(前編から続きます)
サケ類は、同じタイヘイヨウザケ属でも、
日本ではほぼ皆淡水に留まるベニザケ(陸封型ヒメマス)から、
河口近くで産卵され、
水温が上がるとすぐ海に全て降るカラフトマスまで、
生態には大きな差があります
サケも天然では陸封型がない種類にあたり、
孵化してしばらくのサイズになると、
淡水に出ていきます
やはり海水より淡水養殖の方が、
かなり安く済むこともあり、
近縁の沢山の種で行なわれているにも関わらず、
サケそのものの淡水養殖は、
日本でもまだ研究段階です
そのためサケの刺身は、
実は幻の食材でもあるのです
それに代わりサケの身は、
加熱の他、十分冷凍したアイヌのルイベ以外、
酢締めでも食べられてきました
サケ寿司としては、それを用い、
多く押し寿司で食べられてきました
昔はほぼなかったサケ漁として、
今は産卵前の沖合で、
時鮭(時知らず)、または銀毛と呼ばれる、
体表面の銀色のグアニン質が残り、
脂分を多く体に持ったものも捕られます
筋肉の赤身も、相当濃いもので、
サケの料理にはこちらが好まれます
しかし昔は、保存食の代表として、
大量に作られていた荒巻きにするには、
多少脂分が落ちた方が保存に適しているので、
淡水に入り、体の銀色が消えた、
ブナ毛(の色変わりが少ない段階のAブナ)、
あるいは秋味と呼ばれる状態が、
最も重宝されてきました
河川に遡上して外見が赤茶色になったサケは、
Aブナ,Bブナ,Cブナと進むにつれて、
身の赤身が抜けて、
シロザケという呼び名にふさわしい、
徐々に白っぽいものになっていきます
またイクラ(未受精卵)も、河川に遡上して、
ブナ毛になるまで成熟しません
そのため遡上しはじめたブナ毛を捕獲し、
イクラを取った後の親サケは、
主に海外に輸出されています
最後にサケが産卵,放精が終わると、
ホッチャレ、猫またぎと呼ばれる、
色も味も抜けた身になって、
間もなく一生を終わります
しかしこのホッチャレが、
クマはじめ陸上水中の、様々な動物の餌となり、
そして微生物に分解されていって、
森の豊かな栄養分となるのです
その親サケの由来の栄養分は、
春になるとプランクトンを養い、
河川や海洋において多くのいのち、そして、
稚魚である子ども世代への、餌となっていくのです
従って今後は、森と河川を豊かにする栄養も、
極端に減ると考えられます
さて、その河川に入った秋味ですが、
缶詰やサケフレークにも、
脂分の多すぎない方が適していますし、
以前は。今のように「トロ」を珍重する文化はなく、
少し脂の少ない、
秋味の寿司の方が、
一般には美味しいとされて来ました
近年、和食の好みも変わり、
マグロのトロやトロサバ等と並んで、
トロサーモン寿司ばかり珍重されます
もちろんわたしも嫌いではないのですが、
今に、昔ながらのサケ寿司は、
幻になってしまうかもしれません
サケ寿司ではないですが、今でも思出す味があります
大学時代何十回も乗った、当時の国鉄青函連絡船の船内の売店に、
荒巻き弁当という、
甘塩の焼ザケとたしか昆布佃煮だけの駅弁があり、
その鮭が本当に美味しいのです
深夜発の便でも売っているのですが、
すぐ売切れるので、乗船して居場所を確保すると、
いつも売店に走って駅弁を買っていました
今は無き青函連絡船の、最大の思い出でした
天気の良い日に、甲板に出て津軽海峡の景色を見ながら、
のんびり駅弁を食べていた時のことを、
時折ですが、懐かしく思起こします(2023.11)
