メジャー契約打ちきり
普通のバンドであれば絶望的出来事である

世間ではインディーズ落ちは決してポジティブに見られることはなく、むしろ落ち目と見られる
実際、川谷絵音もかつて、

「落ち始めたらなかなか元々に戻すことができない」

と発言しており、アニメ主題歌を担ったバンドの多くが一発屋と称され、インディーズ落ち
そしてそのまま低迷し解散する
このシナリオが当たり前になっていた

だがそれを完全にぶっ壊したのがSUPER BEAVER
メジャー打ちきり、解散の危機を乗り越え、アニメ主題歌として起用された「らしさ」を皮切りに徐々に上昇
赤坂BLITZ、ZEPP DiverCity Tokyo、野音、ZEPP Tokyo2days
これらを全て完売させ、遂に日本武道館にたどり着いた
インディーズ落ちしたバンドが武道館でワンマンを行うという歴史的快挙を携えて

勤務終わりにすぐに会場へ向かうと、場内はセンターに巨大なLEDスクリーンにいつものバンドのロゴが
ただ座席がブルエン武道館とほとんど換わってない気がするのは偶然にしては出来すぎている
自分はこの日も耳栓を着用してライブを参加(詳しくは→)
だが、この耳栓を外す瞬間が訪れるとは思いもしなかった

定刻から少し遅れた頃に暗転、そこからカウントダウンが始まり、0になった瞬間完全に暗転すると、いつものSEが流れ柳沢を筆頭に1人ずつ登場するメンバー
渋谷が最後に登場すると、

「2018年4月30日、レペゼンジャパニーズミュージックフロム東京、ジャパン‼ライブハウスから日の丸のしたに参りました。まずは、お手を拝借。」

と述べて「美しい日」が始まるのだが、この時点で凄まじい手拍子
柳沢が煽る場面もその煽りは必要ないのでは?と思うほど、手拍子は耳栓を装着された耳にもしっかり
「証明」でも合唱は耳栓を突き抜け耳のなかに
最初からとんでもない手拍子と大合唱が起こっているのが分かるであろう

「レペゼンジャパニーズミュージックフロム東京、ジャパン‼日本武道館に参上‼SUPER BEAVERです。」

と改めて自己紹介した上で始めた「うるさい」は真っ赤なビジョンと赤い照明に照らされるなかで、「うるさい」という暴力的な合唱がぶつかり合うが、最期に赤字で

「味方なんだよ」

とモニターに表記されるのがポイント
どんな状況であっても「あなた」の味方でいる
これはそれを断言する大切な歌だ

いつもの言い回しから自己紹介を始めるが、

「ただの武道館には興味がない。あなたがいる武道館に用があるんだ‼」

と早くもエモい言葉を解き放てば当然、会場は大興奮
決して流行に乗らず、J-POPというど真ん中の道で勝負してきたことを「正攻法」で堂々と歌い上げれば、LEDが4つに分裂し、メンバー1人1人の姿をはっきりと映した「ファンファーレ」、渋谷が花道を自由に動き回って歌う「らしさ」と武道館らしい演出はあるものの、やっていることはいつもと変化なし
それは以前の赤坂BLITZで述べた、

「どんな会場でも、どんな持ち時間でもやることは変わらない」

を今も貫いているから
武道館という大舞台でもやることは同じ
「あなた」のために歌うということを今日もこのステージで体現している

「このままだと歌うことしかできないと思われますね。でも安心してください。楽器できますから。」

と渋谷が自信満々に述べたものの、手に掲げたのはタンバリン(笑)

「どうやってチューニングするの?」

など柳沢から突っ込みの餌食にされるなか、

「俺達もとうとう30になってしまいました。昔なら気にしていたものも今は「まあ、いっか」もなるようになりました。」

と年を取ってしまったことを語った上で、演奏したのは「赤を塗って」
JAPAN JAMで女王蜂のアヴちゃんと共演したことも記憶に新しいが、何故かLEDに映し出されたのは人が赤を塗って、紙を塗りつぶしていく様(笑)
確かに「赤を塗って」だが

「色々試したこともあったけど、上手く行ったときより上手くいかなった時の方が、上手く行ったときよりも良いと思う。」

と大きな挫折を経験しているビーバーの一員である渋谷だからこそ述べられる、説得力がある言葉を説いた上で、

「こんなに今日がときめいているのはなんでだ‼」

と導入にあたる「→」で叫び、「361°」ではいつもの「一寸先は闇〜」の下りを、

「今、ここにいるあなたのために歌っている‼」

とこのリアルタイムドキュメントを伝え、

「見たいのは来週でも来月でも、来年でもない‼明日を俺たちに預けてみな。」

とあくまで今を生きることに特化している姿勢を見せてから託した明日へは「歓びの明日に」

ここまではどの曲も最初にエモい導入や前置きがあったのだが、何も言わずに始まったのは「27」

「時間が解決してくれる もう その通りだと思う」

よろしく、日常を送る上で生じるトラブルは時間が経てば解決する
お互いに傷を付け合ったって溝は自然に塞がっているものだ
だがそれは、

「正しくは 生き続けている 自分で導いている 喜びを 楽しさを 過去すらも 変えるような出会いを」

しかり、結局は自分が導いたもの
何気なくとった行動が未来をごまんと変えさせているのだ
ビーバーの音楽は究極の対人コミュニケーションと常々称しているが、これはその象徴ではないだろうか

すると、元に戻っていたLEDが分裂
LEDが開くとそこにいたのはミオストリングスの面々
そんな彼らを招いて、「人として」が演奏されるが元々ストリングスが音源で導入されていたこの曲にストリングスが加われば当然、曲は重厚なものに
同時に曲の想いも強くなる
だから

「かっこよく生きていたいじゃないか」

の部分も力強い

ダサい生き方をしたい人間なんているわけがない
だが人は些細なことを契機に生きる執念を見失う
根性論を説く前にまずこの曲
これは究極の復活薬

渋谷がミオストリングスを紹介し、こういう機会だから呼びたかったと理由を話すが、その上で、

「1つ話したいことがあって…。武道館では到着点ではないと話したけど、到着点です。1つ1つのライブハウスを方坪にしていると思うなよ?1つ1つしっかりやってきたから14年もかかってしまった。だから到着点です。終着点ではありません。まだまだ行きますよ。」

と今回の武道館公演の趣旨を改めて説明
一部メディアではこの武道館は通過点と書かれている
だが、それを物議を噛ました可能性はなきにしもあらず(まあないだろうが…)
だからこの場(この日は生中継も行われていた)を借りてしっかり説明したかったのだろう
ビーバーが武道館を軽く見ているなんてことは絶対にない

その流れから演奏されたのは、まさかの「シアワセ」
生で聞くのは2年前のZEPP DiverCityワンマン以来だが、柳沢のギターからしててっきり「深呼吸」を演奏するものだと推測していた
なぜこれを今やったのか
それは大きな理由があったからだった

ミオストリングスに別れを告げ、「青い春」を筆頭にライブの定番曲が並ぶのだが、イントロから物凄い合唱が起こっていた「東京流星群」ではミラーボールが出現
しかもただ回り出すだけではなく、光輝き本当に流星群を到来させたのだ
プラネタリウムの如く輝いた武道館 
その輝きの名は「東京流星群」

その盛り上がりを維持したまま、「秘密」に向かおうとした際、渋谷がコールアンドレスポンスに物申し始め、

「バチバチとぶつかってこい‼」

と挑発

その時、自分は着用しているはずの耳栓を外し始めていた
「秘密」の大合唱が見たい
「東京流星群」が自分に変化をもたらしたのである

リスクを承知で耳栓を外した直後、耳に入ったのは武道館で過去最大じゃないかと思えるほどの大合唱
単刀直入に言えば美しい絶景だった
今後、ビーバーのライブで耳栓をする機会は減少するだろう
こんな美しい景色を見れたのなら

「夢物語だ。非現実的だ。そんなことを言われまくったバンドが今、武道館に立っています。メジャーから落ちたあと、さあどうするかと考えたとき、「小さな事務所に入って、インディーズのまま武道館に立とう」と決めました。その約束は今日叶いました。バンドは脆いもので、些細なことでなくなってしまいます。今日ここまで来れたのは支えてくれたスタッフのみんな、仲間、そして俺たちに賛同し、意思を持たせてくれたあなたのお陰です。」

となぜ武道館ワンマンをやったのか、そしてなぜここまで来れたのを説明しつつ、「あなた」に感謝を渋谷は述べ、更に、

「今日ここに来てあなたの父さん、母さん、兄弟、仲間へ。あなたがどう生きるかはあなた次第です。ですが、仲間との別れは必ず来ます。あなたの近くにいる方を大切にしましょう。伝えたいことはしっかり伝えましょう。」

とエールを送り、

「当たり前だと思ってないからな‼これからもよろしく‼」

とマイクを通さず、心に訴えて渾身の「ありがとう」、そして最後の「愛する」とビーバーなりの愛と感謝を全身全霊で伝えて本編は終了

「秘密」の合唱が揃いそうで揃わない、そんな状況でアンコールを待機していると、重大発表として6月にフルアルバムとして「歓声前夜」をリリースすることを発表
その収録曲には「シアワセ」の名前も
今日、武道館でこの曲を演奏したのはこの曲を再録するサインだったのである
メジャー時代の曲を再録するのは珍しいケースだが、これはひょっとすると「ささやかな」や「深呼吸」の復活を今後期待しても良いのか!?

合わせてツアーも発表されたが、東京は10月に豊洲2DAYS
更にファイナルはまさかのeggman
これについて渋谷は戻って早々、

「我々はライブハウスへ帰ります。大きいところでもやるからね。」

と今後の方針を簡単に説明
せっかくなので、メンバー1人1人にMCをさせたが、フライングでMCを始めた藤原は弄られることに

その上でMUSICAでも触れられていた新曲の1つ、「ラブソング」を初公開
ビーバーらしい曲とは恐らくこの曲であるが、

「幸せになって欲しい」

と誰よりも幸せを願う歌詞が印象的
ただのラブソングにならないのがいかにもビーバーらしい

「もう言い忘れたことはないな。」

と述べる渋谷だったが、なかなか言葉がでない
その姿は泣くのを必死にこらえているようだったが、

「泣くのは最後と決めているんだ。」

と踏ん張り、

「終わりは始まり」

がこの日を総括するのに相応しい「それでも世界が目を覚ますなら」から、素晴らしい繋がり故にか「素晴らしい世界」という意外な選曲でライブは終了
これでもかというくらい、金の紙が舞っていた

最後は、

「俺たちとあなたの新しいスタートを祈って」

と記念撮影するが、ここでも藤原は弄られ放題
ただZEPPの時とは違い、しっかり締まっていた

ライブで手拍子や合唱が起こるのは見慣れた風景だ
しかしながら最初から最後まで手拍子や合唱が起こるバンドはほとんどない
要するにビーバーは常に最高潮の状態で武道館ワンマンを行ったということ
これは歴史的快挙だ

渋谷は非常に意思が強い人間だ
渋谷を自分のことを凡人と認めているが、その分自分ルールが厳しく、なると決めたからには退路を断つ
意思が強い努力家なのである
その姿はNARUTOに出て来たロック・リーを連想させる部分もあるが、並々ならぬ努力の末、シーンを代表するボーカリストとなり、言葉を届けるカリスマとなった
ビーバーがこうして武道館ワンマンにたどり着くのは必然だった

「終着点ではない」

と渋谷が称するように、この武道館は1つの到着点で開始点である
レペゼンジャパニーズミュージック、並びに究極の対人コミュニケーションは更に拡大し続けるが、今日は本当に「素晴らしい日」だった

セトリ
美しい日
証明
うるさい
正攻法
ファンファーレ
らしさ
赤を塗って
→〜361°
歓びの明日に
27
人として w/ ミオストリングス
シアワセ w/ ミオストリングス
青い春
東京流星群
秘密
ありがとう
愛する
(Encore)
ラブソング※新曲
それでも世界が目を覚ますなら
素晴らしい世界

Next Live is ... 忘れらんねえよ @ ZEPP Tokyo(2018.5.1.)