少し前、ミッションスクールの4大やその前短大で、

講師をしていたことがありました。

その間、毎年ではなかったのですが、

受持った講義の中で、

「生命科学とキリスト教」という、

テーマを設けて話をした経験があります

 

4大2回生や、短大1年後期の学生

ミッションスクール必須のキリスト教学

戦前からの名門校で、ある意味、

ファッションとしてのキリスト教を、

保護者から望まれ学んでいる学生に、

何が話せるか、自分としては結構、

天の高みに、手を伸ばしたつもりでした

 

多分ミッションスクール教員としては、

落第だったかもしれません

進化論への同意を含め、

現在の先端のキリスト教神学および、

リベラルな思想を共有する仏教等の思想の潮流を、

学生たちに語ることは、

私としては大きな使命と受止めていました

 

あくまで個人的な感触ですが、

毎回少なくとも1割ほどいた、

周囲の居眠りの学生の中で、

目を見開いて、もしかしたら怒狂って、

私の話を聞いていた学生の顔は、

今でも忘れられません

 

その講義の進化論部分の中で、

①  進化科学をカトリック中心にキリスト教が認める、

資料提示と共に、

私が伝えたいメッセージは、

②  ヒトは万物の霊長ではない

③  生物にとって、進化とは進歩ではない

この3つが中心でした

 

最初に講義を担当した頃は、

イチローさんの活躍をマスコミが「進化」ともてはやし、

またポケモンが人気で、

「進化」が簡単に語られていた時代でした

ポケモンのそれは、

「進化」ではなく生物学用語では「変態」

だといっても、

学生の笑いを取ることも出来ず、

スベった雰囲気の中に少しながら敵意さえ混じる空気

 

しかしそれでも、押付けられた偏差値とはまた違い、

幼くとも賢さを感じる、若い人格の可能性に関わる、

責任に鳥肌の立つ体験でした

 

明治時代初期に、

東大中心の教鞭をとった外国人自然科学教師は、

日本の青年が驚くほど素直に、

進化論を受入れたことに、

驚愕したとのことです

 

その一方、

札幌・横浜・熊本はじめ、

バンドと呼ばれるミッション伝道で信仰を持ち、

西洋文化の発信者となった人々は、

多く当時米国の保守的な、

進化科学への敵対心を受継ぎました

こちらも事実です

 

遺伝子病問題、性的少数者差別、核問題、

多くの中に、私たちの先入観・差別意識が作用します

100年を超えて、はるか後の世代のはずの私たちが、

清算せねばならない問題がある以上、

これまで大きな顔をして発言してきた私たち老人には、

本気で、本当の知識に基づいた、

言葉を遺すことが、おそらく、多分、

神の召しです(2023.7)