つい4年前の2020年に、以下のような文章を書いていました

新型コロナウィルス感染拡大の中、

そちらに気を取られている部分が多いところはありますが、

今思うと、我ながら危機意識が、

全然足りなかったことを感じさせる文章です

 

(以下、4年前の文章)

今やっと近畿地方までの梅雨が明けました

今年は豪雨が続く異常気象でしたが、

昔からのことわざである、

「梅雨明け十日」の晴天は見られそうな予報です

 

高温による熱中症は心配ですが、土中の水分含量が減ることは、

土砂災害を防ぐためにとても重要なことです

タプタプに水を含んだ日本中の土地が、天日乾燥されることが、

災害の発生を減らしてくれるはずです

また、長雨のため生育不良の野菜も、

1週間ほど十分な日照があれば、生産が安定に向かうと期待します

 

夏の天候不順については、

1993年の冷夏と、翌94年の一転しての猛暑が、

記憶に残っています

94年の水不足の際の、サツマイモ水やりについては以前書きましたが、

93年は天候不順のため、米が大不作となりました

94年にかけ、中国,カリフォルニア,タイからコメが緊急輸入され、

食卓に並びました

 

それまでタイ米は食べたことがなく、

新しい味覚に驚いたことを思出します

炊立てはともかく、冷えると完全にパサパサで、

箸で掬えないほどだったこと

しかし味は濃厚で、チャーハンやカレーライスは、

むしろタイ米の方がおいしかったこと

 

そして何より前年の日本米より安く、

モチ米を混ぜる等工夫すれば、

ずいぶん家計の助けになったことを思出します

 

米の供給で日本中が不安で騒立てている頃、

当時の80歳近くのお年の方が、

「コメがないと言ったって、今はパンもうどんも十分ありますから」と、

泰然とした風で言われた言葉が、記憶に残っています

戦争を経験した世代の底力を感じた時でした

これも「夏」の思い出です

(ここまで当時の文章)

 

この年は、熊本・球磨川等で大きな被害が出た、

2020年7月豪雨が発生し、

梅雨末期の豪雨の恐ろしさを感じた直後で、

夏の晴天が土砂災害を防ぐ力になるのではと、

期待したところもありました

 

今年は、高温による熱中症等の被害、

豪雨による水害や土砂災害、

この両方が、極端な話、日替わりで襲ってくるかもしれない

そのような状況です

 

80年代、三陸海岸に住んでいて、

春-夏の時期に海からの東風=やませが吹くと、

海岸から谷沿いに霧が山の方に昇って行き、

気温が急降下して寒くなるという、

関西では全く経験のない気候に、

ずいぶん驚かされたものでした

今年は、そのような天気も、今はほとんどないと聞きます

 

東北・北海道太平洋沖の海水温が、

例年に比べ、数度高く、

海風が気温を下げす、

また霧が出ないため日照も遮られないのです

 

現在の異常高温の要因は、

長期的にはもちろん地球温暖化のためですが、

短期的には、北日本を中心とする、

太平洋側の水温の上昇が大きく関わっています

 

今年は、釧路,八戸といった、

寒流系の魚の水揚げが多い大漁港を中心に、

マイワシ,ブリ,マダイを始め、

暖流系の魚種の漁獲量が大幅に増え、

逆に獲れなくなった千葉県銚子や茨城県神栖あたりの、

今まで近くで暖流系の魚を獲ってきた大型漁船が、

大挙して北日本の海域で操業するようになりました

逆にそれら南側の漁港では、

操業が中小規模の漁船ばかりということもあり、

水揚げが大幅に減少しています

 

一方、今年はサケの仔稚魚が高水温のため壊滅したとの報もあり、

寒流系の魚種は、今後何年も、

影響を被るはずです

 

魚の話を中心にしてきましたが、

農作物についても、ほぼ同じ事態が進行しています

TVを見ていると、複数の気象学者が、いくつかの番組で、

この海水温の上昇は、

少なくとも数年にわたって続くため、

今後が冷夏はまず来ないと、予想しています

 

各地の農林漁業行政が、地域を越えて種苗や漁獲手段を融通しつつ、

特に国がこの状況に急いで補助金等で対応し、

農業や漁業に関わる人が今すぐにも、

大きな損害を出して離職,廃業する事態を防がねば、

日本の農林水産業は、

大げさでなく、数年内に、壊滅するかもしれません

防災も、農漁業も、今が正念場です(2024.7)