1ヶ月以上、この文章が書けない体調でした
自分では、骨粗鬆症治療の副作用による、
数ヶ月前からの不調と思っていたのですが、
なんとそれは、脳血管障害のためでした
病状が悪化し手術を受け、体調がかなり良くなったため、文章を再開します
その最初は、自分の病気とも関わりのある、脳硬膜の話です
私はしばらく前から体の不調を強く感じていましたが、
先日、状態が急に悪化し、総合病院で頭の緊急手術を受けました
病名は、慢性硬膜下血腫で、手術は穿孔洗浄術というものでした
局部麻酔で頭蓋骨に穴を開け、血腫をチューブで吸出して洗浄
その上、手術の傷口をホッチキスで縫合して終わりという、
なかなかワイルドな印象の手術法がスタンダードだそうで、
私が入院した病院では、手術後30時間ほどで退院でした
手遅れでなければ、致死率はかなり低く、
後遺症もほとんど心配ないながら、
術後1週-1月の検査で、再発=要再手術の率10%強というのも、
緊張の中の日々でした
このような驚きの手術•治療が当たり前に行なわれる理由は、
手術の成功率が高いためで、
それは硬膜という組織の特性が大きく関わっているようです
脊椎動物の頭蓋骨と脳の間には、
硬膜,くも膜,軟膜と呼ばれる3重の内膜があり、大事な脳を守っていますが、
そのうち最も外側にある、硬くてしなやかな膜が硬膜です
硬膜下血腫には急性と慢性があり、急性は激しく頭を打ちつけることによる、
硬膜の内側の血管、あるいは脳震盪による、脳の血管からの内出血のことで、
死亡率60%以上、社会復帰率20%未満という、恐ろしい脳血管障害です
私が罹ったのは、打撃、あるいは他の何らかの要因で、
硬膜の内側の血管から、ジワジワと出血が続くものです
それが、出血場所を取囲んで新たに硬膜が作られ袋状になり、
その中に血が溜まって血腫になるという、慢性の硬膜下血腫です
急性と違い、袋の中に血が留まるので、脳が血液に触れることがなく、
急性の脳障害が起きないという、体の防御機構とも言えるものなのです
出血が早期に止まれば、血腫は徐々に再吸収され、
健康状態を自分で取戻せるのですが、
出血が止まらないと、
やがて大きくなった血腫により脳が圧迫され、障害が出始めます
私の場合、症状が急に進み、足がもつれ、ほとんど歩けないほどになり、
記憶も途切れ途切れになって、
驚いた家族が救急科に連れていってくれて、病名が分りました
その前2,3ヶ月ほど、左足が上げにくくなり、また表情が乏しく、
無気力になっていき、家族が認知症あるいはうつ病を心配して、
心療内科を受診する予約までしたほどでした
あと、恥ずかしながらの話ですが、
手術前日に病状が急変した時、
途切れ途切れの意識の中、物心ついて初めて失禁しました
家族が脳外科医にそのことを告げると、
医師は勢い込んで、「そう、まさにそれです!」と答えました
もしそのようなことがあれば、
本人も家族も、脳血管障害、特に慢性硬膜下血腫を、
真っ先に疑って、すぐ専門医療機関を受診した方が良いようです
手術後は、体調が激変というか、すぐに意識がはっきりして、
医師や家族との会話も、明確に出来るという自覚がはっきりと生じ、
脳の圧迫が無くなるとこれだけ違うのかと、驚かされるほどでした
今は体力はまだまだながら、一方気力は、
ビックリするほど回復しているのが、自分でも分ります
とはいえ、まだこの文章を書くまでの力は戻らない間に、
ネットで色々検索したのですが、
医療的な情報は実に大量なものがありながら、
硬膜の生物学的な側面については、ほとんど書かれたものが見つかりません
硬膜は骨や脳と同じく、外胚葉由来で、
おそらく脊椎動物全体に共通して存在する器官のはずですが、
硬膜自体の由来、脊椎動物での進化、発生学的な特徴など、
ほぼ誰も記述していない=誰も知ろうと思わない、
それがネット検索した結果でした
数少ない情報として、
ヒトの硬膜は、哺乳類の中でも、特に厚いということは書かれていましたが、
なぜ厚くなったのかの理由を示した文章には、
たどり着くことはできませんでした
もちろん誰にとっても、病気としてどれだけの怖さがあるのか、
現時点での治療法•後遺症やリハビリの状況はどうか、
患者として社会復帰がどれほど期待できるか、あるいは再発率はどうか、
詳しい知識が知りたいのは当然です
しかし、脳のすぐ傍の出血で、
本当は直ちに、脳に深刻なダメージがあってもおかしくないところ、
ギリギリまで出血により脳が汚染されるのを防ぎ、
力の限りに血腫を再吸収して自分で病気を治そうとする、
硬膜という、知られざる素敵な存在が、
どのようにして進化をして、自分の体の中で働き続けて来たのか
そこにこれまでの私含め、ほとんど誰も、関心も知識もないことに、
今私は、かなり愕然としているところです(2025.9)
