「今に生きるラテン語を求めて 「永遠の都」ローマ滞在記」
ラテン語さん:著
PHP
ラテン語さんの本は以前「世界はラテン語でできている」を読んだことがあります。ラテン語と言えばヨーロッパの古典語ですが「死語」というイメージです。しかしラテン語が現在のヨーロッパに大きな影響を及ぼしているのは確かです。
とはいえ、日本人でカトリックの聖職者でもないのにラテン語を学ぶ人はそんなにいるんだろうかと思っていたら、「ラテン語さん」はかなりのラテン語好きらしい。
そうしたら、イタリアにラテン語で生活する寄宿学校があるという。ヴィヴァリウム・ノヴムといいます。ラテン語さんは知り合いの教授を通じてそこへ短期で滞在する許可を取り、そこでの滞在記がこの本です。
その学校はローマの郊外にありますので、まずローマに行きます。そこで街を歩いただけで、昔の碑文だの噴水だのがいろいろあってラテン語が書いてあるのを発見します。
学校着いたらまずラテン語で「私はここに滞在しに来ました」と伝え、部屋に案内してもらうまでずっとラテン語。学校の建物は、16世紀に古代ローマのヴィラの跡地に建てられた邸宅。
ここではまず「Familia Romana(ローマの家族)」という初心者向けの易しいテキストで学びます。ラテン語で「易しいテキスト」ってあるんだー。古代ローマの家族の物語だそうです。最初の方は易しくて、だんだん難しくなっていきます。そういえば、私が持ってる白水社の「エクスプレス ラテン語」の内容も古代ローマ人の会話ですねえ。やっぱりラテン語は古代ローマになるんですね。
この本でラテン語さんは「やさしい文章ではあるがまとまった長さのものをラテン語で読む喜びを味わった」そいうことです。なるほど、これは多読に通じる感覚です。ラテン語でそういう体験ができるんですね。
日曜日にはローマの街歩きに行きます。色々な所でラテン語に出会うことができます。ローマですから古代ローマの遺跡も豊富ですし博物館もあります。いちいちラテン語に出会ってその内容を書いている様子は本当に楽しそうです。
ヨーロッパでは中世の書き言葉はずっとラテン語でしたが、その後もずっと碑文などにラテン語が使われ続けてきました。そうしたら、「1937年帝国元年」の年号の碑文が見つかりました。あー、イタリアのそういう時代ね…。ここういう時代までラテン語が使われてきたんですね。
私はウィーンに行った時、ホーフブルク宮のミヒャエル門の上にラテン語の碑文を見たことがあります。内容はわかりませんが、フランツ・ヨーゼフ1世の名前が書いてあるのはわかりました。なので19世紀に刻まれた碑文もラテン語なんだなと思ったことがあります。
授業は易しいテキストだけではなく、詩を読んだり古代ローマから中世ヨーロッパのラテン語の文章を読んだりとかなりハードになっていきます。
さらに、ギリシア語の授業もあります。これまた初級者向けの本があるそうな。さらに新約聖書も読みます。新約聖書のギリシア語は古典ギリシア語ではなく「コイネー」というギリシア語ですが、古典ギリシア語がわかっていれば読めます。
また、ボローニャまでラテン語の先生に会いに行ったりします(会話もラテン語)。
バチカンにも行きました。教皇が建てたものにはそれを示す碑文が書かれていますが、17世紀だろうが21世紀だろうがラテン語で書かれています。聖書の言葉もラテン語で書かれています。カトリックはラテン語聖書を使いますから。
盛りだくさんの勉強に充実した日々を送ったことが伝わって来て、本当に楽しそうだなと思いました。
ヨーロッパでは、ラテン語ネイティヴはいないとしても、ラテン語はずっと身近にある言葉のようです。私ももっとラテン語がわかったらいいのにと思いますが、語学の勉強は片手間ではできませんのでなかなか…。
