フィンランド
【ニューズウィーク】より
ベーシックインカムはどうだったのか? フィンランド政府が最終報告書を公表
2020年5月11日(月)17時00分
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/05/post-93377.php
財源=記載なし
対象者=2016年11月時点での失業手当受給者のうち、無作為に抽出した25歳から58歳までの2000名を対象
支給額=2017年1月から2018年12月までの2年間にわたって毎月560ユーロ(約6万5520円)を支給した。
効果=
実験期間終了直後に実施したアンケート調査によると、ベーシックインカムの受給者のほうが、生活への満足度が高く、精神的なストレスを抱えている割合が少なかった。また、他者や社会組織への信頼度がより高く、自分の将来にもより高い自信を示した。
その他=
ベーシックインカムの受給者81名を対象にインタビュー調査も実施した。これによると、その多くが「ベーシックインカムが自律性を高めた」と回答。ベーシックインカムによって、経済状況を自らコントロールしやすくなり、経済的に守られていると感じるようになったとみられる。ベーシックインカムが、ボランティア活動など、新たな社会参加を促すケースもあった。
ただし、フィンランドでは、実験期間中の2018年1月に失業手当の給付要件を厳格化する「アクティベーション・モデル」が導入されたため、今回の社会実験では、ベーシックインカムが雇用にもたらした影響のみを検証することは難しい。
フィンランド国民は、ベーシックインカムの導入に前向きな姿勢を示している。国民アンケートでは、フィンランドでのベーシックインカムの導入について、回答者の46%が「賛成」もしくは「部分的に賛成」と回答している。
カナダ
【ギガジン】より
対象者=4000人近い人々。2017年7月から(2018年に中止)。
支給額=
低所得の人々に対して独身世帯で年間1万6989カナダドル(約134万円)、結婚世帯で年間2万4000カナダドル(約190万円)が支給されました。参加者が仕事によって収入を得た場合、収入の50%がベーシックインカムから差し引かれたため、参加者の年収が単身世帯で3万4000カナダドル(約270万円)、結婚世帯で4万8000カナダドル(約380万円)に達した場合、支給額はゼロになります。
効果=
収入の50%がベーシックインカムの支給額から引かれるにもかかわらず、プログラム開始時に働いていた人々のうち、4分の3はベーシックインカムを受け取り始めた後も仕事を継続していたとのこと。また、仕事を辞めた人々のうち約半数は、以前よりもよい仕事を手に入れるために学校へ通い始めたそうです。
調査回答者の80%近くが、プログラムに参加している間に健康状態が改善したと回答し、半数近くが「タバコやアルコールの消費量が減少したこと」を報告しています。精神的な健康についても、83%がベーシックインカムの支給前と比較して不安やストレスが減少し、81%が自分への自信を取り戻したと回答。ほかにも食生活の改善や住宅の安全性の向上、病院に通う頻度の減少などのメリットがあり、66%は家族関係が改善したとも答えています。
その他=
ベーシックインカムの支給にかかる費用は年間5000万カナダドル(約39億5000万円)、3年間の総額は1億5000万カナダドル(約118億5000万円)に上るとのことで、保守党政権は多額の費用をかける価値がないと判断したそうです。
州政府のメディア担当者であるChristine Wood氏は過去のベーシックインカムプログラムについて、「4000人しか含まれていない研究プロジェクトは、200万人近くが貧困状態にあるオンタリオ州にとって、適切な解決策ではありませんでした」と述べました。
(カナダ:1970年代には、カナダで「ミニカム実験」という、最低限の所得を保障する試験が実施されました。この試験では、参加者には最低限の所得が保障され、労働市場においては、受給者の労働時間が増え、生産性も向上したとされています。)
アメリカ(ストックトン (カリフォルニア州))
【ニューズウィーク】より
米国初のベーシックインカム実験に関する結果報告書が発表、その成果は......
2021年3月8日(月)18時30分
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/03/post-95775.php
対象者=市民125名。18歳以上のストックトン市在住者で、世帯収入が中央値の4万6033ドル(約497万円)以下」という条件を満たす市民から受給者を無作為に選出。受給者の69%が女性で、平均年齢は45歳、子どものいる世帯が48%を占めている。
支給額=デビットカードを通じて、毎月500ドル(約5万4000円)を24ヶ月間支給。
効果=
受給者におけるフルタイム労働者の割合が2019年2月時点の28%から1年後には40%まで大幅に増加した
非受給者でのフルタイム労働者の割合は2019年2月時点の32%から1年後には5%増の37%にとどまった。
抑うつや不安が少なくなり、健康状態も向上した。受給者のケスラーの心理的苦痛測定指標(K-10)の平均値は、実験開始当初の「軽度のメンタルヘルス障害」から1年後には「精神的に健康」へと改善している。
その他=
その使途を追跡した。食費に充てる割合が最も多く、約4割を占めたほか、日用品や衣料品の購入、光熱費、交通費に使われていた。また、タバコや酒類の購入に使われた割合は1%未満であった。
この社会実験の資金は、フェイスブックの共同創業者クリス・ヒューズ氏らの個人寄付によってまかなわれた。
アメリカ(シカゴ (ミネソタ州))
対象者=5000の低所得世帯。参加者は無作為に選ばれるが、年収は3万5000ドル(約398万円)以下でなければならない。
支給額=1年間に渡って毎月500ドルを支給する。
財源=
議会は2022年度の予算の一部として、約3200万ドル(約36億3000万円)をこのプログラムを通じて給付することを承認した。この資金はバイデン政権のアメリカン・レスキュー・プラン(American Rescue Plan)を通じてシカゴに割り当てられた新型コロナウイルスの救援金の20億ドル(約2270億円)から拠出される。