最近のネットで「スズキ目 解体」と検索すると、

なかなか大変な騒ぎになっています

中でも「スズキがスズキ目からホタルジャコ目に移動」、

あるいは「スズキがスズキ目から脱退」、

「スズキ目解体の衝撃」等、

なかなか目を引く題が上位に並んでいます

 

それもごく最近の日付のものも多く、

魚類分類の世界が大混乱しているような印象を、

持つ人も多いと思えます

 

しかしどのような立場の人が書いているかを見てみると、

公的な研究機関からの記事で、

このような扇情的な題が付いたものは、ほとんどありません

 

一方、例えばウィキペディアで、「スズキ(魚)」と検索すると、

分類上の位置について、

シレッと「ホタルジャコ目」と書かれていたりします

 

もちろん世間一般の方々については、どうでも良い話であろうけど、

釣り好きはじめ魚好きの人なら、

スズキ目が魚類最大のグループで、典型的な、いわゆる魚らしい形の魚が、

大部分スズキ目に入っているというのは、

常識と言って良いレベルで、

それが「解体」というのは、ビックリしてもおかしくない話でしょう

 

魚類の大半を占める、硬骨魚類条鰭類の約1/3が入るだけでなく、

10,033種が属するとされ、脊椎動物最大の分類群でもあります

それがなくなるとは、

魚類分類の根幹が揺らいでいるとの印象も、無理ないことと思います

 

しかし本当はどうか

私はその道を離れてかなり年月が経つので、

現場の研究者の実際を知って、述べてはいません

しかしおそらく、魚類学者という立場の人で驚いている人は、ほぼいないはずです

スズキ目なんて本当は幻•••

これはほぼ皆の常識というか、

専門的な立場であれば、もう半世紀前から常識

失礼ながら、そういう人で知らなければ、モグリです

 

もう少し専門的に系統分類学の用語を使わせていただければ、

おそらく戦前からではと思うのですが、

スズキ目の単系統性=同一の先祖から進化したという、

科学的根拠があるという立場は、昔から、誰も唱えていないのです

現状で説明できない、雑多なグループの寄せ集めを、

暫定的に、スズキ目と呼んでいるだけなのです

 

おそらく動物に興味があれば、

魚の分類が、他のグループより難しく、

昆虫類を別として、

身近な動物群の中で、図鑑等に頼らず名前を知ることは、多分1番難しく、

それだけに、スズキ目という名が、馴染み安いものになって来た

そのこと以外に、おそらく理由はないのです

 

なぜスズキがスズキ目から離れたか

簡単に言えば、単に学名とその和名にズレがあるだけ

日本語のスズキという名は、

英語でパーチと一応なっていますが、

本当のパーチ(ヨーロッピアンパーチ)とは、かなり違うグループで、

言わば他人の空似なのです

 

パーチ属パーチは、リンネが命名した、

分類学での根幹となる種=早く命名された種で、

パーチ属を元に、ペルシフォーム=パーチ目が作られ、

それを日本の研究者が、翻訳してスズキ目としただけ

日本のスズキは、以前からパーチ類より、

ホタルジャコという深海魚からとられた、

ホタルジャコ類と近縁ではないかと推測されていて、

ホタルジャコ類がホタルジャコ目として、

少し前に独立しただけなのです

 

近年生物、特に脊椎動物の近縁性は、

DNAの塩基配列によって調べるのが、

最も単系統性を証明出来るとの考えが、主流になっています

 

しかしこれは、陸上動物と比べ、

水中、特に深海生物では、相当に時間と金がかかります

しかも種類は膨大で、希少種も数限りない

やり易い分類群から徐々に進め、

混沌のスズキ目でもやっと解析が進み、

栄えて親戚ではないと、分っただけなのです

 

私は今、学術研究に接する方法は、

ほぼ近くの(魚類研究をしていないだろう)大学図書館を探すか、

ネットで信頼できる発信元の記事を見るだけです

当然、情報確認は、かなり遅れます

本音では、ウィキペディアの記事だって、

脚注にある論文等に確認•判断しなければ、

本当とするのは、ウソツキになる不安があるのです

 

だから、スズキはかなり前からスズキ目ではないと知ってからも、

ほとんどの関わりのある専門家の太鼓判を、

今も待っているだけ、なのです

 

例えば日本での魚類の命名については、

日本魚類学会が最も信頼されています

その場で変更できる和名を、目などの高位分類群について、

国際的な命名機関でなければ変えられない、

学名にできるだけ近づけるように検討して、

日本中に周知させる、おそらく膨大な仕事を、

少しずつでも近づける努力をしていただくしか、

混乱を収める方々はないのではと、

思わされるのです(2026.3)