帰宅後、簡単に昼食を済ませる。
そのあと、少しだけ体を動かした。
決めている分だけの筋トレ。
短い時間だが、終わると体がすっきりする。
続けて、本を開く。
数ページだけ。
長く読むつもりはない。
それでも、やらないという選択肢は、もうなかった。
夕方前、静かな時間が流れる。
ルカは部屋の中を気ままに歩き、時々こちらを見ては安心したように戻ってくる。
夜。
夕食を終えて一息つくと、ルカが当たり前のように近づいてきた。
ちょこんと、セイの膝の上に乗る。
くるりと丸まり、そこを自分の場所だと決めたみたいに動かない。
小さな体重が、確かにそこにある。
重いわけじゃない。
ただ、その存在が、ほんのりと温かい。
「……」
セイは動かなかった。
膝の上のぬくもりと、信頼されている感覚が、静かに伝わってくる。
(気を許してくれる誰かがいるって……)
その続きを言葉にする前に、セイは小さく息をついた。
暖炉の火の音。
膝の上の温もり。
それだけで、今日は十分だった。
灯りを落とし、静かな夜に身を委ねる。
明日も、きっと同じように始まる。
――けれど、少しだけ違う何かを感じていた。
(第115話に続く)