しい曲よりも過去の曲をやってくれ」

と懐古主義を求められる傾向がある(UNICORNだって、一時期新曲だらけだったためこういう声が後を断たなかったし、フジファブリックも「過去の曲だけやればいい」と言われた時期があった)
だがハイスタを求めていたファンは新旧両方受け入れている
曲の質もが全く落ちていないというのもあるが、何よりこの目でハイスタを見ることが出来る
その幸せが大きいのだろう

「写真撮影は禁止だけど…スマホを使用するのは問題ないよね?」

と難ちゃんがスマホを使用するように促すと、次々とスマホの光が客席から灯され、幻想的な光景に
そんな光景は「Starry Night」にうってつけ
決して流れ星が降り注ぐ訳ではない
だが、このスタジアムに現れた星々

「let me wish shooting star」

と歌いたくなるのは必然だ
先程、04 Limited Sazabysが演奏した「midnight crusing」といい、ZOZOマリンには2度流星群が降り注いだことに

難ちゃん「健くん、チンの話はダメだけど、チュウの話はいいよ。」
横山「難ちゃん、いつからそんなに話上手くなったんだべかー‼」

というやり取りからはご存知「MY FIRST KISS」
だが終盤、突如として04 Limited SazabysのGENが乱入
突然の事態に横山は驚いていた(難ちゃんとは打ち合わせ済み?)

「パンクロックは自由だよ〜」

と難ちゃんが説いた「My Heart Feels So Free(歌詞を一部変えた?)」で自由に楽しむ姿勢を伝授すると、横山がギターを1人弾き始めそこからまさかの「Pacific Sun」に突入
「The Gift」にはインスト曲としてこの曲が納められているが、まさかそれをここでこれをやるとは…
去年のツアーに行けなかった方は1曲でも多く曲を聞きたいはず
にも関わらず、この曲を選んだのはバンドの楽しさ、かっこよさを見せたかったのだろうか

「世代なんて関係ねえ‼俺たちは届けるだけ‼」

と難ちゃんが力強く叫んだ「All Generations」でハードでパンキッシュな今のハイスタをぶつけると、

「恥ずかしがらずにやる‼」

っと「Fighting Fist, Angry Soul」では何故かサビでファイティングポーズをずっとさせられることに
更にコミカルな「Teenagers Are All Assholes」では、

難ちゃん「アイラブユー、俺から健くんへ」
横山「アイラブユー、俺から恒ちゃんへ」
恒岡「アイラブユー、俺から難ちゃんへ」

と微笑ましいやり取りが
こんなやり取りが出来るのも再結成したから
活動停止直後のハイスタは険悪だったと聞くし、もう2度とハイスタはライブが出来ないのではと言われたほどだった
だからこうして3人でステージに立っているのはやはり奇跡だ

そんな3人の新しい船出として、オリコン1位の快挙を成し遂げた「ANOTHER STARTING LINE」の直前には、

「何度だってやり直していい‼」

と難ちゃんから力強いエール
誰になんと言われようが人生とは自分が決めるもの
恥ずかしがる必要はない

そんな熱狂の終幕は横山の「LOVIN' YOU」の弾き語りに導かれるように始まった「BRAND NEW SUNSET」
祝宴は終え、また新しい日々が始まる
難ちゃん、恒岡と1人ずつメンバーが去り、最後は横山が笑顔でステージを去っていった

しかしまだ終わるわけがない
あの曲たちをやってないのだから
その期待通り戻ってくると、遂にあの曲が鳴らされる
「STAY GOLD」だ
その瞬間、シンガロングは最高潮に高まった
歌っていないのを探すのが難しいほどだ
その上、気持ち良く転がっていくこの日、最多のダイバー
この光景を忘れることは決してないだろう

そこに

「ありったけのエネルギーを込めて製作した「The Gift」から1曲‼」

と横山のMCから「Free」

あなたも私も誰にも止められないというこのうた
ここに来た方には自信が持てないという方、怖くて何も動けない方、様々な方がいる
そんな方に向けて、ハイスタはメッセージを送ったのだ
動き出したあなたは無敵だという歌を

そして最後はあのナレーションから始まる「Mosh Under The Rainbow」
誰もが楽しそうにサークルを組ながら回る幾つもの光景
そしてそんななか、上空には花火が上がった
客席にはTOSHI-LOWと細美武士の姿
更にステージには出演者が一同に終結
こんな光景、忘れれるわけがない
ありがとう、Hi-STANDARD‼

セトリ
Dear My Friend
The Gift
Summer Of Love
Starry Night
MY FIRST KISS feat. GEN(04 Limited Sazabys)
My Heart Feels So Free
Pacific Sun
All Generations
Fighting Fist, Angry Soul
Teenagers Are All Assholes
ANOTHER STARTING LINE
LOVIN' YOU
BRAND NEW SUNSET
(Encore)
STAY GOLD
Free
Mosh Under The Rainbow

そして今回、BRAHMANをトップバッターに置いたのは若手からベテランに繋がるフェスの現状を打破するため 
確かに今日のフェスは出演者が時代にベテランになっていく傾向が強い(VIVA LA ROCKなんて特にそうだった)
だからこそ、あえて常識を壊しにいったのだ 

 「アメリカではベテランも若手も楽しくやってるよ‼」と難ちゃん話していた
この日、多くの音楽メディアも集まっているし、フェスの主催者も集まっているはず
それだけに、これが契機となってくれればいいのだが…

最初から最後まで全てのアーティストを見たが、 こんなに楽しそうにライブをしているフェスを見たのは初めて
みんなずっと笑顔だった

もし次やるなら北海道だろう
簡単ではないとと思うが、機会が奇跡的に舞い降りたら行くよ

Next Live is ... cinema staff × 夜の本気ダンス @SHIBUYA CLUB QUATRO(2018.9.11.)