イボダイ,エボダイ,シズ,ウオゼ,シス,モチノウオ等々、

各地で様々な方言で呼ばれてきた、

魚についてです

 

このような場合多くは、

19-20世紀の東大水産学者が、

東京湾周辺で呼ばれている方言を、

他の地域を顧みず和名としました

その1種が、

イボダイ(イボダイ科イボダイ属)です

 

一応スズキ目イボダイ亜目とされています

しかし、スズキ目の高位分類は、

研究が難しく、進んでいないもの多く、

当分どうしようもなく放置かも知れません

 

イボダイ,エボダイとは、

上鰓蓋骨の上後方にある特徴的な黒斑点を、

イボに見立てた名で、

あまり食欲が増す名ではない気がします

 

旬は、初夏-夏の産卵期以外ですが、

40年前、東京では、

あまり魚屋で見かけなかった気がします

名前のせいで、

美味しくないと思う誤解からかも知れません

改名してほしい

 

しかし本当は、

熱を加えても柔らかく身が崩れ易いのですが、

煮ても焼いても炙っても刺身でも干物でも、

驚くほど美味な魚なのです

体が粘液で包まれていますが、

洗い落としやすく、

粘液が多いほど新鮮なので、

店で洗い落とされているものを買う時以外は、

粘液を嫌がらず調理した方がよいと思います

 

私の周りでは、

シズと呼ばれることが多いようです

静、賎の両方の字を当てることがあるけれど、

今の時代、静のイメージを持つ人が多いでしょう

本当にこれからは、

シズという名がもっと広がればと思います

 

なお、淡路島南部でクラゲウオという方言で売られていて、

スーパーで見たことがあります

イボダイ科,エボシダイ科では幾つかの種で、

クラゲウオと呼ばれます

 

それだけでなく、

エボシダイ科スジハナビラウオ属の、

和名クラゲウオという魚までいます

イボダイはそうでもないですが、

これらの魚の多くは外洋性です

和名クラゲウオもその1種です

成熟した魚はまだ得られていない、

ほとんど採れず、食べた話も聞かない魚ですが、

まことに紛らわしいことです

 

これは、イボダイ科,エボシダイ科の、

多くの魚はクラゲ類を常食とするだけでなく、

稚魚がクラゲの触手の中にいる生態で、

隠れ家として用いつつ、

それなのに触手を食べて生きるひどい間借り人

しかし時に、

食べようとする敵を触手の中に誘い込んで、

家賃も払っているという面白い生態です

おそらくそれが印象的なので、

種を越えてクラゲウオと呼ばれているのでしょう

 

なお、日本で最も愛されている地域は、

ウボゼ、ウオゼと呼ぶ和歌山県と、

ボウゼと呼ぶ徳島県では、と思われます

特に徳島沿岸地域の秋の味覚の代表の1つが、

この、ボウゼの姿寿司です

昔から秋祭りの御馳走は、

酢締めの背開きを用いた、姿寿司だそうです

 

頭まで柔らかく食べられ、

アユ,サンマやサバの姿寿司よりも、

美味しいという県外の評判も(一部で)、

あるそうです

 

シズは30㎝にまで成長する魚ですが、

姿寿司には10㎝未満の小ぶりの若魚が、

良く用いられるそうです(2023.10)