世界史オタク・水原杏樹のブログ

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世界の史跡めぐりの旅行記中心のブログです。…のはずだったんですが、最近は観劇、展覧会などいろいろ。時々語学ネタも…?
現在の所海外旅行記は
2014年9月 フランス・ロワールの古城
2015年3月 旅順・大連
2015年8月 台北(宝塚観劇)
を書いています。

「教皇選挙」という映画が公開されたと聞いた時は見たいと思いましたが、結局WOWOWの放送まで待ってしまいました。
教皇が亡くなり、次の教皇を選ぶ「教皇選挙」(コンクラーヴェ)が行われる様子を描いたお話です。
公開時に実際に教皇が亡くなって教皇選挙が行われたことで、タイミングが良すぎてそれも話題に。

最初はおじさんばかりで登場人物を把握するのが難しかったです。まあそりゃ、教皇候補になる枢機卿ばかりですから、枢機卿の同じ衣装で、ある程度の年配男性ばかりなのは仕方がありません。

そのうち主役となるのは、レイフ・ファインズ演じるローレンス枢機卿。選挙を管理する立場になります。

教皇選挙は誰かが過半数を得るまで投票を繰り返します。一度ではなかなか決まりません。投票を繰り返すうちに候補者が絞られて行きます。その中で有力候補同士の票の奪い合いがあります。単純な根回しから、買収とか、対立候補を陥れる陰謀とか…。ローレンスはそのたびに頭を抱えることになります。ローレンスとしては、いくらかでも疑惑が起きるような人物を教皇として認めるわけにはいきません。なんとか良い教皇が誕生してほしいと願うのですが、それにふさわしいと思う枢機卿はなかなか票が延びず、一番望ましくない人物が教皇になるよりは「次善」を考えるべきではないかと追い詰められます。

ただ、こういった選挙の裏面を描いているように見えてあまりドロドロしているようには見えませんでした。それは結局みんな聖職者で神を信じる心を持っているからかもしれません。自分の欲望で教皇になりたいというより、教会のためを思って自分の主張が正しい、自分の正義を行いたいと思っているように見えました。反動的で保守的な枢機卿も、ローレンスから見たら前教皇の業績を否定し教会の退化につながると思えるのですが、本人はそれが正義だと思っています。

そうして終盤になってついに「この人しかいない」と思える人物が現れます。

めでたく教皇が選ばれたのですが、ローレンスはそれまでいろいろな人の調査をしてきたところ、新教皇にもある疑惑が浮かびます。
最後に「まさか」という展開が待っていました。

これは原作小説があるということです。残念ながら未邦訳。作者はイギリス人のロバート・ハリス。
映画を見るまでは教皇のモデルがいるのか、実際の教皇選挙を参考にしたのかと思っていましたが、最後に及んで完全なフィクションとして作られているのだということがわかりました。そういえば教皇の名前は出てきますが「○世」とまでは言われず、どの教皇か特定できないようになっています。

アメリカ・イギリス合作映画というのも興味深い所です。どちらもプロテスタントの国。
それもあって、映画での言語は基本的に英語です。でも時々イタリア語も出てきます。お祈りはラテン語です。カブール司教区から来た枢機卿はスペイン語をしゃべっていると思ったら、メキシコ出身の設定だった。作中で「アフガニスタンに司教区が?」と驚かれていましたが、本当に存在するんだろうか。この話が壮大なフィクションなら、カブールに司教区があるというのもフィクションかもしれません。(あったらタリバンに爆破されそうだし…)。しかしこの枢機卿はカブールの前も紛争地域を転々としてきた過去があり、そういった人の口から出る言葉には重みがありました。

重厚な歴史ある建物も見ごたえのある映像を作り出していていました。バチカンでの撮影が許されなかったので全部セットらしい。選挙が行われるシスティーナ礼拝堂も。…すばらしい。

原作が読んでみたくなりました。…困ったな。アマゾンを探したら原書があって、試し読みもできてしまって、なんか読めそうな気がする…。でも今本をため込みすぎて読むヒマがないんだってば。「当分本は買わなくて済む」と思うほどまとめ買いしたのに、ついまた増やしてしまって…。