タイトル:「KAGEKI
アーティスト:アルカラ

昨年は結成15周年ということで精力的に活動し、自身が主催するネコフェスから15周年イベントまで開催したアルカラ
その15周年の一貫でキャリア初のフルアルバムをリリースしたのですが、ご存じの通りギターの田原が脱退
結果的にこれが4人で製作した最後のアルバムとなってしまいました

とはいえ、制作中は4人で作った最後のアルバムになるなんて誰も思わなかったはず
なので中身はいつも通りのアルカラ

アルカラお得意の展開が目まぐるしく変化する「HERO」、イントロからキメ連発の「キリギリスのてんまつ」、不穏なギターが響く「如月に彼女」とやっていることはいつも通り
相変わらずのアルカラらしい音楽性です

「さ・あ・な」で浴びせる爆音ベース、題材がユニークで逆再生をどう再現するかが見所の「コンピュータおじさん」、稲村の弾き語りのみで構成された「銀河と斜塔」などの変化球サイドもありますが、それをぎゅっと締めてくれるのが「LET・IT・DIE」
唯一収録されたシングル曲でもう彼らの代表曲になっている証でしょうね

「ひそひそ話」、「ピーターパンと夢の中」といった聞かせる曲も勿論ありますが、アルカラで外せないのはやはりインスト曲
今回収録されているのは「箱」
前作の「迷宮レストラン」が少しコミカルな感じだったのに対し、今回はハード
特にドラムが激しく重厚なロックオーケストラといった感じ
これは生で聞くのが楽しみですね

ところでアルバムタイトルの「KAGEKI」、何を意味すると思いますか?
このタイトル、最後の「さすらい」でようやく出てくるのですが、「過激」だけでなく「歌劇」の2つの意味が込められてます
要はここに入っている曲は全て 「歌劇」だったのです

全ての曲の歌詞を見ると、

「おぼろ月」(3017)
「秋」(HERO)
「キリギリス」(キリギリスのてんまつ)
「如月」(如月に彼女)
「ホトトギス」(コンピュータおじさん)
「夕焼け」(ひそひそ話)
「雨」(LET・IT・DIE)
 
と半分以上の曲に季語が用いられており、季節感が感じられる曲が多いアルバムとなっています

そしてオープニングの「3017」
なぜ1000年後なのか
それはボーナストラックにヒントが潜んでいます
なのでこのアルバム、絶対にCDで聞くことを推奨します(ストリーミングではボーナストラックが入ってない媒体があるため)

それにしてもアルカラ初のフルアルバムリリース後、まさか田原が脱退するとは誰も予想しませんでした
ましてやボーナストラックで30年目をテーマに歌っていただけに

ですが現在、アルカラはサポートを加えながら活動を継続中
転がり続けることをやめる気配は全く見当たりません
今後、アルカラがサポートを加えながらアルバムを製作するのか
はたまた、このまま3人でレコーディングを行うのか
現時点は一切分かりません

それでもコンスタントにアルバムを製作し、音楽リスナーを魅了してきただけにやはりこれからも期待せざるに入られません
かつて、

「いつか10年後でいい 笑い合って 偶然でもいい 何処かで会って 叶わぬ想いでも 信じたくて今」

と「ミ・ラ・イ・ノ・オ・ト」で綴ったバンド
10年後に今回の事件も笑いながら話せるようになっていることを願います