2015年、KANA-BOONを始めとする新世代ロックバンドの台東を契機に、再びロックバンドが注目されるようになった
ただ、以前と違うのは「踊る」がキーワードになっているということ
気が付くと、四つ打ちを取り入れるバンドが非常に増え、個性が見えにくくなってしまった

そんななか、新世代に多大な影響を与えたであろう、ASIAN KUNG-FU GENERATIONは3月にシングル、ライブハウスツアーを行い、6月にはFoo Fightersのスタジオで制作された「Wonder Future」をリリース
王道であるエイトビートを駆使し、アジカンは未だ健在であることを証明した

そのアジカンが10月まで開催中の全国ツアー、既に大反響が寄せられているが、そこにあるものは?

今回、訪れた会場は鎌倉芸術館大ホール
大船駅から徒歩10分という比較的アクセスしやすい環境に設置されているホール会場である
見回しも良く、後方の方でも見やすい会場となっている
この日は2daysの2日目
ちなみに、特別割引先行枠でチケットを取ったが、座席運のなさは相変わらず
なお、アジカンのワンマンはこれがはじめて

定刻から5分後に、暗転しSEと共にサポートである下村亮介(the chef cooks me)を加えた、5人編成でメンバーが登場(SEは新しくなってた)
早速先行シングルになった「Easter」をかき鳴らすが、とにかく音がでかい
アルバムを聞いた時点から感じていたが、今年のアジカンはラウドなモードに入っており、フェスでやる曲も激しめな曲が目立つ
なので、最初からこちらも興奮を抑えられない

勿論、既に話題を呼んでいるプロジェクションマッピングも相性抜群で「Little Lennon」では、「さあ イメージ」の歌詞に呼応するように、想像が膨らむようなシーンが盛り込まれ、「Winner and Loser」では近年あまりなかったゴッチ(Vo. & Gt.)のシャウトも炸裂
ここだけでも沸点は最高地点に到達している

「個性なんて必要ないさ 家畜のように飼い慣らす」という歌詞がグサリとささる「Caterpillar」が資本主義をテーマにしているということで、リンクするように「N2」も演奏
ちなみにこの時、手拍子があまりにもあってなくゴッチは「建さん、頑張れ‼」と思いながら演奏していたとのこと

ソリッドなロックンロールを響かせる「センスレス」からはこの日、最もなラウドなモードに突入
代表曲「リライト」を早くも演奏され、間奏ではメンバー一人一人が我こそはと言わんばかりに、ソロを鳴らしまくる
元々間奏でアレンジされることが多い「リライト」だが、ここだけで8分近くは演奏されていた気がする(この日最長)
その勢いに乗って爆音ロックナンバー「Planet of the Apes」まで一気に駆け抜けていった
ここら辺から潔(Dr.)のドラムがどんどん激しくなっていった気もする

ここまでほとんどMCを挟まなかったが、
サポートのシモリョーを紹介する際、ゴッチが
「4人のギャグを1番笑ってくれます(笑)」と少し弄った程度
更に、潔は地元であるため張り切っており、周りから煙を感じるとこちらも少しだけ
全く間を入れないため、テンポよくどんどん展開される

大きな歓声が上がった「ナイトダイビング」ではシモリョーのキーボードが世界観を広げ、聞かせる「Eternal Sunshine」の直後に楽曲の展開を見事に再現するような映像が目立つ「或る街の群青」、満月が舞台に映し出され、どこか壮大さを感じた「青空と黒い猫」(「マジックディスク」から聞き込むようになったので、イントロだけでもテンションハイ)を経て、今日1番のハイライトである「Prisoner in a Frame」へ
山田(Ba.)のベースから始まる美術館に迷い混んだような曲だが、ライブになるとドラムの迫力が増したためか、「Wonder Future」の中で最も化けた
美術館をテーマに作成されたため、いくつもの絵画が陳列される美術館そのものの雰囲気を映像が再現したが、その絵画が幽霊屋敷のように動いたりするので、不気味
プロジェクションマッピングの恩恵を最も受けた曲だと思う

長いイントロのアレンジから始まった「深呼吸」では、シモリョーがキーボードとギターの2つを演奏する大車輪ぶりを見せ、終盤に演奏されることも多い「今を生きて」では「Yeah!Yeah!」の部分で大きく手が上がり、会場一体で幸せの歌に酔いしたる
そして、10年以上前に制作された「嘘とワンダーランド」からは喜多(Gt.)がボーカルを取るというこれまでのツアーではなかった光景が(というかこの曲、ツアーのセトリに入ったことあるのか?)

後藤「昨日より、お前のゲスト多くない?」
喜多「昨日の方が、多かったかな」と言うように、この日は「建さん‼」と呼ぶ声が非常に多く、これはアジカンのホームとも言える神奈川公演であるからか
「南横浜の方の曲を」と話したあとは、「シーサイドスリーピング」
ゴッチがリードギターを弾く様子は、ほとんど見ることが出来ないので、非常にレア
何より楽しそうに歌ってる姿が印象的

ボーカルのバトンがゴッチに戻ったあとは、「Signal on the Street」で潔が巧みなストロークを見せ、打ち込みを用いた「新世紀のラブソング」からは過去曲を連発
特に「ネオテニー」、「トラベログ」といった「ワールド ワールド ワールド」勢からは「トラベログ」の演出がこの会場にぴったり
一部、壁がレンガで出来ている鎌倉芸術館大ホールとの相性は1番だったのではないかと思う

再レコーディングされた関係で、昨年よりもバージョンアップした「Standard」でクライマックスに突入すると、最後はアルバム屈指の泣きメロナンバー「Wonder Future」
街が色づき、光が灯っていく光景は希望そのものを指しているように感じた

そして、今回のアンコールではカメラ撮影が許可されており、メンバーが再登場すると、案の定撮影が始まるが、ゴッチが「そこで取るの?」と突っ込むようにかなりの方が演奏前に撮影(笑)
ぶっちゃけ、演奏が始まったら曲に集中したいので取るならここが1番だろう

昨日は「稲村ヶ崎ジェーン」を演奏したので、この日も「サーフ ブンガク カマクラ」の曲を演奏
鎌倉は今日がラストなので、「鎌倉グットバイ」をやると思いきや、やったのは「江ノ島エスカー」
どうでもいいがこのエスカレータは実在し、しかも有料である
しかし、江ノ島のシンボルと言えばこれ‼と言えるほど存在感は強い

今回のツアーでは、アンコールが毎回変化しているので、「君の街まで」、「ループアンドループ」といったシングルが流れると、やはり大歓声
特に「ループアンドループ」では、この日ほとんど見られなかった跳び跳ねる人も
「君という花」が固定されていないため、その影響もありそうだが

そんななか、逗子の曲をといって始めたのはまさかの「海岸通り」
会場である鎌倉芸術館大ホールの最寄り、大船から逗子までは3駅
なので、海の風景の想像は容易い
何よりこの曲をここでやってくれることは、アジカン鳴りの地元愛か

最後はアルバムのラストナンバー「Opera Glasses」
目まぐるしく展開が変わる、「センスレス」の最新版ともいえる曲だが、ビジョンにはまるでエンドロールかのように数多の文字が映し出され、最後にはツアータイトル「Wonder Future」が現れ、終幕した

今回のツアーは、プロジェクションマッピングが大きな注目を集めているが、最大の魅力はやはり音
誰もが楽器を手にしたときに、爆音で鳴らしたくなる
そんな初期衝動をイメージさせるように音がでかく、これまで見てきたライブの中で1番音が大きかった気がする
他にも世界観を壊さないようにアンプをあえて隠す、曲ごとに全く異なった姿を見せる街など細かい工夫が行われていた

10月の東京国際フォーラム公演も行くが、それまでに更に完成度は上がり、もう一度驚かせてくれると思う
「Wonder Future」は今年1番の名盤だ

セトリ
Easter/復活祭
Little Lennon/小さなレノン
Winner and Loser/勝者と敗者
Caterpillar/芋虫
N2
センスレス
リライト
Planet of the Apes/猿の惑星
ナイトダイビング
Eternal Sunshine/永遠の陽光
或る街の群青
青空と黒い猫
Prisoner in a Frame/額の中の囚人
深呼吸
今を生きて
嘘とワンダーランド
シーサイドスリーピング
Signal on the Street/街頭のシグナル
新世紀のラブソング
ネオテニー
トラベログ
Standard/スタンダード
Wonder Future/ワンダーフューチャー
(Encore)
江ノ島エスカー
君の街まで
ループ
海岸通り
Opera Glasses/オペラグラス