まだ見ていない映画なのですが、

映画『海獣の子供』に出てくる、

分岐分類による系統図について、質問を受けていますので、

何回か、その生物について書くことを続けています

今回は、サカタザメ上科魚類です

代表的なものは、サカタザメ科と、

シノノメサカタザメ科です

 

サカタザメ類は、サメと名がついていますが、

鰓穴が腹側にある

体側と胸鰭が一体化している

肋骨(偽肋骨)がない

以上の形態を持つ、エイ類の仲間です

 

かつてはサカタザメ目が設けられていましたが、

現在はノコギリエイ目サカタザメ科とされる分類が、

有力になっています

いずれにせよ、最初にツノザメ上目と分れて、

エイ類として進化した祖先種からの、

形態変化の少ない直接の子孫のようです

 

胸鰭が体の前部だけで、

後部はサメの姿そのままなので、

昔からサメから最初に分れたエイのグループと考えられて来ました

形状から、

ギターフィッシュ(シャーク),シャベルフィッシュ(シャーク)と、

呼ばれています

 

サカタザメ科は現在3属34種とされており、

そのうち日本近海にいるのはサカタザメとコモンサカタザメです

コモンサカタザメは胸鰭が少し角張り、

背面に小班(小紋)がたくさん見られるので、

割合容易に見分けられます

 

エイ・サメ類は浮袋がなく、

浮力をつけるためのトリメチルアミンオキシド(TMO)という、

アンモニア化合物を一般に体内に持ち、

魚が死ぬとトリメチルアミン(TMA)に変化して、

サメ臭さの原因となります

 

しかし底生の種では浮力をつける必要がなく、

TMO濃度が低いので、匂いがなく、

美味なものが多いようです

中でも、サカタザメは最高に美味しいとの話があります

卵胎生で、夏期に数匹の仔魚を出産します

旬はない,分らない、

あるいは秋-冬と言われることもあります

 

しかし、これら底生エイ類は、

まとまって漁獲されることがまずないので、

美味しさの割に、市場に出回ることが稀にしかなく、

多くはフカヒレや練り製品の原料としてしか用いられません

その意味で、未利用魚の切り札的存在ではありますが、

多くは個体数が少ないので、

すぐ乱獲により絶滅する恐れがあります

 

その代表といってよいサカタザメ

(以前住んでいた出雲地方ではスキ,スキザメとも呼んでいました)も、

現状のように、

漁師飯として珍重されるだけの在り方の方が、

良いのではとも思われます

 

そして3属11種(1説には1属1種)のシノノメサカタザメ科のうち、

日本でたまに見られるのがシノノメサカタザメです

吻と胸鰭は尖った三角形になり、

よりカスザメに似た姿です

こちらは胎生のようです

 

3m近くまで成長するため、

巨大水槽のある水族館では、

飼育され、目を引くことも多いようです

捕獲例が少ないこともあり、

ネットで検索しても、

身を調理する例は見つかりませんでした

 

もしかしたら、活発に泳回り、

外洋性の魚を捕食することも多いので、

TMO を多く持つかもしれません(情報がありません)

ただ、多く大型のエイ・サメ類と同じく、

フカヒレをとるため乱獲され、

絶滅が危惧されています(2023.4)