前回サンマで缶詰の話を書きましたので、

続けて、今度はサバ缶の話もいたします

私の反省も込めて

 

食べるという点で、魚の中で最も好きなのは、

サバ類(ペラジア類)とサケ類(サケ目)です

サケは近年、

陸上養殖で寄生虫のないものが、

「サーモン」と呼ばれ、

刺身で手軽に食べられるようになりました

しかしサバでは、

養殖魚は、まだまだ希少で高級魚扱いです

なので、手軽なサバ缶も大好きです

 

サバ類(マサバ,ゴマサバ,タイセイヨウサバ)は、

大量に漁獲され、

様々に加工されます

しかしその漁獲量の半分近くもが、

家畜の飼料や肥料になり、

人間の食料とはなりません

 

さらにいえば、漁獲された内、

どれほどが商品価値がないとされ、

そのまま投棄されているか、

本当は、残念ながら、

調べるすべはありません

 

その理由は大きくいって3つ

①  ノルウェー近海のタイセイヨウサバの、

脂が乗りすぎていること

②  乱獲により魚体が小さくなり、

消費者から敬遠されていること

③  サバ缶がみな同じく100円程度と、

長年の消費者の刷込みが大きな無駄を招いていること

 

この特に③が、資源減少および、

大量のサバを人間の食用から妨げている、

大きな理由だそうなのです

 

タイセイヨウサバは、今も比較的資源量が多く、

大量に漁獲されています

日本だけではなく、各国向けに、

船上で加工され、

そのまま冷凍や常温で輸送・水揚げされます

もちろん塩焼きや煮付けのため、

冷凍加工に用いられるものもありますが、

大半は本来、缶詰用なのです

 

しかしそのタイセイヨウサバは、

脂が乗りすぎ、

日本人が最も好む水煮缶に、

適さないものが多いのです

 

缶詰でも、醤油煮や味噌煮缶は、

昔から水煮缶と比べ、

新鮮でないものを使っていると、

言われていました

しかしそれは、ほぼウソです

脂が多すぎる、あるいはサイズが小さいものが、

水煮缶には敬遠されていて、

利用できる量が少ないためなのです

 

このため、原価では、

圧倒的に水煮缶が高いのですが、

消費者価格は、長年のデフレとも相まって、

ずっとどの種類でも、安めでは100円程度でした

 

最近は値上げラッシュですが、

水煮缶だけ高価格、とはなっていません

逆に言えば、

脂が食感に影響し難い、

味付缶がもっと日本で利用されれば、

おそらく漁獲したサバの食料利用率は、

世界的に上がります

 

そして水煮缶のために、日本近海で、

脂の乗り過ぎていないサバを取ろうとすると、

どうしても、「ローソク」と呼ばれる、

小型のサバも大量に混獲してしまいます

小型魚は人気がないので、

将来の資源量の減少を招く幼魚を、

無駄に獲った上、食べずに終えているのです

 

クックパッド等を検索すると、

水煮缶は当然ですが、

味付缶の料理レシピも、

大量に出てきます

オリーブオイル漬け缶、カレー煮缶もあります

それらをむしろ好んで消費する文化になれば、

結果的に、サバ資源を守るのです

 

実はこのことは、

私自身、2022年以来の値上げラッシュで、

サバ缶がほぼ100円で買えなくなり、

慌てて調べるまで、あまり気にしていませんでした

いつも安い水煮缶を狙っていたことを、

今は反省しています(2023.7)