(うん……プリンなら)
何を作るか考えた末に、セイはそう結論付けた。
朝食を食べ終え、食器を片付ける。
テーブルを拭き、キッチンを整える。
一通りの用事を済ませてから、冷蔵庫を開けて、材料を確認する。
卵、ミルク、砂糖。
足りている。
(よし)
準備を始めると、背後に気配を感じた。
振り向くと、ルカがちょこんと座ってこちらを見ている。
「……見てるのか?」
返事はないが、視線は外れない。
卵とミルクを混ぜ、砂糖を加え、弱火でゆっくり火を通す。
その間も、ルカは鼻をひくつかせながらじっと観察している。
「……よし、いい感じだな」
カップに流し入れ、火からおろす。
表面をそっと触れて、固まり具合を確認する。
(……よし、これなら大丈夫)
オーブンから取り出したカップを並べ、粗熱を取る。
ルカは鼻をぴくりと動かし、興味津々で覗き込む。
セイは最後にスプーンで表面をならす。
キッチンが静まり返り、プリンの甘い香りだけが漂う。
セイは深く息を吐き、肩の力を抜いた。
(第120話に続く)