3日後。
約束どおり、同じ時間に、同じ広場。
セイは先に到着していた。
落ち着かないわけではない。
ただ、待つこと自体が、少しだけ新鮮だった。
「セイー!」
聞き慣れた声に振り向くと、セツナが軽く手を振りながら駆け寄ってくる。
「お待たせ!」
「いえ。今来たところです」
その少し後ろから、ミズキがゆっくり歩いてきた。
「ちゃんと時間どおり集合できてるじゃん。いいね、冒険者っぽい」
「今日は装備を選ぶ日だよね?」
セツナが少し楽しそうに聞く。
「そ。今日はクエスト行かない。代わりに、生き残る準備」
ミズキはそう言って、街の奥へと歩き出した。
装備屋は、広場から少し離れた通りにあった。
派手さはないが、整然と並んだ装備の列が目に入る。
「うーわ、いっぱいある」
セツナが素直な感想を漏らす。
「最初はね、“全部わからん”で正解だから」
ミズキが言う。
「え、そうなの?」
「うん。だから今日は“選び方”を覚えればいい」
そう言って、ミズキはセイの方を見る。
「セイはさ、前に出て殴るタイプじゃないでしょ?」
「はい」
即答だった。
「動きやすさ、視界、疲れにくさ。その辺優先でいい」
ミズキは店員に声をかけ、軽量装備の一角へと案内した。
「防御力だけ見ると不安になるけどね。でも、避けられるなら問題ない」
セイは装備の説明を1つひとつ確認しながら、静かにうなずいた。
「……このくらいなら、行動を阻害しませんね」
「合格」
ミズキが軽く言う。
次は、セツナの番だった。
「セツナは――」
ミズキは少し考える。
「直感派。だから動きやすさは同じ。でも“気に入るかどうか”も大事」
「え、見た目もアリ?」
「アリ。気に入った装備ってね、不思議と集中力保てるんだよ」
セツナは少し悩んだあと、色味の明るい装備を手に取った。
「……これ」
「いいじゃん、それ」
ミズキが笑う。
「即決ですね」
セイが言うと、
「うん。なんか、これなら行けそうって感じする」
「そういう直感って意外と大事だからさ。それがセツナにはぴったりってことだよ」
「そっか、うん、じゃこれにするね」
「僕も、先ほどの装備に決めますね」
「うんうん、2人とも冒険者らしくなってきたね」
ミズキのその言葉に、セツナは笑顔を見せる。
セイもまた、初めての装備を手にして満足そうな表情をした。
(第26話に続く)