30日の「ガイアの夜明け
」“まごころマネー”がニッポンを救う ~1万円で できること~で、昨年夏、取材に伺った「鎌倉投信
」の放映がありました。
鎌田社長は、社屋の庭で、きゅうりやプチトマトを収穫するシーンから登場。野菜が収穫できるようになったのだわ。伺った時は庭造りの真っ最中。小川を作るための小石を川から集めて干したり、畑を耕したりと、社員の皆さんが汗を流していましたっけ。![]()
古民家を改装した鎌倉投信邸に流れる、静かで澄んだ時間は、働く人が作り出したもの。真直ぐで信頼できる、鎌倉投信の皆さんのお人柄が伝わってきます。
金融というと都心のオフィスのイメージですが、なぜ鎌倉駅から歩いて20分の古民家をオフイスに?社長はどんな方?
2010年夏号『湘南世代』に、鎌倉投信邸で行われた『鎌倉の「源氏物語」文化へのいざない』というイベントに合わせて企画された対談の、司会・執筆をさせていただきましたので、その原稿をこちらに掲載いたします。
以下、『湘南世代』の原稿より
古都鎌倉の源氏物語「河内本源氏物語」に秘めた恋
鎌倉投信(株)社長・鎌田恭章氏と、作家・織田百合子
氏。
鎌倉文化に魅せられたお二人の対談が、鎌倉投信邸で行われました。
写本は語る
鎌田 鎌倉文化というと『吾妻鏡』などに見られる武家の社会や文化の印象が強いですが、織田さんが伝えていらっしゃる、「源氏物語は鎌倉で完成した」という史実からもわかるように、実は雅な京の文化と融合したものなのですね。この史実はあまり知られていないのではないでしょうか
織田 『源氏物語』の二大写本の一つ『河内本源氏物語』の作者、源光行は京都の人ですが、源平の争乱で鎌倉に下向したため『河内本源氏物語』は鎌倉で成立しました。光行の代では終わらず、子息の親行により建長7年に完成。その3年後に「金沢文庫」の創設者である北条実時が親行から写本を借りて書写しています。それが重要文化財『尾州家河内本源氏物語』で、巻末には、正賀2年に親行から借りて書写し終わったとの奥書があります。今は徳川美術館に併設される「蓬左文庫」の所蔵となっていますが、鎌倉幕府が滅亡し徳川家に渡る前は、鎌倉の文化圏であった「金沢文庫」に収められていました。
経済発展が文化を後押し
織田 頼朝が鎌倉幕府を創設する際、京から呼び寄せた文士の公家文化と武家の文化が融合したものが鎌倉文化です。武家にない雅を受け入れたのは、頼朝という人が雅を愛する大変優雅な人であったからこそ。 日本文化の原点となる鎌倉文化の発展に伴い経済の基盤も確立されたわけですが、鎌田さんが鎌倉に会社を作られたのはこのような歴史的背景を意識してのことですか?
鎌田 今の為替のルーツは御家人が年貢を受け取る際に発行された為替手形なんです。貨幣(宋銭)の流通が本格化したのも鎌倉時代です。弥生・平安時代の輸入文化と違い純国産の文化が花開いたのは、こうした金融や経済の発展とは無縁ではないでしょう。金融というのは本来人や社会をはぐくむ水脈です。鎌倉の地は「金融とは本当の価値を支えるもの」という金融本来の姿を常に意識させてくれます。またここは、自然や伝統文化を守りながら、その一方で鎌倉幕府や日本初のナショナルトラストを生み出すという、革新的な気質に富んでいることも今世界の金融市場は大変混乱しています。物事の本質や潮流の変化を見るとき、その渦中にいるよりも、
少し離れたところから俯瞰するくらいの距離感の方が良いのではないでしょうか。持続的で調和ある社会の発展を目指す金融を志す私たちにとって、鎌倉はその立ち位地を明確にするのに最適な場所だと思ったのです。
「結い」で継承する自然・文化
織田 古民家が社屋というのも革新的ですね。とてもゆるやかな気持ちになり寛げます。どんな世代であっても日本人には古民家に郷愁を感じる遺伝子があるのじゃないかしら。古民家はその地域の気候風土・当時の生活などを今に伝える貴重な財産ですね。もともと鎌倉のご出身なのですか?
鎌田 今は鎌倉に住んでいますが、私は自然豊かな島根の田舎で育ちました。この古民家のよさを維持することもそうですが、今、750坪の敷地内に、社員が協力し合って、80年前の日本庭園を復元したり、空き地で畑を作ったり、裏山でシイタケ栽培をしたり、自然と共生した「場」創りに取り組んでいます。こうしたことをしているいると、まさに地に足がついたというか、日本人が大切にすべきこころの原点を体感することが出来ます。鎌倉の由比ガ浜は、かつて「結い(人と人とが協力し合う)の浜」と呼ばれていたようですね。この地に多くの人が集い、経済や文化が華やいでいた様子が『海道記』からもうかがえます。今こうして、いろいろな分野でご活躍される文化人の方々とのご縁に恵まれています。この秋は、この社屋で織田さんのお話をメインに鎌倉文化に親しむ湘南邸園文化祭が催されることになり、とても楽しみにしています。これも結いの文化のある鎌倉の「地の力」だと感じています。
織田 『海道記』も源光行書いたと言われていますね。催しは、源氏物語にみる鎌倉文化を、鎌倉に縁のある芸術家の皆さんと共に、表現するものになりそうで、私も楽しみにしております。
以上 『湘南世代』2010年夏号より