世羅の気功と日常ブログ -98ページ目

世羅の気功と日常ブログ

「何もないと思っていた自分に、
小さな“できた”がくれた喜び」を
テーマに、気ままに想いのままに
書き綴るブログです。

朝、目が覚める。


いつもと同じ時間だった。


まだぼんやりとした意識の中で、ひとつだけ浮かぶ。


……今日は、セツナさんが来る日だ)

 

それだけ思って、体を起こした。


いつも通り着替えて、洗面台へ向かう。


蛇口をひねると、水の音が静かに広がる。


顔に触れた冷たさで、思考がすっと切り替わり、さっきまであった意識はいつのまにか流れていた。

 

一通りの動作を済ませて外に出ると、プチトマトと『幸せの種』が目に入る。


しゃがんで様子を見ると、『幸せの種』に変化はないが、プチトマトは昨日より葉が広がっているのがはっきりわかった。

 

……ちゃんと育っているな」

 

しばらくそのまま眺めてから、部屋に戻る。


暖炉の火、テーブルの位置、棚の装飾へと視線を巡らせる。

 

問題がないことを確認してから、キッチンへ向かった。

 

足元で小さく気配が動き視線をやると、ルカがこちらを見上げていた。

 

「ルカ、ごはんは何がいい?」


「にんじん!」

 

即答だった。


セイはわずかに目を細める。

 

……またそれ?」

 

ルカは少し考えてから、小さく続ける。

 

「みどりのやつも、いい」

 

「みどりのやつ?」

 

冷蔵庫を開けていくつか野菜を取り出し、葉物を軽く持ち上げる。

 

「これ?」


「うん!」

 

元気な返事に、セイは小さく笑った。

 

……じゃあ、今日はこれにしようか」

 

器に用意すると、ルカはすぐに顔を寄せる。


しゃく、しゃく、と音を立ててニンジンのあとに緑の葉を口にする。

 

……これもいい」


「そっか」

 

その様子を見て、ふっと力が抜ける。


さっきまでどこかに残っていた引っかかりが、自然にほどけていった。

 

(第130話に続く)