福袋の思い出
うちには子供が私といとこ、しかも両方一人っ子しかいなかったので、お年玉の金額は小学校1年生になる頃には10万円近くにのぼった。毎年いとこは冬休みになると大分に遊びに来ており、年明けのトキハ(大分唯一のデパート)の初売りに、お年玉を握りしめていくのが毎年の恒例行事だった。いとこはプラモデルのガンダムコレクターだったので、全てをそこに注ぎ込んでいた。私は物欲がなかったので、母に貯金しろと言われたら貯金した。ある年、お年玉を使うことがなかった私に母が正月なんだから福袋を買うのが当たり前だろうと言い出し福袋って、何?と聞くと母はとんでもなくお得なセットで楽しいものが入っている夢のような袋だと説明した。トキハの福袋コーナーのワゴンには¥1,000¥3,000¥5,000¥10,000¥30,000¥50,000¥100,000など、段階に分けられた謎の紙袋が並べられており、特にほしいわけではないので適当に¥10,000のを選ぶと母がそんなことではダメだと割って入り、ホッチキスでとめられている中身を覗くのだと教えられた。いくらその中身を見たところで、ほしいものなど存在しないのでどれでも良いのだが、隣でアツくなっている母のアツがすごかったので、なんだか重たくていっぱい入ってそうなものをとりあえず選んだ。別府の祖父母の家に持ち帰り早速開けてみるとカレンダー置き物わけのわからない服バッグなど、私の生活となんら関係のないものたちが入っていた。得をしてやろう!!と勇んでいる人には、入っているものに福を感じられるかどうかが懸かっているので、一喜一憂してしまうような福袋だが、私はそもそもその福とやらに当時興味がなかったので、喜びも憂いも訪れなかった。大人になり、ちょうど二十歳くらいの頃は渋谷109の福袋が全盛期だったと思うし、もちろんまごうことなきマルキュー信者だったのだが、福袋にだけは福を感じたことがなく、一度も買ったことがない。先日訪れたトキハわさだタウンの初売りで、久々に福袋コーナーを目にし、私たちが到着した午後2:00頃にはほぼすべてのものが完売しているという、相変わらずの反響ぶりだった。最近の福袋は、ご丁寧に中身を公開してくれている袋が多いらしく、もはやセールでしかないのだが、それでも大分の人々はトキハの福袋を買うらしい。その魅力を追求すべく今年は何かひとつでも、福袋を買ってみようと思う。