もう先月の話題ですが、

ラグビーワールドカップで南アフリカが優勝しました

 

南アのラグビーは、

永らく南ア政府のアパルトヘイト(人種隔離政策)のため、

国際大会から締出されていましたが、

人種差別と闘い続け、永年投獄されていた迫害に負けず、

ついに平和裏に勝利した、ネルソン・マンデラのもと、

1991年アパルトヘイト事実上廃止、

1994年普通選挙でマンデラ大統領誕生まで進みます

そして初の国際ビッグイベントとして、

1995年第3回ラグビーワールドカップ自国開催により、

ラグビーは新生南アフリカの象徴に躍り出ました

 

それまで南アのラグビー競技者はほぼ英系白人で、

黒人からはどちらかというと反感を持たれていたのが、

ワールドカップ大会中に、マンデラ大統領が、

南ア選手を訪問し、君たちは祖国の誇りと、

讃えたことで、南ア世論が一気に変わり、

初出場初優勝、しかもオセアニア勢優勢の中、

唯一のアフリカ地域の優勝国として、

世界の注目を浴びました

前回,今回連覇の南アナショナルチームには、

28年前には1人もいなかった、

黒人選手が多数派になり、

しかも硬いチームワークで強敵を撃破し、

南アが未だ問題山積ではあれど、

その統合の象徴として、

多くの人たちの希望となっていることは、

私たち、世界中の人々の希望でもあることと感じています

 

その南アナショナルチームのチーム名が、

スプリングボクスです

多くの試合をカンカンになって見ていて、

南アの強さの、とりこになっていた家族も、

スプリングボクスとは何のことかは、

知らなかったし、

実況放送でも説明はなかったと言っていました

 

南アと、ナミビア・アンゴラ・ボツワナというアフリカ南部には、

鯨偶蹄目ウシ科ブラックバック(アンテロープ)亜科に属する、

ラテン語で「ガゼル(カモシカ類の総称の意)ではない」

という、少し気の毒な学名が付けられた哺乳類がいます

スプリングボック属スプリングボックです

 

南アのアフリカーンス語で、「跳ぶカモシカ」の意味です

ケニア等にもいるという記述もあるようですが、

比較的近縁のブラックバック類との混同です

 

スプリングボックはいかにもガゼル,カモシカという姿ですが、

背中と前後脚の外側以外は真っ白

雌雄ともに少し内側に曲がる長い角を持ち、

目から鼻にかけて1対の茶線が走る顔つき

なかなかカッコいい姿です

 

しかしその最大の特徴は、

カモシカ類としては中型の大きさながら、

立止まったまま最大3mをはるかに超す大跳躍をする、

飛抜けて高い身体能力を持つ、動物であることです

 

これはブロンキング行動と呼ばれ、

体力,能力の高さを異性に見せる性選択とも、

捕食者をひるませる行為、

あるいは天敵を仲間に知らせるサインともいわれています

 

スプリングボックにとってブロンキング行動は、

幼い頃の遊びの中でも良く見られ、

防御力が低く、

幼獣が肉食獣の犠牲になる率の高いカモシカ類の中で、

小さい頃から飛回って逃げる力となり、

生存のための大切な戦略とも考えられています

 

メスが子どもと共にかつては数千頭以上、

乱獲で減った今でも数十-100頭以上の群れを作り、

繁殖期は最強の雄がその群をハーレムとする生態です

 

アフリカ南部の固有種と言える、スプリングボックは、

かつて宝塚や大阪の動物園での飼育例はありますが、

現在日本で飼育する動物園はありません

ワシントン条約で禁じられてはいませんが、

日本では今、

口蹄疫の恐れのある鯨偶蹄目類動物の輸入が、

禁止されているためです

海外の動物園での飼育の情報は分りませんが、

アフリカ南部の野生の中で、

飛び跳ねる姿を見に行くしかないかもしれません

 

南アの世界的に有名な動物は、

1938年に世界で初めて発見されたシーラカンスが、

一番かも知れません

しかしその、コモロシーラカンスは、

実際には南アの海には、ほぼいないようです

 

南アでは、生物の代表は何と言っても、

スプリングボックとされているそうです

パワーあふれるラグビー南アスプリングボクスの、

イメージとはかなり違いますが、

南アの人々の誇り、という話も、

素直にうなずける話です(2023.11)