本当はもう少し先、

おそらく7月末にでる水産庁の、

今年度サンマ長期海況予報が出てから、

書こうとも思っていたのですが、考直し、

今サンマ(サンマ科orダツ科?サンマ属)の話をします

 

サンマ1夜干の塩焼きの好きな方は、

多いと思いますし、少し前までは、

回転寿司屋で、

サンマ刺身の握り寿司は定番でした

 

しかしこのところ、

毎年のように、サンマ漁獲量は、

前年を下回っています

今年も、3月の資源管理国際会議では、

昨年より各国併せた漁獲量総量を、

25%減の約25万tとし、

その中で日本の割当て量も、

約12万tに削減しています

 

そのため4月の農水省審議会では

今年度のサンマ漁獲量が、過去最低となると予想し、

日本食の海外での定着も重なり、

今年のサンマの総量は、昨年より、

3/4以下になることが、事実上決定しています

 

しかし各国の争奪戦による、

競争に負けた部分を別として、

全体のサンマ総量がなぜ減っているか、

未だに定説はありません

これは、世界的にみられる表層魚、

マイワシ,カタクチイワシ,サバといった、

プランクトン食の大衆魚から、

クロマグロはじめマグロ類やカツオといった、

動物食の魚類まで、未だに、謎があるのです

 

おそらく、ほぼすべての魚類が、

陸上の四肢動物と比べものにならないほど、

孵化から成体となる過程で、

多かれ少なかれ生息環境や、

捕食者・被食者の関係が、

複雑に変化するためと考えられます

 

一般論として漁獲高減少が進めば、

水産行政では、理由が分らないまま、

乱獲の影響でないとの希望的観測から、

「魚種交替」と呼んでいます

しかし例えばニシンのように、

100年近く、いくら待っても、

漁獲量が復活しない魚種もあります

身近な日本近辺の魚でいえば、

数年前まで順調に増えていたマサバが、

今はかなり危機的です

 

そしてその、右肩下がり魚種の代表が、

サンマです

 

サンマの分類学上の位置は、

実は大きく説が分れています

伝統的にはダツ目とされてきましたが、

そこからトウゴロウイワシ目として独立させる

さらにオヴァレンタリア類という新しい分類群にまとめる等

私は一応最後の説の可能性が大きいと思いますが、

振れ幅の大きさは、まだ収束していないようです

 

なぜそこを気にするかといえば、

一生のほとんどを外洋の表層魚として生活する上、

卵は、表層魚として比較的大きい2㎜ほどで、

付着糸のある卵で流れ藻にくっついて拡散する生態

 

遺伝的には今のところメダカと近縁らしいですが、

親潮の寒流域で成長した後、

産卵のため潮境を越えて黒潮本流よりさらに南にまで、

回遊する(戻りサンマ)という、

非常に特異な生態を持つことが、

近縁のどの生物と近い初期生態か不明

産卵場所含め、未だ謎多い魚です

 

多分この辺りを解明することも、

本当に資源管理が出来、

毎年美味しいサンマを食べる文化を守るには、

必要では、と思っています

 

ただ、今はまだ途上です

それまでの妥協策の1つは、

サバ,マグロ,カツオとも通じますが、

もっと缶詰に頼ることでは、

ないでしょうか

 

新鮮な生鮮魚に慣れると、

つい、缶詰を低く見がちです

でも、本当は、

魚の有効利用、また余裕のある時期に獲れた魚を、

安全かつ安価、そして長期的に利用するため、

缶詰も捨てたものではありません

 

70年過ぎまで関西の人々は、

サンマの缶詰の大工場が神戸・明石に多く、

本気でサンマは明石産と思っていました

明石家さんまの師匠は弟子に、

サンマ=明石名物と、名付けたそうです

たとえ漁獲場所が北日本でも、生サンマはなくとも、

サンマは神戸・明石の文化なのです

今は蒲焼だけではありません

もっとサンマを缶詰で食べましょう

ウナギより好きな人も、

それなりにいるようですし(2023.7)