「日本海に面した北海道の積丹半島西側にある神恵内村で、産卵のために海岸に押し寄せたニシンで海面が白く染まる現象「群来」が確認された。村によると、最後に見られたのは1950年前後で約70年ぶりとみられる。2007年度から周辺で行われている稚魚の放流事業が功を奏している。」(2月28日付東京新聞)

 

以前に書いたことでしたが、「魚種交替」という、

とりわけ外洋性で群れで泳ぐ魚種で、

漁獲量が何年-十何年周期で極端に増減する現象を、

特に仔魚-稚魚期の捕食-被食関係、

つまり平たく言うと、餌や天敵の増減の状況、

そして水温や、海水の栄養塩や汚濁物質の状況が、

後からでは分らない中、

とにかく、それらの魚は、

卓越した数になる魚種が、準繰りのように交替するという、

実はほぼ、科学的根拠を証明できていない「定説」が、

水産学では、まかり通っています

 

その中で、日本近海のニシン(ニシン目ニシン亜目ニシン科ニシン属)

は、その学説??への反証として、

何十年待っても、

一向に資源量が回復しない魚として、

特筆されてきました

 

特に北海道の日本海岸で、初春の時期、

沿岸すぐ近くで産卵・受精するため、

大挙して集まり、

放たれたオスの精子が、

海を白く染めるほどになる、

群来(くき)と呼ばれる景色が、

ニシンが大量に獲られた時代の、風物詩でした

 

これも以前に書いたことですが、

ニシンは北海道の大漁の様が記憶に残っていて、

寒流魚と誤解されることが多いのですが、

他の多くのニシン目魚類と同じく、

暖かい海に住む魚です

 

ただ、同じニシン目の、マイワシやカタクチイワシよりは、

比較的低温域に生息するため、

江戸期から、北海道が、

最大の生産地として、

ニシンそのものよりも、保存も利き、

高額で取引されるメスの体内の卵=カズノコが、

北海道日本海岸の富を生んでいました

 

たとえ産卵前の親魚を、

カズノコのために大量に獲っても、

有り余る数のニシンが自然産卵し、

毎年沿岸の広範囲の浜で、群来が見られたとのこと

 

ちなみに現在、

正月に大量に消費されるカズノコは、

多く、同じニシンの分布する北米西岸や、

バルト海,北海を中心とした、

同じニシン属のタイセイヨウニシンのものです

ちなみにタイセイヨウニシンは、

ニシンより水深の深い水域で産卵するため、

群来の現象は、ほぼないそうです

 

上記の記事でもそうですが、

この2,3年、北海道での群来の報告が、

何回も報じられているそうです

こちらは一応、思考停止の魚種交替ではなく、

仔魚の放流=栽培漁業の結果と、

結論付けられています

 

そして、現在の北海道日本海岸沖では、

かつてのような、ニシンの一網打尽の、

大量な漁は、行なわれていません

群来は、そのための部分も、

あるでしょう

 

ニシンの産地から遠い西日本では、

身欠鰊からの、昆布巻きやニシン蕎麦以外、

ほとんど口にする機会がありません

まことに残念なことです

 

新鮮なニシンは、

塩焼きでも、アニサキス処理さえすれば刺身でも、

そして北日本名物の発酵食品、切込みでも、

濃厚で、皮目も旨い、そして骨まで食べることもできる、

個人的には、東日本の大衆魚の、

サケと並ぶ最高の味と思っています

また昔のように食卓が、

ニシンで満たされますように(2024.2)