子供の頃、いつも実家のコーヒーメーカーの
横には「イノダコーヒ」のアラビアの真珠が
入った赤い缶々が鎮座していた。どうやら母
が好きで、もちろん通販なんて洒落たものな
んて無い時代だったので、京都のイノダコー
ヒまで買いに行っていたのだろう。そして、
いつも決まって淹れ立てのコーヒーの中にド
バドバと牛乳と砂糖を投入していた。
それから長い年月が流れ、故郷を離れ結婚も
した僕は、京都旅行でイノダコーヒ本店に立
ち寄ってみた。
どうやらこの店のコーヒーの基本は、タップ
リのミルクと砂糖が必須の様だと京都まで来
て初めて知った。
このイノダコーヒは、フォークシンガーの高
田渡さんが「コーヒーブルース」の中で歌っ
ている。高田さんといえば、吉祥寺のいせや
総本店の隅っこで呑んでいる印象しかないけ
れど。高田さんは亡くなり、いせや総本店も
小洒落たビルに変わってしまった。
♫三条へ行かなくちゃ
♫三条境町のイノダっていうコーヒー屋へね
♫あの娘に逢いに
♫なに 好きなコーヒーを少しばかり
ほんとうにいい娘さんがちゃんとミルクと砂
糖を入れて供しても良いか聞いてくれる。
まったく曲の通りなのだった。
まだ若い頃は
「あんなのミルクコーヒーじゃ」
と粋がっていたけれど熱くて甘いのをお願い
、と言えるまでにようやくなれた。随分と時
間は掛かったけれど。
同じような経験をケニアでしたんだけれど、
長くなっちゃうので覚えていたらまた。
高田渡さんの「コーヒーブルース」。
オリジナルはもちろん良いのだが、実は個人
的には辻香織さんがカヴァーしたものが好き
なのだ。白ヘルの時代なんてまったく関係の
ない雰囲気なんだけど、どうしてこんなに心
に残るのか理由(わけ)はわからない。
リリースされて相当時間も経っているけれど
相変わらず聴いている。
インスタはコチラです
ワンコがいっぱいです