まずプロローグ。
大海人がセリの上に登場して歌う…場面はカット。中大兄になって出てきたりしませんでした。なので最初はゆきちゃん(仙名彩世)を中心に娘役が歌い踊り、そのあと中大兄と大海人たちがみんなで登場します。
この狩りへ出かける場面も客席降りだったんですねー。
みりおちゃんは大海人とは打って変わって厳しい表情、不敵な笑み。
中大兄と鏡女王のデュエットがありました。
♪苦しみより悲しみが~さらに多いと知りながら~…
この歌、めっちゃ覚えてる!
初演にあって、翌年の大海人編でカットになり、それ以後大海人が主役バージョンでは削られてきた歌。
あと一番大きな違いは、蒲生野の場面で十市皇女が木の実の歌を歌った後大海人が「あかねさす紫の花」を歌う場面。
もともとこの歌は、額田女王が詠んだ「あかねさす…」の歌を冒頭に持ってきた1番と、大海人の「紫の…」の歌を冒頭に盛ってきた2番があるという長い歌。多分美声の安奈淳のために作られたんでしょう。みりおちゃん大海人もフルコーラス歌っていました。
しかし、れいちゃん(柚香光)大海人は「あかねさす」の歌をセリフで行っただけですぐ2番に突入。しかも歌っている途中、センターのセリから次の場面の即位の豪華な衣装を着た中大兄が登場!二人で歌い始めます。
さらに、中大兄は「はじめはどこにでもいる少女と…」の歌を歌い始め、その間に大海人は退場してしまいます。
そして、この歌を聞いているうちに、中大兄って本当に、本当に、額田女王が好きになってどうしようもなくなって止められなかったんだ~~~と思わされました。
ラストシーンは、センターに中大兄、仁王立ちで「ばかもの!」と一喝。これで「中大兄の勝ち!」みたいになっちゃいました。
そのあと幕が下りるときの大海人の笑いは敗北者の自嘲のようでした。
れいちゃんの大海人は…悪くはなかったのですが、みりおちゃんの大海人を見た後だとどうしても印象が薄いです。
まあ、「あかねさす…」の歌はソロで歌って額田への思いを切々と訴えて終わるはずが、途中から中大兄にさらわれてしまうので仕方がありませんが…。でも白雉の賀の後の「宇治の宿り」の歌はちゃんと残してもらったのに(この歌は初演にはなく汀夏子の大海人の時に付け加えられたもの)、そこでもみりおちゃんの表現力に及ばなかったというか。
天比古は、れいちゃんは不安定であぶなっかしい感じでしたが、ちなつさん(鳳月杏)はもっと地に足が着いた感じ。その分底辺をさまよっているような感じになりました。
今回トップが役替わりをするというムチャな企画ですが、大野先生は違うバージョンで違う作品に見える、ということを意識して実行したかったなじゃないか…ということを改めて感じました。
もし博多座で初めて「あかねさす…」を見て、しかも両バージョン見た人がいたら、あまりの違いに驚いたかもしれません。