「玄奘」展とカルチャー講座(3) | 世界史オタク・水原杏樹のブログ

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世界の史跡めぐりの旅行記中心のブログです。…のはずだったんですが、最近は観劇、展覧会などいろいろ。時々語学ネタも…?
現在の所海外旅行記は
2014年9月 フランス・ロワールの古城
2015年3月 旅順・大連
2015年8月 台北(宝塚観劇)
を書いています。

まず目指したのは、展覧会最初の展示物。
講座の出席者が集まって説明を聞いていたのでガラスケースの中まで見られなかったのです。
どうも錦絵っぽ雰囲気なので、日本で描かれた「西遊記」の絵かも…と思ってよく見たら。
河鍋暁斎(かわなべきょうさい)の絵でした!
河鍋暁斎は幕末から明治にかけて活躍した絵師で、化け物とかヘンなものを得意としました。
中央には三蔵法師、そして隣に猿の孫悟空。それから…あれ?他は?え?象?鼻の長い、どう見ても象の顔をした人物(?)が。そしてその横に「ちょはっかい」の文字。えー?!?!なんで?

それから中央アジア~ガンダーラの彫刻をもう一度よく見ます。
後半の展示物の所へ行くと、先ほどの学芸員さんがいたので、象の猪八戒のことを聞きました。
そうしたら、なぜ猪八戒が象の顔で描かれているのかはわからないのです。一説によると、このころ象が日本に来て各地を回って話題になったそうです。それに乗っかったのかもしれません。河鍋暁斎は建築家のジョサイア・コンドルとも交流があり、新しもの好きなところがあるので、流行りものに便乗したというのはありそうな話です。

ついでに、その絵の沙悟浄もカッパではありません、と学芸員さんが指摘しまして、最後の方に「沙悟浄はもとはカッパではなかった」ことを表す展示があるのを案内してくれました。ま、そうですね。カッパは日本の妖怪ですから、「西遊記」の原作にその姿で登場するはずはありません。
まずは中国の連環画が並んでいます。沙悟浄はたいていむさくるしいオッサンのような姿です。さらに、手塚治虫の「ぼくの孫悟空」で沙悟浄が登場する場面が開かれていました。これがまた、一体何なのかわからない正体不明の生き物と言う扱いでした。

それから明治期の挿絵。ぜんぜんカッパじゃありません。カッパになるのはかなり近年のことなのです。なぜカッパになったのか、まだまだ考察する余地はありますが、ともかく猿や豚と違ってイメージしにくいので、わかりやすくするためにカッパの姿を取るようになっていったのではないかと思います。もともと沙悟浄のルーツと言われている深沙神は砂漠の川の神なので、そのイメージを反映しているのかもしれません。

あとは、塼仏や印沙仏の展示も飛ばしてましたので見に行きます。
塼仏とは、れんがに仏像の浮彫を施したもの。型押しで大量生産します。手のひらサイズぐらいで、壁などにタイルのように並べて貼ったり念時仏として所持したりしました。印沙仏は、仏像を布にスタンプのように押したもの。同じ絵を続けてたくさん印画することができる便利なもの。
大阪市立美術館の唐代の椅像(椅子に座った像)の弥勒如来もあるー。

入澤先生もまだ館内にいたので、お話してみました。旅順博物館ツアーへ行ったというと、参加できなかったこを謝られました。でも代役で参加した三谷先生の講義も大変興味深かったですし、旅順博物館を見ることができてとても良かったです。それに、今ここで入澤先生の講座をお聞きすることができましたし。
学芸員さんともども「詳しいですね」と言われたので、とりあえず大学で中央アジア史を…と言いました。でも全然史料がないわからない所なので、先生から放置されてロクに研究できないまま終わってしまった、とも…。

ということで、なんとか展示物を見終わりました。

そして帰りかけて、ベゼクリク千仏洞の復元壁画も見なくては、と思い出しました。燃燈仏授記を確認しないと。奥の方へ進んで行きますと、ありました!仏の足元にひれ伏して髪を敷いている姿が。ベゼクリクの復元壁画は今まで何度か見てるはずなのに覚えてない…。

ということで、とっても充実した講座&参観でした。あー、楽しかった!