タイトル:「Galaxy of the Tank-top」
アーティスト:ヤバいTシャツ屋さん
おそらく売れないバンドマンが1番嫉妬しているバンドでしょう
ダサいバンド名でふざけた曲ばかりなのになんで売れてるんだ‼と
まあ一見そう見えてしまうかもしれませんね
歌詞だけ見たらコミックバンドですし
前作なんか冒頭に訳のわからない寸劇を入れて大笑いしてしまいましたから(笑)
そんなヤバいTシャツ屋さんことヤバTの新作
今作は相変わらず歌詞にコミカル要素はあるものの前作から一変、正真正銘のパンクアルバムとなりました
既にPVが先行公開されていた「Tank-top in your heart」や先行シングルの「ヤバみ」はどんなにこのバンドが気に入らなくてもかっこいいと認めざるを得ないハードな曲
デスボイスを入れたり、英語で歌ってみたり試行錯誤はしてるものの、表面はやはりカッコいい
それがUSBを題材にしたとしても(「Universal Serial Bus」)、ジーニストを題材にしたとしても(「ベストジーニスト賞」)
カッコいい曲があれば当然踊れる曲も
ぶっ飛んだ歌詞が瞬く間になった「ハッピーウェディング前ソング」や、もうなんのことやら訳わからない「DANCE ON TANSU(というかタンスをタイトルにいれるバンドなんてヤバTくらいでは?)」、グルーヴを活かして踊らせる「眠いオブザイヤー受賞」などタイトルはともかく踊らせる曲もしっかりあり、バリエーションが幅広いことはここまで読めば聞いてなくてもわかるでしょう
ですがヤバTの世間のイメージはコミックバンド
コヤマもインタビューで「ちゃんと聞いてくれる方は評価してくれる」と離してましたが、聞いてない方には歌詞のせいでふざけたバンドとの偏見を持たれてしまっているのです
ただこれは違います
逆なんです
どんなに頑張ってもヤバTは自分達のことしか歌詞が書けないんです
同じカテゴリーで見られやすいキュウソネコカミのセイヤはタイアップが来たら、まず瞬時に浮かんだ歌詞を元に曲を製作すると話しており、その代表が「イキがいいのだ」なのですが、同じタイアップをもらっていたヤバTの曲(「とにかく噛む」)を見てください
コヤマの本音そのものです
「眠いオブザイヤー受賞」だってそう
ヤバTは急速に勢力を拡大しすぎた
その結果、出張した社員や環境が変化した社員のように疲労が蓄積してしまったのです
「羊を数えなくても眠れる」なんて余程疲労がたまってたんでしょうね…
ただ観点を変えれば身の回りにあるものを題材にした歌ではヤバTは強い
タンスにUSB、ジーニスト、ドローンと他のアーティストなら歌詞にできないものを武器にできますからね
そして絶対に聞いて欲しいのは「サークルバンドに光を」
コヤマがボケをし忘れたボケと話してますが、コヤマの本心、そして過去がここに詰められています
ラジオ曲で号泣したエピソードからこの曲が生まれたのですが、この曲を聞けばこのバンドが熱いバンドなんだと気づくでしょう
最後に肩幅が広い方が得するというよく分からない歌でアルバムが終わりますが(しかもストリングス付で)
フォーク要素もあれば、シーンから遠ざかろうとする音楽リスナーを皮肉る曲もあったり、10-FEETの「goes on」を意識した曲があったりともうてんこ盛り
でも1度聞いたらもう虜
ブレイクしたければこのアルバムを越えることを若手アーティストは求められます
まだライブを1度も見たことがないので年内に1度はライブを見たいですね
ちなみに彼らがよく口にする「Tank-top」
これ、実はパンクロックに語感が似ているから使っているもの
なので皆さん知らず知らずに「パンクロック‼」と叫んでいるわけです
こういったところは流石です
評価:★★★★★