「アーメン」という言葉は、
キリスト教の宗教用語のように思われていますが、
元は、ユダヤ教で祭司や教師が聖書や聖典を読んだ後、
会衆や生徒が唱和する、
「その通りです」という意味のヘブライ語です
それが、キリスト教、
さらにはイスラム教にも引継がれ、
祈りの言葉に続き、
皆で言葉を合わせて唱えるものと、
なりました
「アーメン終止」という音楽用語は、
ミサ曲や讃美歌でしばしば、
曲を歌い終わった後、簡単に縮めると、
同じ調で長調なら「♪ファー♪ミー」と、
最後に和声で続ける、終わり方を指します
転じて、死ぬ、あるいは終わることを、
アーメンと表現する、俗語になりました
これは宗教を越え、世界共通のようです
日本の音楽の世界では、
飲み会の後の〆めのラーメンを、
ラーメン終止というそうです(脱線でした)
生物の学名や各言語の名では、
その点で、ある意味当然か、
アーメンの名が冠された生物は非常に少なく、
マレー半島,スマトラ,ボルネオ生息の熱帯雨林の樹木の一種、
ヤマモガシ目(マカダミア(ナッツ)が有名です)
ポロポロノキ科の、プタリン(Ochanostachys amentacea)
くらいしか見つかりません(ネット検索は不確かですが)
その中で、1頭につけられた名前なのですが、
アーメン(1960-2008)という名の、シンガポール動物園の、
メスのオランウータン(サル目ヒト科オランウータン属)は、
世界的に名の知られた存在でした
非合法に飼育されていたところを11歳で保護され、
美しさと生物保護で有名な動物園で、飼育されました
オランウータンは野生では基本、単独行動ですが、
多頭飼育の中、
群のリーダーのような存在になりました
知能が高く、人にも非常に慣れていて、
「アーメンと(または、ジャングルで)ブレックファースト」
という、ディナーショーのように観客が、
檻の前でアーメン(および仲間たち)の姿を見て朝食をとり、
最後に記念写真を撮るというイベントが、
世界的な人気を博しました
アーメンさんもそれを、高齢になるまで、
楽しんで続けていた、という報告があります
また、あまり生態の知られていなかった、
オランウータン(森の人の意)の研究、
ひいては減少続く熱帯雨林の環境に、
人々が関心を持ち、保護活動が盛んになる、
大きな推進力になったそうです
アーメンは90年代後半からは、
高齢のためほとんど入場者の前には、
出なくなったようですが、
ヒトでいえば95歳になるまで、長生きしたとのことで、
その葬儀は、世界中に報道されました
特に哺乳類はじめ知能の高い動物の、
動物園・水族館での展示には、
反対する意見があります
私にも、その気持ちはあります
その一方、人間の環境破壊で、
絶滅の危機にある生物を保護し、
生態・繁殖の研究および行動展示によって、
社会の野生生物に対する認識を高め、
自然保護への世論を高める中心的な働き
これは動物園・水族館を置いて、
他に代わるべき施設はありません
アーメンさんは、その大切さをヒトに知らせた、
先駆者と言っても良いと思います
シンガポール動物園では、
後継者(直接の子どもではないそう)の1頭が、
アーメンJrと名付けられたそうです
「ジャングルでブレックファースト」は、
「出演者」の体調に配慮するやり方も、
人気の理由の1つだそうです
アーメンさんは、なぜそう名付けられたか、
調べても見つかりません
でも「アーメンを引継ぐ」=Jrという名前が、
ヒトでなく、オランウータンなのは、
少しだけ、愉快です(2023.6)
