先日、ハゲイワシについて書いたのですが、
つい自分の思いばかりで、
当の魚自体については、全く十分ではありませんでした
反省しています
深海とは、水深200m以深の、日光が届かない場所
全海域に占める容積としては、約80%を占めていながら、
光合成で生きる生物が生息できない、
砂漠にも例えられる環境です
そして何より、厳しい水圧
水深0m=1気圧,10m=2気圧,200m=21気圧と、
そのとんでもない圧力のため、
浅海の生物を拒んでいる環境です
よく、深海は古代生物、生きた化石が住む場所と言われます
それはある意味正しく、
浅海では中世代白亜紀末に絶滅した生物群が生残っている環境といえます
とはいえ、新しい新生代に誕生したグループも、
普通にいることも確かです
深海はおそらく、地上の土壌中以上に環境の変化の影響を受けない、
言換えれば、環境の安定期に、深海への進出に成功した生物が、
大絶滅時代にもその影響が小さく、
生残り易かった環境と言えるのでしょう
セキトリイワシ類(目or亜目)は、英語でスリックヘッド、
つまり頭が裸で鱗がない(魚)という意味です
世界的に報告例の多いハゲイワシで、
最初に記載されたのが20世紀初頭、
深海生物の中でも、かなり最初期になりますが、
当時でも、頭部に鱗のない深海魚は普通にいる中、
他に特徴を見つけにくい、言換えれば地味な魚
それがハゲイワシ(セキトリイワシ)類だったのです
側扁した体で、鰭も含めて魚では普通と言える体型、
目が退化していない大部分の魚と同じく、
発光器はあるけれど特化した様子がない
体色こそ深海魚に多い、黒または黒褐色ですが、
比較的大きい目や口元ふくめ、ニシン•イワシ類にかなり似ている、
いわば深海魚では逆に珍しい、
浅海や陸水に住む硬骨魚類に、とても良く似た姿の魚なのです
実は深海魚とされる魚のかなりは、
仔稚魚の時代は浅海で生活する生態です
それは、深海には光合成をする植物プランクトン、
そしてそれらを餌とする動物プランクトンがいないため、
餌を取ることができないためと考えられています
ところがハゲイワシ(セキトリイワシ)類は、化石種の報告がなく、
現生種の記録で調べた限り、全てが水深500m以深からの報告
つまり、どうして「普通」の姿で、誕生からの一生を深海の、
それもかなり深い場所で生活をするように進化したかが、
現状では手掛かりもないのです
深海生物のほとんどは、生きたまま捕獲して飼育できず、
生態は謎のままです
とはいえ大部分の深海魚は、同じ分類群の浅海魚と比べ、
何らか、大きな体の特化(=生態変化可能性)が見られます
しかしハゲイワシ(セキトリイワシ)類は、浅海に住んでいた祖先も分らず、
なぜ体の特化もほとんどないままの地味な姿で、
深海に適応した(ごきげんに生きてこられた)のか、
本当に不思議に思えるのです
もしこれから深海魚を研究してみようという方があれば、
ぜひどなたか、
ハゲイワシ(セキトリイワシ)類を、
研究してほしいと願っています
あと、私もいつも最も信頼して参照する、
魚についての某有名ブログで、
ハゲイワシの半身を食べたという報告がありました
モチロンうらやましいのですが、
多分、トキを食べた、イリオモテヤマネコを食べた、
そういう話と同等なのでは
本気の学術報告で論議する気がないのなら、
そのような投稿は、どうぞご一考を…(2025.9)
