ルカが新しい野菜を食べ始めたのを見届けてから、セイも自分の朝食の準備に取りかかる。
包丁を使うほどでもない、簡単な朝ごはん。
暖炉の火が、ぱち、と小さく鳴った。
特別なことは何も起きていない。
でも、空気は静かに整っている。
ルカは食べ終えると、満足そうに器の前に座ったまま動かない。
セイは、そんなルカの耳がぴくぴく動くのを見て、軽く頷きながら自分の朝食を口に運ぶ。
パンを噛みしめながら、ふと思った。
(……そういえば、今日、セツナさんが来る)
はっきり意識していたはずなのに、今になって、その事実が改めて胸に浮かぶ。
(……何か、用意したほうがいいだろうか)
食事を出すほどではない。
でも、何もないのも、少し味気ない気がする。
(デザート……とか)
頭の中に、いくつか候補が浮かんでは消える。
手間がかからず、失敗しにくくて、それなりに“ちゃんとしている”もの。
(……プリン)
理由は分からないが、それが1番しっくりきた。
(第119話に続く)