今回大地震が起き、

まだ同程度以上の揺れが起きる可能性もある、

大変心配な、台湾です

 

その台湾では、地震の震度の表わし方は、

日本とほとんど同じです

だから東海岸、花蓮県での震度6強は、

日本での感覚と、ほぼ同じものと、言って良いでしょう

 

ただ、ニュースで、

台湾各地の震度を挙げたものは見ないので、

映像は届いていますが、

特に内陸各地で、大規模土砂崩れや道路寸断の様子が、

どうなのか、よく分りません

 

台湾にいったことはありませんし、

どこかの地域に、知人がいるわけではないですが、

特に心配している1つは、

花蓮の北東50㎞に位置し、高山地帯に属する、

雪霸国家公園という、日本の国立公園に当たる地域です

 

ここには、台湾で、国魚並みの扱いをされる、固有の魚、

タイワンマス(サケ科サケ亜科タイヘイヨウサケ属)

がいるからです

 

タイワンマスは、サクラマス(同属)の陸封型、

ヤマメと非常に似た姿ですが、

サクラマスと違い、

降海型はありません

 

サクラマスの亜種であるか、別種であるか、

今も確定していないようです

恐らく、遺伝子検査をすれば、

どちらであるか、確定する可能性高いでしょうが、

まだその研究報告は、なさそうです

体長は、ヤマメより少し小さい30㎝

体側の大きめの暗色の点であるパーマークが、

ヤマメでは数が一定しませんが、

タイワンマスでは、9個とのことです

 

北半球のサケ亜目は、温暖な南方に行くほど、

同種の中でも陸封系の割合が高くなるので、

これがサクラマスの亜種であるという説の、

1つの根拠でもあります

どちらにしても、

西太平洋域で唯一、

陸封型しかない、サケ科魚類になります

 

なお東太平洋の側のタイヘイヨウサケ属で、

陸封系しかない種としては、

米国にアパッチマス、ギラトラウト、

そしてメキシコに、メキシカンゴールデントラウトがいますが、

タイワンマスは、

それらよりさらに低緯度地域に生息するという点でも、

貴重な存在と言えます。

 

現在は標高1,800-2,000mの渓流にのみ生息していますが、

以前はもっと標高の低い、

より多くの河川で報告されていたそうです

タイワンマスは、1992年に、

200尾余りにまで減少しました

乱獲や、流域の開発が原因とされます

そこで1992年に雪霸国家公園が制定されました

 

タイワンマスも、台湾の天然記念物に指定され、

生息域の河川の自然環境の復活、植林等の施策で、

保護が進みました

なんと2019年には約10,000尾、

そして2023年には15,000尾までに、

回復したそうです

 

恐らく他のサケ目魚類のような、

親魚から直接採る種苗生産をしての、

稚魚の数を増やす技術は比較的容易でしょうが、

それを行なわず、これほどの急回復は、

台湾政府の、生物保護の手腕の、

優秀さを示しているのでしょう

 

もちろん、現地の人々の安全、救援体制が、

犠牲者を出さないものであるということが前提な上で、

貴重なタイワンマズにも、

悪影響がないことを、心から願っています(2024.4)