・・・先週末、大きく取り上げられた ニュースは、野山にいる「マダニ」が媒介する 「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」の「ヒト-ヒト感染」が国内ではじめて認められたことでした.

 

 SFTSで死亡された方 の 担当医師 が感染されたということです.SFTSウイルスは接触感染するため 医療機関は感染対策をとりますが、診断がつく前にプロテクトしていなかった期間があったことが ↓の記事にあります.幸い快方に向かわれているようで、良かったです.

 

 

 

 

 

 

 SFTS は 2013年に国内での死者が確認され、注意喚起されたマダニが媒介する ウイルス感染症 です.

 

 SFTS を有する マダニ に刺された場合に、SFTSウイルス が 体内に注入され、感染が成立します.同様のマダニ媒介性感染症には「リケッチア症」(「日本紅斑熱」「ツツガ虫病」←この媒介はツツガムシですが)や「ライム病」などがあります.

 

 それぞれ治療薬がありますが、SFTSの治療薬は現時点ではまだ 日本では使用できません.(2024年3月時点)

 

 ダニ媒介性感染症 の 感染機会 は 野山でのマダニ刺咬が主で、SFTSの場合は感染したペットからの接触感染もあります.このたびは初めて SFTS 感染者からの接触感染が起こったためニュースとなりました.

 

 どの疾患もそうですが、とくに感染症は「予防」が大切ですので、「マダニに刺されない」ようにしましょう! 

 国内でSFTSが確認された 2013年 に 大きく注意喚起がなされましたので、以後、野山や田畑、草むらに入る時に肌を露出する方はいないと思いますが、長袖長ズボンのほか 帽子、手袋を着用するなどして 可能な限り 肌の露出を避け、更にズボンの裾をすぼめて靴下や靴の中に入れる、など マダニ に刺されたり、着衣の下に入れるような 隙間を作らないことが大切です.

 また「DEET(ディート)」や「イカリジン」などの 虫よけ を使用してください!塗り残しがないよう、頻回の塗布を心がけてください.

  帰宅したら 服をはたいてから家に入り、着用した服は できるだけ早めに洗濯してください.洗濯まで ビニール袋などに入れておいても良いと思います(捨てる必要はありません).そして早めに入浴してください.

 

以上が予防です.

 

 

 

 

 

 

 

 

【もし「マダニ」に刺されたら・・・

 

 刺されても、痛みや痒みを伴わないことが多いため、多くの場合は気付きません.マダニの吸血時間は 蚊のように短いものではなく、1週間前後と長いです.一度吸着すると1週間は離れないわけです・・・ですので虫体は 3mm ほどと小さいものの、吸血すると1cmくらいまで膨らみますので 気付くこともあります. 

 虫体に気付いた時に 大切なことは「引き抜かない」ことです.引き抜いても口器が残りますし、引き抜く瞬間に病原体を体内に入れると言われています.

 

 もうひとつ大切なことは「すべての マダニ が これらの病原体を有しているわけではなく、その割合は低い」ということです.ですので、焦らず、しかし、まず 医療機関へ行き、虫体全部を摘出してもらいましょう.皮膚科 が専門ですが、外科や救急外来がある医療機関では対応してもらえると思います.

 

 しかし「山中での キャンプ 中に気付いた」など、医療機関にすぐに行けない場合もあるでしょう.そのような時は 荷物の中に ペースト状のもの がないか、探してください.・・・ハンドクリーム、軟膏・・・などは ありませんか? あれば、それを 虫体の上にこんもりと塗り、マダニを窒息させてください.そして30分ほど経ってから、ティッシュペーパーなどでふき取ってください.吸着して数日内であれば この方法で除去できる確率が高いです.

 ・・・これは、兵庫医科大学 皮膚科学 教授 の 夏秋 優 先生 が 考案された方法で「夏秋(なつあき)法」や「ワセリン法」と呼ばれています.簡便で侵襲なく除去できるので すぐれた方法だと思います.ちなみに 夏秋 先生が「マヨネーズでも大丈夫であった」と以前言われていたのを聞いたことがあります.(ほか 塩と水という方法もあるようです).

 市販している 「Tick Twister」 も簡単だそうです(ペットがマダニを付けてきたときにも使います).

 駆除した「マダニ」の虫体は可能ならば 保存を. 発症した場合の早期診断に役立つ場合があります.

 

 「リケッチア」や「SFTS」が感染する可能性はあるものの、マダニに刺されたからといって 予防的に薬を使う必要は通常ありません(SFTS の治療薬はまだ国内でつかえないため ありませんが).

 繰り返しますが、マダニ が必ず これらの病原体を有しているわけではなく、その頻度は低いです.が、感染すると重症化し、死亡する場合があるので 刺されないことが重要なのです.

 ただ予防投与の 例外として、北海道や本州中部山岳の ある種の マダニ は「ライム病」を感染させる可能性が高いため 刺された地域とマダニの種類によっては 予防投与をする場合もあります.  

 

 ・・・マダニ除去後は 毎日体温を測り、発熱や異変をみとめたら これらの病原体によるものが考えられますので、医療機関を受診し「野山でマダニに刺された」と伝えて診断を仰いでください. 

 

【マダニ刺咬に気付かなくても・・・】

 

 マダニに刺されても、ほとんどの場合、痛みや痒みはなく、吸血したマダニは膨張すると 自然落下しますので、気が付きません.マダニに刺された記憶はなくとも、野山を歩いた数日から2週間後くらいの間に、発熱を認めた場合は速やかに医療機関を受診し、「野山に入った」ことを告げてください.

 

まとめます.

 

★ 野山に入る時は 皮膚露出は避ける. 「DEET」「イカリジン」を使用する.

  帰宅後 は 服をはたいてから家に入る、早めに入浴をする. 

  着用した衣類は 必ず洗濯する.

★ マダニの虫体に気付いても 引き抜かず 医療機関へ.咄嗟の場合は「夏秋法」「ワセリン法」を.

★ 治療薬の予防投与は医師の判断に任せる(マダニ すべてが病原体をもっているわけではない)

★ マダニに刺されたら 2週間くらいは毎日体温を測り、発熱あれば医療機関へ.

★ マダニに刺された記憶なくとも、野山へ入った後2週間の間に 発熱を認めたら医療機関受診を.

 

 久しぶりに アース製薬のHPを開いたら・・・「アースジェットプロプレミアム」の 金色 Kiina の 動画 を 観ることができました!(↓から観れます)・・・「マダニ」予防には DEET や イカリジン! 室内に入った「マダニ」には 「アースジェット」シリーズ!