タイトル:「未完成フューチャー」
アーティスト:phatmans after school

1月に拠点をインディーズに戻したものの「過去現在未来進行形」という最高傑作をリリースしたpas
ただそのアルバムをリリースしたレコ発ライブでは、「春に出るアルバムとこのアルバムで初めて1枚のアルバムになる」とタクミが宣言
なので新作の「未完成フューチャー」では必然的に注目されるアルバムでした

まず全体的に見てみると、前作と比べるとポップ要素が強くなり打ち込みも若干多くなりました
なので「アンクロニクル」みたいな音楽性に少し戻った感じがあります
ただ「アンクロニクル」と比べると刺々しさはいっそう強まっているということです

このアルバムのリード曲である「未完成フューチャー」こそ、バンドだけでなくオーディエンスを合いの手と共に鼓舞するアンセムですが、ハードなリフが決まる「ノットビリーバー」では責任転嫁で逃れようとする現代人に唾を吐き、「夢の亡者」ではタクミ視点による俯瞰したこの世界が綴られており、「アイはカネのなる木だとみんなこぞってIを歌うもんだから」は常套句のように聞きなれたフレーズが連呼する今のシーンへの皮肉
ポケモンでいえば「どく」から「どくどく」へ進化したようなものです
もちろん毒を吐くだけではアルバムタイトルが否定されるので、この手の曲ばかりではありませんが(笑)

イロハニホヘトの「イ」に当たる周波数をそのままタイトルにした「440Hz」ではタクミなりのラブソングを描き、「ベイビーメイビー」では社会に苦悩する若者をおもちゃが助けに来るストーリーはユニーク
そしてラストの「雨天結虹」
あまりのリアリティーにタクミの実体験かと思ってしまう歌ですが、よくある失恋ソングではなく、ほどかれた糸はやがて新しい糸に結びつくとハッピーエンドで終わる美しき歌
長い雨を抜け、虹が空に輝くそんな素敵な物語が最後に届けてくれます

最初はいまいちでしたが、時間を開けて聴くとこのアルバムもやはり名盤
pasは完全に復活したと胸を張って叫ぶことができます
「アンクロニクル」は脱退したホンマのためのアルバムゆえに、あれだけ明るくなってしまいましたがこの2部作を聴くと、今後のpasはこのような指針で進みそう

6月から始まるワンマンツアーはリクエスト方式ですのでこのアルバムがどのように受け止められたか、すぐにはっきりします
1曲でも多くランクインしてればいいけど…