セイはただ黙々と野菜の皮をむいていく。
包丁を握り、手を動かしているうちに、意識はいつもの流れへ戻っていく。
やがて部屋には、煮込んだ野菜と香辛料の香りが広がった。
ルカの器を床に置き、自分も席につく。
向かいの椅子は今日も空のままだった。
セイは視線を落とし、静かにスプーンを口へ運ぶ。
食事を終え、食器を片付ける。
水の流れる音だけが、静かな部屋に響いていた。
気づけば窓の外はすっかり暗くなっている。
セイは小さく息を吐き、片付けた食器に視線を向けた。
今日やるべきことは、もう終わっている。
これ以上起きていても、することはない。
そう結論づけると、そのまま部屋へ戻った。
(第190話に続く)