花組公演「蒼月抄」「EL DESEO」 | 世界史オタク・水原杏樹のブログ

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世界の史跡めぐりの旅行記中心のブログです。…のはずだったんですが、最近は観劇、展覧会などいろいろ。時々語学ネタも…?
現在の所海外旅行記は
2014年9月 フランス・ロワールの古城
2015年3月 旅順・大連
2015年8月 台北(宝塚観劇)
を書いています。

「蒼月抄」は、平家物語の中でも平知盛を主役にしたお話です。
私は日本史に詳しくないし、平家物語もよく知りませんが、平家が没落していく過程がよくわかりました。一の谷の合戦が大きなターニングポイントだということもわかりました。

キャラクターもわかりやすいです。おごり高ぶる平家の象徴のような平清盛は英真なおきがコッテリと演じました。
清盛の長男で後継者の宗盛は一ノ瀬航季。ひとこちゃん(永久輝せあ)の知盛はその弟で、清盛に最も愛されたとか言われているらしく、控えめで少々気が弱そうな兄よりも後継者にふさわしいのではないかと思われるような、兄弟のバランスがうまく表現できていました。

知盛の弟、重衡は聖乃あすか。清盛の命に従って南都を焼いてしまったことに悩みます。
清盛の弟の息子すなわち知盛のいとこにあたる教経は極美慎。声も太く作って勇ましい武将ぶりを印象付けました。

物語は、藤原家の娘明子が知盛に嫁ぐところから始まります。明子は平家に嫁ぐことをきっぱりと拒み、父親の藤原忠雅(紫門ゆりや)は清盛が約束してくれた大臣の地位を取り消されたら大変、と大慌て。と、わかりやすい展開。

しかし明子は知盛に連れ出されて月の光の下で口説かれてしまいます。
でも、この月の場面ですが、私はA席だったので、月の下の方がうっすらと見えただけでした。きっとB席だと全く見えないと思います。演出に配慮が足りません。

やがて二人は結婚して知章(美空真瑠)という息子にも恵まれます。

しかし源氏が兵を起こし、平家は都から落ち延びることに…。

源氏側では源義経(希波らいと)とその部下だけ出てきます。イメージ通り強くてカッコいい役です。

ほのかちゃん(聖乃あすか)と、組替えで来た同期の慎ちゃんは対照的な武将ですが、和議を主張していた重衡も、いったん戦うと決まったら勇ましく戦い、二人が並んで戦う場面は頼もしく感じました。同期の並びはいいですね。

最後に平家が滅びるのはわかっていますが、それをずっと後に四条局(朝葉ことの)と後高倉上皇(天城れいん)が回想する形で進んでいきます。四条局は琵琶を弾きますが、もし上原まりが存命なら琵琶の音源に使われたかも…などと思ったりしました。

それでですね、平家が滅んでいく過程はよくわかりましたが、なんだか手際よく話を進めました、ような感じで終わってしまったような。

しかも、和議を拒んで「最後の一人になっても戦う」とか、勇ましいんですが、そうやって滅んでいくことを肯定していいんですかー?と思ってしまいました。ちょっと昔に日本人は敵に屈することを拒み、最後まで戦うことを美化してボロ負けして散々な目に遭ったはずなのに。
しかも、平家はおごり高ぶり人命を軽視していたから、人々の恨みを買って、源氏が挙兵するのに呼応する人たちが集まって敗れて行ったので、自業自得です。それに対する反省はないんでしょうか。戦うことを美化して自分たちを正当化するのはどうかと思うんですが。

で、知盛は最期は討ち死にではなく入水するんですね。最後まで戦う決意をしておきながら、戦うのをあきらめて自害するなら、そこに至る決意や葛藤などをきちんと描いて欲しかったです。いつの間にか死んじゃった…みたいな印象が残りました。まあそれならそれで、セリの上から華々しく飛び降りるとか、もうちょっと盛り上げてくれないかな。

きれいにまとまった話のように見えて、よく考えたら「あれ?」と思う所がポロポロ出てくる内容でした。

ショーは花組では久々のラテンです。
まず銀橋に妖しい女役さんが4人。やっぱり男役さんでした。しかも聖乃あすか、極美慎、侑輝大弥、希波らいと。
プロローグが始まると、みんなオラついていました。派手な色彩のヒラヒラとか、花組で見るのは新鮮です。

でも、中詰の死者の日は…ガイコツモチーフがちりばめられていて悪趣味に思いました。最近はメキシコの「死者の日」の祭りは日本でも知られてきましたが、それでも舞台を見ただけでは何をしているのかよくわかりません。昔のショーならもっと説明するような歌を最初に入れてくれたんじゃなかろうかと思いました。今日は死者の日、亡くなった人の霊が返ってくる日、生者も死者も共に踊ろう、とか何とか。
それでもガイコツを使った衣装をスターさんに着せるのはどうも…。

後半「エル・クンバンチェロ」は良かったですし、そこからフィナーレになって燕尾服の群舞、デュエットダンスの流れは華やかできれいでした。