危機というと、もしかしたら言過ぎかもしれませんが、

土鍋で全国シェア8割,三重県四日市・萬古焼の土鍋が、

原料のジンバブエ産ペタライトの高騰により、

生産できないかもしれないそうです

 

ペタライトとは、

ペタル石(葉長石)と呼ばれるケイ酸塩鉱物のうち、

リチウムの含有量の多いものの名称です

萬古焼は、ペタライトを含む陶磁器が、

熱や衝撃に強いことから、

割れ難い土鍋として人気を保ってきました

 

兵庫県内で30数年前に土鍋を買ったときは、

蓋の糸尻に切れ込みのある萩焼で、

単なる店頭での印象ですが、

結構萩焼と萬古焼が拮抗していたはず

しかし最近は、関西でも大部分萬古焼のようです

 

EV車生産増加に従い、リチウム電池生産増のため、

近年ペタライトは高騰しています

萬古焼が原料の大部分を輸入していた、

ジンバブエのビキタ・リチウム鉱山は、

中国資本に買収され、

調達のめどが立たないそうです

リチウム鉱物含量を減らす研究に着手しているそうですが、

耐熱耐衝撃性の高い陶磁器は、

手が届かなくなるかもしれません

 

今、全国的に気温が下がる予報で、鍋の季節です 

その鍋に入る魚介類の具材は、全国的にも、

マダラはじめサケ,ハタハタ,カジカ類,ブリ,カキ,ハモ,フグ類と、

郷土料理も合わせ、多彩ですが、

瀬戸内海沿岸では、昔から、

あっさりした白身で、骨から身離れの良い、

また骨から良いダシが取れる、

ハゲの鍋が一番人気だった気がします

ハゲは皮が固いけれど、手でむき易く、

鍋の時は子どもの役目という家庭も多かったようです

 

だった、というのは、

ハゲ、特に明石でマルハゲと良く呼ばれる、

カワハギ(フグ目モンガラカワハギ亜目カワハギ科カワハギ属)

が安定して安かったのが、

最近、価格上昇しているためです

 

もう40年以上前ですが、

京都で、伊勢湾の魚を安く提供する割烹で、

初めてカワハギの身や肝の刺身を食べ、

味,うまみの濃さに驚いた記憶があります

近年、全国的に新鮮なカワハギが手に入るようになり、

逆に、鍋の具材としては、

徐々に高級になりつつあります

 

カワハギの肝は大きく、鍋や煮付けでも美味ですが、

フグの親戚ともいえ、特に新鮮な肝の刺身は、

フグ類に匹敵し、しかも毒がないことで、

人気があります

これも高級魚化の一因です

 

西日本のブリ養殖生け簀では、

砂底や岩礁についた動物を硬い歯で齧り取る食性から、

生け簀の網につくムラサキイガイを除去するために、

一緒に飼う養殖が増えていて、

養殖カワハギも良く出回るようになっています

 

旬は一応、夏とされていますが、

肝は秋に大きく太り美味しいので、

鍋魚でもあり、むしろ秋冬に多く消費されます

暖流域の外洋にもいますが、

漁獲量が多いのは、瀬戸内海のような内湾であることも、

昔から全国的に食べられてきた理由でしょう

 

また、関西で同じくハゲと呼ばれる、

細長く、名前そのまま顔つきの、

ウマヅラハギ(カワハギ科ウマヅラハギ属、

明石ではナガハゲとも呼ばれるようです)も、

多く店頭に並ぶ魚です

 

こちらはカワハギよりむしろ沖合、外洋性の底生魚で、

魚種交替により、漁獲量の増減が大きいため、

鮮魚よりむしろ、干物等加工品として、

多く利用される魚です

カワハギには及びませんが、身,肝共に美味しい魚で、

これはカワハギでもみられることですが、

クラゲ類、エチゼンクラゲのような大型のクラゲまで、

海面近くまで群で泳ぎ挙がって襲って食べる生態があり、

「クラゲを食べる魚は美味」と言われる、

その一端を担っています

 

なお、ウマヅラハギとそっくりで、

多く同じ、ハゲ等の名で呼ばれるけれど、

多少味が劣る、キビレカワハギ(同属)という魚がいます

黄色っぽい体色に加え、

ウマヅラハギの後頭部の棘が、目よりも後方にあるのに対し、

キビレカワハギでは目の真上に位置することで、

容易に見分けられます

ただ残念ながら皮が剝かれると、

鰭の軟条が、背鰭33-37,腹鰭32-36,胸鰭13-14、

という条数を組合わせて判断するしかありません

 

外洋の水深200m以深の深海にすむ魚で、

新鮮なものはあまり手に入らないようなのが、

味が劣るとされる原因かもしれません

ただ最近では、相模湾あたりでも多く採れ、

こちらも高級魚化目前かも知れません

機会があれば、まだ手が届く間に、

ハゲ3種の食べ比べをしたいものです(2023.11)