《ヒント4:形のないもの》
「記憶とか感情とか……そういうことじゃないかな?」
セツナが、少し考えながら言った。
「嬉しいって気持ちを感じても、それ自体を“出して見せる”ことはできないでしょ?」
「……そうですね」
セイは一瞬考えてから、静かに続ける。
「言葉や表情で“表す”ことはできても、感情そのものを取り出すことはできません」
「そうそう、それ」
セツナは小さく頷く。
「じゃあさ、空気も、もしかして同じじゃない?」
「……空気、ですか」
「あるけど、見えてないもんね」
「はい。確かに」
セイは周囲を1度見回してから言う。
「存在は確実ですが、形として認識することはできません」
「あ、ほんとだ」
「それに」
セイは言葉を選びながら、続けた。
「空気も感情も、なくなるまで“ある”とは意識されにくいものですね」
「……なんかさ」
セツナは少し照れたように笑う。
「ちょっとずつ、わかりかけてきた気がする」
「そうなんですか?」
「まあ、勘だけどね」
そして、前を向いて言った。
「それじゃ、最後のチェックポイントに行ってみようか」
「はい、そうしましょう」
2人は並んで歩き出す。
(第19話に続く)