ZEPP Tokyo2days、2日目
振替公演、追加公演はあるが名目上は今日がセミファイナルである
前日同様、いかにも若そうな女性による諸注意説明が開演前に行われ、会場BGMに少しずつムードを高むらせるなか、昨日より少し遅めに暗転
「Break Down The Clock」が流れ、メンバーが登場した後、
「準備出来てるか?かかってこいよ‼はじめるよー‼」
といつもの合図を田邊が掛けて「Waaaake!!!」、「LAST HERO」と序盤の流れは前日と変化なし
だが、「Waaaake!!!」の
「君と本気でぶつかり合いたいよ」
で江口がお客さんに向けて指を指したり、「LAST HERO」で辻村がベースをぶんまわすなど昨日よりテンションは高い
田邊が思わず「今までで1番気持ちいい‼」と叫んでしまうほど
「今日を特別な日にするために歌いに来ました。」
と田邊がここでライブをしにきた理由を明確にした上で、「VECTOR」のゾーンに入るわけだが、今回のツアー、演出はこの「VECTOR」の曲たちに集中
「RUN」ではステージ上空に設置された照明が走るかのように回りだし、「...FEEL?」では夜空の下でライブを見ているかのような気分に
04 Limited Sazabysが「midnight crushing」、SUPER BEAVERが「東京流星群」を行うとき、ミラーボールを回して流星群が降り注ぐかのような演出を行っているが、ブルエンは上空に星が存在するように見せかけ、野外でこの曲を聞いているかのように仕掛けた
重厚なラウドサウンドに強烈な歌詞を載せた「resistance」はこの日も重たさを全く感じさせなかったが、あまりに気持ちがいいのか
「早く次行きたい‼」
と注意事項を最小限にとどめ、「Survivor」では次々とダイバーが宙へ
前日は途中で中断した「ロストジンクス」はこの日中断することなく、むしろそこまでいくのか!?ってほど田邊がステージの端まで
「JUMP」で文字通りお客さんを跳び跳ねさせた後(当然この日も江口は跳ねながらタッピング)、「ハンプティダンプティ」でビートロックに載せて田邊がラップをするが、
「比べ合うよりもたたえ合おう」
「ディスり合うよりも支え合おう」
と社会を風刺するだけでなく、こうすればよいと主張しているのもこの曲
ただ批判するだけでなく、どうすればよいか
はっきり示す辺りは田邊らしい
この「ハンプティダンプティ」をやっている際、メンバーはヒップポップのように手を振っているのだが、江口は社交辞令のようにやっているのではと弄られ放題
またこのツアーはメンバーの家族が頻繁に来ており、この日は高村の姉が来ていたとのことだが、高村の家族は来る度に差し入れを提供するため、どんだけ来るのか話題に
その上で「VECTOR」については、
「フェスでフォーリミ(04 Limited Sazabys)のGENや、オーラル(THE ORAL CIGARETTES)の(山中)拓也に「どんだけ働くの?」と言われるんだけど、働かされているわけではございません。ただ音楽が好きで、曲を作っているんです。そのせいで苦しむこともあるけど。「VECTOR」は日本語で方向性を表します。あなたの方向性はありますか?」
と話し、リリースペースがなぜこれだけ早いのかも明らかに
確かにブルエンのリリースペースは早い
「VECTOR」も「THE END」からそこまで間を空けてないし、2016年はシングルを4枚もリリースしている
これだけペースが早いと会社から何か言われているのかとも思ってしまうが、そうではない
音楽を他のバンド以上に愛しているのだろう
昨年のレコーディング合宿で80曲近く作曲してしまうバンドだから
そんなバンドの最新作から行われた「coffee, sugar, instant love」について、自分の後ろにいた方は、
「この曲お洒落だよね〜。」
と話していたが、勿論これを意識したのではない
一時期、シーンはthe band apartのような様々なジャンルを融合させてはポップに昇華するバンドが多かったのである
KEYTALKも一時期、ライブで頻繁にthe band apartの「Eric.w」を使用するほど影響を受けていた
要はブルエンもバンアパの影響を受けていたということ
昨日は田邊がやらかした関係で「YOU」が1番のハイライトとなっていたが、本来1番印象に残るはずだったのは「虹」
それはこの曲で大きな演出が行われているというのもある
しかしながら、それ以上に平和への祈りが込められているから
最初は雨だった映像がやがて晴れるのも平和になって欲しいというバンドからの祈り
武器よりも楽器を持つ世の中になってほしいと願うのは誰だって同じだ
この直後に前日、田邊はやらかしたため、この日もやらかすんじゃないかと少しヒヤヒヤしたが、今回は問題なし
そこで田邊が
「あなたとあなたが愛した人の歌」
と話した通り「グッバイ。」は失恋をテーマにした歌
ただこの失恋ソングが世間でイメージされている失恋ソングと大きく違うのは失恋を受け入れていること
世間の失恋ソングは後悔、怨み…
とにかくマイナスなものだらけだ
それだけにこの曲の失恋を受け入れ、かつて愛した人をそっと応援する姿勢はある種理想
恋愛経験も失恋経験もない自分が失恋したら、毎日のようにこの曲を聞くようになるのだろうか
しかしながらこの日はブルエンは本当に調子が良い
ここまで全くグダることなく来れているから(普段ならMCがどこかでどんどん長くなる)
だからか、これまでのZEPP Tokyo公演で一番良いライブが出来ていること、前回のZEPP2daysは何も覚えていないことを明かし、
「ZEPP Tokyoは俺たちにとって神聖な場所なんだよ。ELLEGARDENが何度もここでライブやってきたから。まだチケットは取れてないし、細美さんに電話する勇気もない(笑)。東京に出てきた頃、チケットを取ろうとするも取れず、俺たちのホームである熊本B.9のチケットを全力で取りにきて、やっと見れたわけ。でここには、昔コンテストでライブしに来たことがあるんだよ。その時はまだ3人で、顔の下しか撮さない(パスピエみたいな感じ?)写真になっていて、その写真を取るために原宿をうろちょろとしていた。その時、辻村がサポートで入ってくれていたんだけど、俺達のグルーヴの悪口…(江口に「やっていることは間違っていない」と指摘)、グルーヴを正しい方向に持っていこうとしてくれて。その後、ここで行われたコンテストで優勝して、俺が辻村に「絶対大丈夫だから入ってくれ‼」と頼んで辻村が加入したわけ。だから辻村が加入したのはここ、ZEPP Tokyoなんですよ。その後暗黒時代に入ったけど(笑)。でもこうしてここでまたライブをやれているのはあなたのお陰です。だから後ろの方まで感謝を届けます‼」
とエルレの話を含みつつ、この会場でのエピソードを明かし、文字通りの感謝「THANKS」でダイバー続出
「NEVER ENDING STORY」、「DAY × DAY」といった定番曲で畳み掛ければ、「VS」では本当にバンドとお客さんがぶつかり合っているかのような熱量
その熱量に押されるかのごとく、ダイバーも空中へ
「超えていくんだろ?過去を振り返るな‼」
と田邊が激励した「コンパス」では、
「行くぞ 最高を越える旅へ」
と力強い歌詞が響く
すると田邊は、
「生き甲斐をくれてありがとう‼…何って思っている人もいるね。分かるやつはわかる。いや、笑うところじゃねーよ(笑)。さっき、ここで話したようにコンテストで優勝してメジャーデビューも決まっていた。でもメジャーの世界ってみんなが思っているよりも残酷で、マンガで描かれているのよりももっと辛いの。俺たちは音楽を生き甲斐に生きてきた。でもそれがここで奪われた。それから誰も信じられなくなった。でもいろんなやつが心の扉を開けに来たんだよ‼それが今の事務所(株式会社スリーハンドレットエンタテインメント)、今のレコード会社(キューンミュージック)、そしてあなたなんだよ‼だから俺らに歌わせてくれよ‼」
と前日以上に熱く語り、
「灯せよ 希望を 暗闇を溶かせ」
と絶望を打ち消すかのように「灯せ」を熱唱
そして、
「ありがとうございます。あなたがこうして勇気を出して、お金を落としてくれるから俺たちの生き甲斐になります。だったら俺たちはその生き甲斐を倍にして返すから。最後に。あのコンテストの後、ある大人は「ご苦労さん。あんたらについてくるやつはいないから。」と言いました。見ろよ、これだけの人がついてきてんだろ‼関係者の皆さん、見てください。これが幸せなバンド、BLUE ENCOUNTです‼」
と叫び、ラストの「コンパス」では、
「嫌われたっていい。あなたにしか出来ない泣き方、笑い方があるんだから」
と話し、
「血まみれになっていいから戦ってこい‼」
とエールを送った
すぐに物販隊長、高村による派手な物販紹介(突然「スキャットマン」を始める」でお客さんには大ウケ、しかしメンバーには爆笑を巻き起こすと、その物販紹介をロッキンでも行うようにメンバーから促されることに
その上で秋には新作を発表できるよう、曲を作りまくっていること、フェスに呼ばれまくっていることを前日に続けて報告し、「「77」」でモヤモヤを感じさせることなく踊らせると、
「答えは1つじゃないから」
とこの日は「ANSWER」も演奏
「強くなるには 弱さを知ろう」
という歌詞はこの日の田邊のMCと最もリンクしている
そして最後は強大な光を会場中に反映する「もっと光を」でダイバーが光を目掛けて転がって終了
写真撮影後には、秋には新作をリリースする予定であることを告知して去った
今回のセットリスト、今までと比較すると盛り上げ専用の曲(「LIVER」や「SUMMER DIVE」など)がほとんどない
MCも今までより少ない(それでも他のバンドよりは多い)し、純粋に新曲中心のセットリスト
今の彼らのベクトルがはっきり出たと言える
アルバムもこれまでにない要素だらけ
今のブルエンの状況を考えれば、挑戦的なものであったが、それでもオリコンTOP10
それもZEPP Tokyo2daysをこの状況で完売できたことは自信に繋がるはず
2015年以降に浮上したバンドの中で、このバンドは特に現実が思い通りに進まないことを実感している
それでも歩みを止めてはならない
エレファントカシマシが長い年月をかけて、紅白歌合戦に出演を決めたように、辞めることさえしなければ必ず何かが起こる
盟友のSUPER BEAVERがどん底から大逆転劇を起こしたように
田邊のメンタルは他のバンドマンと比べると弱い
それは本人も認めている
でもその弱さが多くの人々を救う光になってきた
自分も彼らの光に救われた人間の1人
だからここから盛り返せると信じる
「死ぬ気で行き」れば「最高を越える旅」は自ずとついてくる
セトリ
Waaaake!!!
LAST HERO
RUN
...FEEL?
résistance
Survivor
ロストジンクス
JUMP
ハンプティダンプティ
coffee, sugar, instant love
虹
グッバイ。
THANKS
NEVER ENDING STORY
DAY × DAY
VS
コンパス
灯せ
こたえ
(Encore)
「77」
ANSWER
もっと光を
ロッキン前のライブは終了
次のライブは毎年、伝説を生んでいるひたちなかだ
今年のロッキンはGRASSのトリの持ち時間が90分もある
つまりワンマンに行っているような感覚になれるのだ
90分もあればフェスでは聞けない曲も聞ける(特に10-FEET)
だから感動も更に倍増しそうだ
Next Live is ...ROCK IN JAPAN FES. 2018 @国営ひたち海浜公園(2018.8.4.)