魚なのに泳ぐのが下手で、
干潟の泥の中を胸鰭を使って歩く、
トビハゼやムツゴロウは、
TVやSNSでおそらくほとんどの人が見たことのある、
かわいい自然風景でしょう
ハゼ類(ハゼ目あるいはスズキ目ハゼ亜目)分類は、
非常に難しい魚の代表で、
それはこのグループが、今繁栄して、
種分化が進みつつある最中であることと、
強い関わりがあるからでしょう
その中でも干潟に生息し、
魚のくせに泳ぐより水から体を出して、
干潟の泥の上を歩回るトビハゼ類(オクスデルクス亜科)は、
漁業として重要度が大きいとは言えないけれど、
よく知られていて親しみのある魚の、
代表の一つでしょう
そのトビハゼ類は、ほぼ全て暖流域の干潟が生息域で、
日本の中では、よく知られているのは有明海でしょうが、
生息域として最も重要なのは、
その有明海および、琉球弧のいくつかの島に残る、干潟域でしょう
沖縄には、
西日本にも生息するトビハゼ(トビハゼ属)、
ムツゴロウ(ムツゴロウ属)と並び、
琉球弧以南に生息する2種、
ミナミトビハゼ(トビハゼ属)と、
トカゲハゼ(トカゲハゼ属)がいて、
これらは沖縄では、跳回る目という意味の、
トントンミーという方言で親しまれています
その中でもトカゲハゼは、
沖縄以南の西太平洋およびインド洋東側に、
広く分布するも世界的に生息域が大幅に減少し、
北限の沖縄では絶滅危惧種とされる、
貴重な魚になっています
なぜこの子らがトカゲと名がつくのか分らないというか、
むしろピンと立った背鰭第1棘がトレードマークの、
ある意味、とても目立つ魚です
特にムツゴロウあの有名な姿に良く似ていますが、
第1背鰭によって、まるで帆を下ろした時の帆掛船のような姿、
そしてムツゴロウと違い、下顎に小さなヒゲがあることで、
容易に見分けられます
干潟は海岸の砕波帯のように、
水性の大型動物が入り込めない、比較的安全な場所とは言え、
ここが当たりですよと知らせる印が、
海面や泥から飛出ているのでは、
例えば干潟で餌を漁る鳥の格好の的になりそうな、
不便な姿と思えるのに、
どこが役に立っているのか、不思議な姿です
そのトカゲハゼは、日本から東南アジア,インド洋にかけて生息する、
多種多様のハゼ類の1つと言えますが、
日本での生息域は、
沖縄本島東海岸の、中城湾佐敷干潟、
そして米軍辺野古基地のすぐ東側、
名護市大浦湾大浦川河口域の、
マングローブ林干潟にほぼ限られ、
環境省レッドデータリストⅠA=絶滅寸前に、指定されています
つまり生息域の北限として、生物地理学上でも貴重な魚なのです
その大浦湾河口域は、
貴重なマングローブ林保存地域として、ラムサール条約候補地ですが、
どうやら米軍基地が環境破壊源ということで、
批准が見送られているのです
辺野古の海では、ジュゴンの生息域として、
保護の観点からも米軍基地拡張反対運動がなされていますが、
それにも劣らず自然保護が求められている海が、
基地を挟んだ反対側の、大浦湾でもあるのです
サンゴやジュゴンの餌であるザン草の危機もそうですが、
トカゲハゼも、水質の悪化に非常に弱く、
工事が進むと、絶滅の危険性が高いと考えられます
今、辺野古では不幸な事故があり、ニュースで取上げられていますが、
トカゲハゼの危機は、
ほとんどマスコミの注目を集めていません
政治的•軍事的な話には立入ませんが、
なぜ世界的にも貴重な海と、
そこにいる生き物の絶滅を引換えにして、
軍事基地を拡張せねばならないのか、
私には優先順位が、致命的に間違っているとしか思えません(2026.3)
