TVのニュースで、

下関の造船所で、新しい捕鯨船「関鯨丸」が完成したと、

そして下関の町中で、

クジラの需要増加に期待が高まっているとの、

報道がありました

 

私の捕鯨に対する意見は、

以前書いた、「鯨肉のノルウェー風に育てられたけれど」に、

書いています

その文章とは、今も変わりがありません

 

現在の捕鯨船の代表、三代目日新丸が、

老朽化して昨年就航を終え、

すでに解体作業が始まっています

その大きさは、約8千t、

載せられるクジラ総重量は、6千tでした

捕獲対象が15t程度の、イワシクジラ,ニタリクジラ

(共に鯨偶蹄目ナガスクジラ科ナガスクジラ属)といった、

小型のヒゲクジラ類なので、

既存のトロール船の改造で、対応していました

 

そこに代船として完成した、

関鯨丸の総トン数は9,100t

なぜか積載可能重量は、検索しても見当たりませんが、

記事の中には、

ニタリクジラ100頭分というものもありましたので、

イワシクジラより少し小さい14tとすると、

合計1,400tと、

かなり日新丸より少なくなっています

 

クジラの消費量は、日本がIWC脱退をして、

商業捕鯨を再開しても、低迷したままなので、

大量に獲りまくっても、意味がない

それよりは、解体作業自体を、

それまでの、品質劣化を伴う甲板から、

船内に移すことで、最新の保存技術を、

施すことが出来るよう、改善したとのことです

 

そのことは、良いのです

ただ大きな気がかりは、

捕獲したクジラを船内に揚げる形を変更し、

70tまでに対応できるとしたことです

 

70tに達するクジラは、

シロナガスクジラ、ナガスクジラという、

ナガスクジラ科でも巨大な種

そしてセミクジラ科の、

いくつかの種類に限られます

 

例えば、

今ホエールウオッチングで人気のザトウクジラ

(ナガスクジラ科ザトウクジラ属)などは、

大きなものでも40tがせいぜいなのです

それほど巨大なクジラを獲る船なのです

 

関鯨丸は、今のところ、

日本の排他的経済水域内(原則200カイリ,1カイリ₌1,852m)

で操業するとの報道ですが、

航続能力は7,000カイリ

つまり能力としては、

南極海までいって、

前記の大型ヒゲクジラ類を獲りまくるための、

捕鯨船なのです

 

比較的個体数の多いナガスクジラで、

南極海の個体数は約8,000頭程度との、学術報告があります

 

仮に70tのナガスクジラであれば、

最低1航海20頭は、

獲りまくることが可能です

総積載重量が、もっと多ければ、

更にたくさん、獲れる力があるのです

 

日本はIWCを脱退していますから、

国際法上は、ナガスクジラを獲り放題です

もしかすると、より絶滅の危機にある、

セミクジラ類や、シロナガスクジラも、

数年後には獲り始めるかもしれません

繰返し書きますが、

日本政府も、水産会社も、

供給するクジラ肉の、種名や捕獲海域を、昔も今も、

実質的には、ほぼ未公開で済ませているのです

 

南極海,南太平洋の大型ヒゲクジラ類が、

もし何種か絶滅すると、

地球規模で、海洋の生態系の崩壊が、

起きるかもしれません

妄想,杞憂でなければ、奇跡的な幸運と思っています

 

下関のみなさんは、

クジラ肉のブーム到来などと、浮かれている場合ではない、

はずなのです(2024.3)