自分次第でどれだけでもチャンスを広げられるし、また狭めることもできる。
歳を重ねるとだんだん固定観念が強くなっていくものだが、それも新しいプロジェクトやバンドへの参加で常に新鮮な経験をすることにより、成長したり柔軟な方向性を身につけることができる。
それはなぜか。
バンドで音を出すのは、単なる機械による作業ではなく必ず「人」が関わるから。
機械を使えば正確な作業はできるが、バンドの演奏はむしろそうでない部分にたくさんの魅力が詰まっている。
例えばノリ、メロディのニュアンス、アドリブ、曲の終わらせ方、アンサンブルなど、枚挙にいとまがない。
それらを「良い加減」にするためには、関わる人、つまりメンバーの信頼関係なくしては成り立たない。
信頼関係を築くためには相手を知ることがとても大切であって、演奏のクセからその人の性格、信条などを知り、そこをうまく組み合わせることによりバンドメンバーが決まっていく。
関わる人が積極的に意見を出すかどうかにより、グループへの熱意も見えるというもの。
生気のない顔をして参加するくらいならやらなければいいし、それは必ずお客さんに伝わってしまう。
また独りよがりな行動や発言ばかりでバンドをまとめようとしないのも良くない。
メンバーそれぞれが音楽的意見を出し、それをリーダーがまとめていくことでサウンドのクオリティが上がっていく。
高いクオリティで演奏するバンドは、お客さんからしても
「こういう組み合わせ、とても面白い!」
「こういう演奏初めて聴いたけど、いいね!」
など、ミュージシャンたちの演奏に新鮮な体験をし、様々な良い効果をもたらす。
それは予定を空けてくれて、Live会場まで足を運んでくれた人だけができる体験。
一人でも多くの人にそうやって思ってもらうために、ミュージシャンは常に進化し続ける必要がある。
その鍵となる一つ。
「新しいことを受け入れられるかどうか。」
そこに年齢という制約が限りなく少ないのが、ミュージシャンがありがたい職業だと思う理由と考えている。
自戒を込めて。
瀬利優彰