今から18年前の1999年11月、21世紀を目前に控え世界が活気づくなか、日本ではあるバンドが横浜アリーナでワンマンライブを行っていた
そのライブでは今では絶対に見ることはできないあのコラボレーションが行われ、多いに沸いたという

あれから18年
第2章の幕開けを告げるアルバム「MAJESTIC」をリリースしたDragon Ashが同アルバムのツアーファイナルを行うのは18年ぶりの横浜アリーナ
デビュー20年目を記念した公演ではあるが、kjが「特別なことはしない」と既に言い切っているため、2014年に行われた日本武道館公演(「THE FACES」のツアーファイナル、その時のレポートはこちらだが今と比較するとライブレポートを書き始めた頃ということで非常に雑であることを理解した上で読んでいただきたい→https://ameblo.jp/serment-musicinlife/entry-11867033271.html)とほぼ同じ構成
なのでゲストやアリーナらしい演出があれば、ラッキーといったところである
Dragon Ashをワンマンで見るのはその武道館以来なので約3年半ぶり

横浜アリーナは普通、スタンディング方式の場合はAブロック、Bブロックを大きく配置し、CブロックとDブロックを半分ずつ配置する陣形を取るのだが、この日はいつもなら客席に当たる部分までスタンディングゾーン
そのためスタンディングゾーンは大きく3つに分けられているが、DブロックとEブロックはかなり後ろなのでステージが見辛そうで気の毒に思ってしまう

WOWOWによるテレビ中継も入っているなか、スタンディング参加のお客さんの入場に時間を要したのか、18:40分頃に暗転すると、ステージに最初に現れたのはDJのBOTS
彼がSEを鳴らすのかと思いきや、鳴らし始めたのは聞き覚えのあるクラシック
そのクラシックは進行するに連れて「威風堂々」であることが判明すると、会場は大歓声
オープニングから祝砲を鳴らした

「MAJESTIC」が流れ始めるとダンサーのATSUSHIを筆頭にDRI-Vも登場し、kj達もスタンバイを終えると「STARDUST」から始まるが、アリーナということで普段のDragon Ashのライブではまずないようなレーザーを駆使した演出が
前回見た日本武道館公演でもレーザー演出は行われていたが、あのときはどちらかというと中盤だった
ライブハウスの熱狂を持ち込んだ武道館公演と今回の横アリ公演は意義が明確に違うことはこの時点でわかった

DAのライブはダイバーがつきものなので、やはりダイバーは最初から出てくるが、

「DIVE FOR FREEDOM‼」

というフレーズも登場する「Mix it Up」からダイバーがいよいよ本格化
LEDには燃えるような映像が映し出され、当然こちらも熱くなる

更にはTHE MAD CAPSULE MARKETSの「PULSE」のカバー、震災復興への祈りを込めた「光の街」を連打していくが、マッドを知らない自分からすると、なぜ大きな歓声が起こったのか分からない状況
むしろ「光りの街」でメンバー1人1人が映し出された演出の方がグッと来た

曲間も音が流れているため、音楽を欠く時間がほとんどないという良くできた構成のなか、

「歓喜の歌だぞ‼」

と桜井のタイトなビートもさることながら、ATSUSHIがサカナクションのライブで見られる不思議な棒(回すと文字が映る)を駆使し祝福ムードが溢れる「Odd to joy」、仮面をつけたDRI-Vのパフォーマンスがkjの苦悩が描かれた歌詞とリンクする「Singin' in the rain」と「MAJESTIC」の曲を中心に演奏していくが驚いたのは「Walk with Dreams」と「TIME OF YOUR LIFE」を続けて演奏してきたこと

「Walk with Dreams」とは馬場さんに捧げた歌でDAを何年も聞いているファンの方には説明不要だが、「TIME OF YOUR LIFE」は彼らの盟友であったスケボーキングに送った歌
兄貴分である山嵐は今でもマイペースに活動しているが、スケボーキングはもうシーンにはいない(だから解散後には彼らへのリスペクトとして「Back to the basic」をカバーしていた)
この2曲を演奏したのは20年間の活動でシーンを共にした彼らへのリスペクトを込めたのだろう

寒波を日本が襲うなか、横アリに来てくれたファンに送る「Circle」を経て、音源になる前から頻繁に演奏されていた「Headbang」では文字通り多数のヘドバンを起こすが、途中で中断
直後に桜井が、

「今日ツアーファイナルだぞ。そんなのでいいの!?」

と煽ると、桜井の挑発に乗るようにダイバーが一気に飛来し、ヘドバンも倍以上に増大
照明は真っ赤なのでお茶の間でこのライブを見ていた方にはいっそう激しく映ったであろう

バンドの姿勢をラウドなサウンドにそのままぶつけた「Faceless」は音作りに苦戦している様子が見られたが、緑のレーザーを発生する指輪を装着したKenKenが、

「この音が止まるはずがない いなくなったあなたのために」

と歌う「The Live」のこのワンフレーズ
いつ聞いても胸にグッと来てしまう
それは馬場さんが亡くなって、DAがどうなってしまうんだとなっていたとき、彼がDragon Ashにサポートとして加入し穴を埋めてくれたから
だからRIZEや他のアーティストのサポートで多忙な日々を送っているにもかかわらず、DAの危機を巣くってくれたKenKenには常に感謝しかない

バンドからファンへの感謝を歌った「beside you」を終えると、ここまでギターを背負っていたkjはハンドマイクへスイッチ
HIROKIのギターからバンドを代表する名バラード「静かな日々の階段を」が会場に浸透していくが、自分にとってこの曲はDAを語る上で切手も切り離せない

それはつまらない日常と共に息苦しい学生時代を過ごしていたとき、偶然耳にした

「みんな必死なんだ 負けんな 居ねえぜピンチランナー」

というフレーズに救われたから
かつてのような高音でkjは歌えないため、近年この曲はどちらかというとポエトリーリディングに近い
それでもこの名曲を聞けるだけでいい
DAの曲の中には聞きたくても聞けない曲が多く存在するのだから

前半はEDM調で後半はラウドとなる「JUMP」で観客を跳び跳ねさせると、

「ライブハウスぽくなってきたじゃねーか‼」

とkjが興奮ぎみに叫ぶ「百合の咲く場所で」では巨大なサークルが発生
この光景は日本武道館、ロッキンのGRASS STAGEのような広い会場でなければ見ることが出来ない
多くのフェスでDAがメインステージに君臨し続けることが出来るのは「この景色を見たい‼」と思って来る方が多いから
この光景は一生に何度でも目にしたい光景だ

その直後、ライブではお馴染みのあのイントロが流れ、誰もがあの曲を連想するが、その直前、

「20年間ロックバンドをやっているけど、今が1番カッコいいと思う。俺の知っているバンドも聞いたことのないバンドも。
モッシュピットパンパンの横アリ、そのままライブハウスへ足を運んでください‼」

とkjが話した

DAの全盛期だった頃と比較するとCDセールスマンは遥かに劣る
だがバンドのバの字も浮かばず、メディアがアイドル戦国時代なるものを勝手に作り煽っていた頃とコントラストすれば今の方が確実にいい
それは以前よりもライブが浸透するようになってバンドが生きやすくなったから
そうなればどのバンドも思い思いの音を出せる(だからこそONE OK ROCKやSiMといったラウドバンドが日の目を浴びたのだろう)

そんなkjの熱い言葉を浴びたからこそ、「Fantasista」で宙を舞うダイバーの心地よい姿
この曲がライブから外れたことは一度たりともない
それでもこの曲が始まるときの高揚感
それは他の何にも変えられないし、今後もずっと変わらない

スクリーンにDAの象徴である百合が映し出され、最後のサビではいつも通りリフトしてはダイブする「Lily」を終えると、最後はアルバム屈指の名曲である「A Hundred Emotions」

「音楽は鳴り止まない」

のフレーズ通り、音楽は我々のいつもそばにいる
心に秘めた感情を解き放つ音楽の魔法を説くこの曲で本編は終わったが、時計を見ると始まってから90分しか経過してなかった

本編が終わり、「Viva la revolution」の合唱が起こるなか、その合唱に導かれるように「Viva la revolution」が始まるが、

「またここに立ってみる すこし誇らしげな顔の自分がいる」

はこの日のために用意されたのではないかというくらいリアル
実際、前回横アリに立ったのは1999年
大ブレイク中ではあったものの、デビュー3年目ということでまだ自信を完全にてにしたわけではない
それから18年近く
今やDAはミクスチャーロックのレジェンドと言われる立場に近づきつつある
「Viva la revolution」は彼らが再び横アリに立つことを予言していたのかもしれない

本編中、MCらしいMCがなかったのでアンコールで桜井がようやくマイクを手に取ると、

「各地回っていて北は北海道から、南は沖縄の方から「横アリ楽しみにしてます‼」と言われて、今日ツアーと同じセットリストで臨んだんだけど、やっぱりライブは楽しいね‼前回横アリに経ったのは1999でその時、19歳だったんだけど、今は38。ダブルスコアだよ‼19年経ったにもかかわらず、今でもこんなに愛されているなんて思いもしませんでした。だから19の時にやった曲をここでやります。」

とツアーの感想、そしてここまで愛され続けるとは思わなかったという主旨のMCを行い、初期衝動を引き立てる「Drugs can't kill teens」をまさかの演奏
ベースがKenKenなのでスラップを随所に入れまくっていたが、この日1番じゃないかというほどのダイブの嵐
19年前の横アリに来ていた方が今日、どれくらいここにたどり着いたかは定かではない
だが今の30代は間違いなくDAに触れている
だからこそ自分より年上の方が若返って見えた

そして最後の曲は「Curtain Call」
DAのワンマンのラストは近年、ほぼこの曲で固定されている

「goodbye goodbye goodbye goodbye 手を振って終わりにしよう」

はネガティブな意味ではなく、再会を誓った言葉
それを証明するようにkjはマイクを通さず、「ありがとうございました‼」と叫んでいった

記念撮影を終えて、メンバーがピックなどを配り終わり、会場を後にしようとするとなにやら次の展開を匂わせるチラシが
どうやらこの20周年イヤーはまだまだ終わらないようだ

それにしてもこの20年、DAを語る上で馬場さんのことを忘れる日はない
馬場さんのトリッキーなプレイは衝撃的だったし、kjや桜井にレコーディングを教えた兄貴分であったから
そんななか、今日の演出で馬場さんのイメージカラーが「Odd to joy」で映し出されたり、「Viva la revolution」で馬場さんのジャケット、そして「Curtain Call」で

「KenKen、しっかりやれよ‼」

という馬場さんのメッセージが映し出されたとき、完全に涙腺が崩壊した
馬場さんの魂はずっとそこにいたから

DAはkjがワンマンよりフェスや対バンを好んでいるのでそこまでワンマンは多くない
だから1本1本が貴重なのだが、その1本のインパクトは背中を打たれるほど痛い
だから今後も彼らを追いかけることは止めないが、今回のような広い会場で見たいものである

セトリ
Majestic
Stardust
Mix It Up
PULSE
光の街
Odd to Joy
Singin' in the rain
Walk with Dreams
TIME OF YOUR LIFE
Circle
Headbang
Faceless
The Live
Beside You
静かな日々の階段を
JUMP
百合の咲く場所で
Fantasista
Lily
A Hundred Emotions
(Encore)
Viva la revolution
Drugs can't kill teens
Curtain Call

Next Live is ... 10-FEET @ 豊洲PIT (2018.2.1.)