クリスマスの時期なので、

今回は因んだ、クリスマスツリーを取上げたいと思います

クリスマスツリーというと、何が最も多くの人に思出されるか

それぞれの方が、様々に思いつくことがあるでしょうが、

芸術作品という分野で考えるなら、

世界中で最も有名と言えるのは、

アンデルセン童話の1つ、『クリスマスツリー』

となるのではと思っています

 

ただこの作品は世界的な知名度の割に、

日本ではそれほど読まれることが多くないようにも感じます

そしてこの作品、日本語訳では『もみの木』とされていますが、

実はクリスマスツリーと日本の樅の木では、

分類上は、もう一つ近縁とは言えないのです

 

日本に生えるモミ(モミ属)も、

北欧からドイツに生息するクリスマスツリー(トウヒ属)も、

裸子植物上綱マツ目マツ科トウヒ亜科に属しています

アカマツ(マツ亜科)の場合のマツタケと同じように、

根が共生菌と一緒に菌根を作り、

外生菌根という、共生菌の菌糸が根の中に侵入することなく、

菌糸が根を包み込むように守り、働きを支えます

 

マツ科の大部分でこの外生菌根が確認されていますが、

その力に頼ることで、水分や養分の吸収が特に冬でも助けられ、

葉からの水蒸気蒸散に耐えられることで、

グループの大部分が、寒冷地であっても、

常緑樹でいられるという説があります

 

また、共生菌根は多様な真菌類で、

抗生物質を分泌して、

マツ科植物を病原微生物から守るということです

この優れ物の共生生物のおかげで、

マツ類は針葉樹の中でも繁栄し、

広い生息域を獲得しているのでしょう

 

ただ日本の寒冷地の森林地域には、

落葉広葉樹のシラカンバ(シラカバ,カバノキ科カバノキ属)

に加え、

先日紹介した、世界的にも珍しい、

落葉広葉樹で単層林の大森林を形成する、

ブナ(ブナ科ブナ属)という強力なライバルがいます

そのためなのか、

クリスマスツリーと一般に言われる、

オウシュウトウヒ(ドイツトウヒ)を始めとする、

トウヒ属の仲間としては、

日本には、エゾマツとアカエゾマツが生息するだけです

 

なお、ややこしいことに、

ブナと比べると比較的温暖な地域に生息する、

トウヒ(唐檜)という樹木がいますが、

実はトウヒはエゾマツの変種なので、

トウヒ属には、〇〇トウヒという種は何種もあるのに、

種としてのトウヒはないのです

 

モミとクリスマスツリー(トウヒ類)の姿は似ているのですが、

トウヒ類の葉は硬く尖り、

枝に付く根元に、葉枕という、

小さく茶色な殻のような部分がくっついています

 

葉が枝から出て成長する時に、

葉芽はまず葉枕に包まれて出てくるので、

成長した後も、

その茶色い部分が結構目立つことで、

モミとは簡単に区別が付くのです

 

その他、トウヒ類は松果(松ボックリ)が下向き、

モミは上向きということでも区別できます

オウシュウトウヒはアジアには自生していませんが、

日本各地で防風林として植えられ、

クリスマスツリーと呼ばれているところもあるようなので、

実物を見る機会もあるでしょう

 

クリスマスツリーを含むトウヒ類は、

枝が幹から螺旋状に生えているので、

樹の先端が長く伸びていることも含め、

枝に括付けた飾付けが優雅に見えて、

クリスマスツリーとして、

とりわけ華麗な雰囲気になります(2025.12)

(後編に続きます)