横浜美術館でマックス・エルンスト フィギュア×スケープ展を見てきました。「シュールレアリズムだから好みではないかも」と担当の方に言われたように、エルンストを知らなかった私はチケットの画を見て、これは仕事じゃなかったら見に行かないものだわ、と思いました。なので、だからこそ見てみたいと思ったのです。
2時頃だというのに雨の日の美術館はガラガラ。エルンスト展には一組のグループだけ。そのグループの中にN響アワーの司会をしていらした池辺晋一郎さんがいらっしゃいました。長年のN響アワーファンで、今の番組にまだなじんでいない私は、こんな意外な場所で、池辺さんの姿を見られたことに感激!
学芸員らしい方が作品の説明をし、美術館の方らしい女性が資料を持って補足説明しています。
シーンとした会場なので、学芸員さんの説明も池辺さんの声もちらほら聞こえてきます。エルンストはクラシックが好きだったとかベートーベンと関係があるらしいとか、アンリルソーが好きだったとか、芸術家の偶像化を批判していたとか・・・。
私が好きになった作品は『森(月光の中のモミの木)』。大きな線で表現されたような木の上部に点線で描かれた丸い輪があるもの。シンプルな線なのに森の重みや月の明るさが伝わってくる・・・。こういう表現があるのだわ。
『嘘八百』2m×3mの大きな作品です。白とグリーンがベースで、たくさんの顔が描かれていて、丸くてオレンジ色の金柑みたいなボールが散りばめられています。色合いも好きだけれど、オレンジで表された嘘(多分)と表情が面白くて楽しい気分になるものです。パリのポンピドゥ・センターのものですが、倉庫にあるので見ることはできない(という学芸員さんのお話が聞こえてきました。ここで見られてよかった!)。
『風景(貝の花)』グアッシュという水彩絵具の一種で、厚塗りや不透明な彩色に適した絵の具で描かれたもの。
このたび私が注目したのは、エルンストの幼少時代のこと。略歴や作品の説明文などから、1894年、3歳の時に父と森へ行き魅惑と恐怖を味わった。1896年、6歳の時に麻疹ににかかって闘病している間に、木目に、鶏の頭、目玉などの幻覚を見た、ということなどがわかります。水木しげるも、子どものころに天井の木目に、いろいろなお化けの形を見つけたのです。確かおばあさんが、よくお化けの話をして聞かせたのですね。エルンストの両親はカトリック信者で、父はアマチュア画家。やはり遺伝子と環境と幼少期の体験が、人を作っていくのだなー。本当に幼少期の育て方って重要!
そんなことを感じたマックス・エルンスト展。鳥や天使、可愛らしい顔の人物、グロテスクな怪物的存在などの、さまざまなフィギュア(像)に込められた思いについては理解できませんでしたけれど、意外なことにどの作品も嫌いではなく、敬遠していた世界の扉が開けた感じでしょうか。見てよかったと思いました。