昨年12月に行われたクアトロワンマンで来春にアルバムをリリースすることを告知していたSIX LOUNGE
予定されていたフルアルバムはミニアルバムとなったが、同時にメジャーデビューも発表され、ファンに最高の報告を行うことが出来た

そのアルバムのリリースツアーはツーマンツアーとなり、この日のLIQUIDROOMがファイナル
気になるツーマン相手はまさかのSUPER BEAVERである

チケットはソールドアウトしているが、会場にはチラチラとビーバーのTシャツを身に纏った方が
彼らはビーバー目的で来たのだろうか

・SUPER BEAVER
定刻にゆっくり暗転しいつものSEが流れると無論登場するのは柳沢(Gt.)、上杉(Ba.)、藤原(Dr.)からなる楽器隊
そこにいつもより化粧が濃い目の渋谷が登場すると、

「先輩や同年代の仲間は沢山いるけど、年下の仲間はあまりいない…。あなたと俺たち、どちらがSIX LOUNGEを愛しているか勝負だ‼」

と挑戦状を叩きつけ、「証明」、「青い春」とビーバーが得意とする一体感を重視する曲から始めるが、いつもと比較すると流石にコーラスは少なめ
これはワンマンや主催ライブではないから致し方ない

しかし序盤から

柳沢「本気見せろよ‼」
渋谷「そんなもんか‼」

と2人は煽りまくりで、少しずつではあるがコーラスも大きく

「年上の先輩や同期の仲間は多いけど、年下の仲間はあまりいないんだよなあ…。」

と先程同様、ビーバーの交遊関係について渋谷が話すが、

「後輩が来るってこと噛みつきにきたってことだろ‼返り討ちにしてやるよ‼」

と挑発すると、パンキッシュなサウンドと共に柳沢と上杉がSIX LOUNGEを挑発する仕草を見せながらビーバーの「正攻法」を見せつけ
ロックンロールが好きそうなSIX LOUNGEファンにも相性抜群な「irony」では、

「近い‼近い‼」

と柳沢が渋谷に接近しすぎて、歌いにくくなるところもあったもののロカビリーのリズムに載って誰もが踊る

アルバム「歓声前夜」の発売が間近に迫ったということもあって、新曲の「ラブソング」も演奏
タイトルだけ見ると純愛歌に見えるが、実際はビーバーからの願いが込められた歌

「幸せになりたいんだよなあ」

というストレートなフレーズが印象的だが、どんな境遇であれ、幸せになりたくない人なんているはずがない
絶望していても、本音は幸せになりたいのだ

「1年目のバンドと10年目のバンド、どっちも良いバンドと思うけど、1年目のバンドの方がかっこいい方が多い。続けるだけじゃ駄目だ‼意思を持ち続けなきゃ。」

と渋谷なりの考え方を赤裸々に述べると、

「SIX LOUNGEには売れて欲しいと思っている。けど、どうなるかは彼ら次第。良いと思えばみんなついてくるし、駄目だと思えば離れる。それがバンド。でも俺たちはSIX LOUNGEを信じている。」

と厳しい現実を告げつつ、SIX LOUNGEにエール

その直後にはビーバーの生き方を歌った「人として」を行うが、直前に渋谷は

「ちゃんとコミュニケーションを行おうとした結果、14年もかかってしまった。」

とも
恐らくこれは武道館にたどり着くまでの年月だと思われるが、ビーバーは一度メジャーレーベルに所属するも、解散寸前まで追い詰められ、仲間に支えられ、ここまで復活できた
そんな苦い経験があるからこそ、心配しているのだろう(勿論後輩のsumikaも)

あっという間のラストは「秘密」
やはり合唱は普段と比較すると小さい(サビの手拍子も反応していたのは恐らく普段からSUPER BEAVERを聞いている方)
それでも、

「SIX LOUNGEに届けるように‼」

と更なる合唱を促し、

「生意気なこと言っていいですか?次は俺たちのかっこいい後輩だ‼」

とSIX LOUNGEにバトンを託した

セトリ
証明
青い春
正攻法
irony
ラブソング※新曲
人として
秘密

・SIX LOUNGE
それから数十分余り
いつものカントリー調のSEが流れ、登場するのはこちらも容姿が変わることのない3人
ナガマツは以前と比べ、化粧が薄くなっているが

少し音を確かめてヤマグチが歌い始めるのは

「21時 店はガラガラで」

という「10号線」のフレーズ
この曲で始めるのは意外である(オープニングは「プラマイゼロ」のイメージ)
しかし、この曲が始まった時刻は20時を過ぎている
だからこの曲の物語は臨場感を増していた

「待っていた‼ずっと歌いたかった‼大分からやってきましたSIX LOUNGEです‼」

とヤマグチがハイテンションに叫ぶと「STARSHIP」では赤い照明が会場を照らし、リキッドルームは「真っ赤な宇宙船」へ
そのまま歌うのは無論、

「I LOVE YOU I LOVE YOU」

の合言葉
そのまま音を切らさず「ふたりでこのまま」ではナガマツが初期衝動の如くドラムを叩きまくり
今回からドラムセットに1枚シンバルが増えた影響か、破壊力は断然up

「向こうは俺たちを後輩の仲間って呼んでくれたけど、俺たちは先輩としか見ていない(笑)」

と本音を包み隠さず述べるヤマグチはいかにも恐いもの知らずの若者

しかしながら、ビーバーに煽られた通り、喰らい付いていく姿勢を全面に出すとリキッドルームの周囲を焼き付くすかのように火力に満ちた、正統派ロックンロール「ORANGE」と「夢うつつ」の収録曲が中心であるが、ビーバーに負けている気配は全くない
完全に互角である

一方、大いに盛り上がったのは「SHEENA」
オリジナルが収録されたCDは廃盤、会場限定のライブDVDを購入しなければ、耳にすることは出来なかったが、「夢うつつ」の特典DVDに収録されたことで聞くことは容易に
その結果、再評価されたのだろうか
この曲のメロディーをそろそろ越す曲も出て欲しいが

「まだまだやれるな…。」

と不穏なオーラを醸し出したヤマグチの言葉に応じるように、「LULU」でパンクさながらのツービートを決めれば、

「ステージに立てば先輩も後輩も関係ない‼俺たちが主役だ‼」

と闘志を剥き出しにし、「トラッシュ」ではやりたい放題(ラストではナガマツがスティックを上空に投げて見事キャッチ‼)

だが熱くなりすぎたのか、

「今日は蒸し暑いな…。涼しい曲やります。俺達も涼しくなりたいんで。」

と清涼感ある「SUMMER PIXY LADY」を
こうしたミドルテンポの曲を聞けるのは主催ライブのみ
このような曲をフェスなどで行えば、このバンドの見方もまた変わるのだが

「ねぇ、わたし大人になりたくない…」

と「メリールー」でいつまでも青春(前にも書いたがこのバンドの歌詞に出る「大人」とはバンドを辞めること)を続けたいことを歌うと、目を見て感謝できることは素晴らしいことと話しつつ、

「ライブをしたくて、ライブハウスで歌っている。」

と改めて自身のポリシーを主張
「売れたい」ではなく「ライブをしたい」という姿勢
それが彼らを突き動かしているのだ
だから渋谷は信用しているのだろう
自分達のように大人にとやかく言われて、音楽への愛情が消えてしまうことはないと

昨年のクアトロワンマンでも演奏された「夢うつつ」でこのバンドのスケールの高さ、並びにホールやアリーナでワンマンを行うであろう未来予想図を心に刻ませると、「俺のロックンロール」ではナガマツが、

「怖くはないぜ みんなひとりさ でも辛い時 ひとつになる」

と鼓舞し、まさかのダイバーが発生

そして最後はやはり「僕を撃て」
この曲を聞いたときの衝撃、ポカリと穴が空いていたガレージロックシーンの穴を完全に埋めたときの出来事は忘れやしない

「これまで数回リリースツアーして、全国回ってきたけど、今日の景色を見ると生きているって感じがします。」

とヤマグチは話していたが、これから更に大きな景色をこのバンドは見ることになる
気が付くと本編は50分もせずに終わっていた

少しして、アンコールで戻ってくると、

「今日でツアーファイナルだけど、明日移動日で、明後日札幌だから余韻に浸る時間もない(笑)。だから今日のことを忘れないでくれ‼俺も忘れないから‼」

とバンドのスケジュールを明かして、最後は「SWEET LITTLE SISTER」
ナガマツはまたも上空にスティックを投げてはキャッチ
演奏を終えると名残惜しさも見せずにステージを後に
本当にストイックな3人だ

去年のクアトロ、今回のリキッドは全て完売
となると次のツアーではいよいよ4桁クラスの会場でライブが見えてくる
ここを乗り切れるか、否かで彼らの未来は変わる

だが自分は彼らがアリーナまで行けると確信している
こんなにも馬鹿正直なロックンロールに心を奪われているのだから
その日はいつ来るか、まだわからない
だがそんな日が来ることを信じて、今日は

「じゃあね、バイバイ」

セトリ
10号線
STARSHIP
ふたりでこのまま
ZERO
ORANGE
SHEENA
LULU
トラッシュ
SUMMER PIXY LADY
メリールー
夢うつつ
俺のロックンロール
僕を撃て
(ENCORE)
SWEET LITTLE SISTER

Next Live is ... フジファブリック × GLIM SPANKY @ LIQUIDROOM(2018.6.22.)