●頑張ってはいけない

 

 

・頑張りは価値観の範囲内で

 

さて、副業は必要に応じてチェンジできるということを書きました。しかしそれはあくまでも、せっかく蒔いたタネが思ったように成長できなかった、ということが条件となりました。

 

しかしながら、せっかく蒔いたタネですし、それを成長させるべく努力は当然するのですが、ではその努力の度合いはいったいどう計るのか?成功か否かの判断基準はなんなのか?との疑問も沸いてくると思います。

それもそのはず、何度か触れてきたように、今時の企業体質に感化されてしまい、規模の拡大や、資産を集めることを目的にしているような場合には、その判断基準は相手や周囲との比較になってしまいます。常に敵との勝負に勝つ必要がでてきてしまうのですから、そうなるまでは頑張り続けなくてはなりません。

 

ということもありましょうが、それ以外においては、努力の程度や成功の判断基準といっても、皆さんがもともと何を目的として取り組んできた副業なのかによって、その基準も個々に違ってきます。ということはつまり、この判断については、最終的には取り組んだ方の「価値観」によってでしか判断できないことなのだろうと思われます。

小さなメリットでもその喜びが大きい場合もあれば、結構良い稼ぎになったと人から思われても、自分ではまだまだ足りないしこれじゃ納得できない、と思う方も当然いらっしゃるわけです。

 

先にも挙げたように、ただ頑張るだけでは気持にゆとりが無くなる可能性もありますし、間違った思い込みにより、健全な思考回路にも異常をきたしてしまう恐れもあるのです。

もし、必死になっている自分に気がついたら、その時は是非数回深呼吸をして、そして自分の立ち位置を再度確認することをお勧めいたします。

 

・楽しむためには周囲の理解も必要

 

そもそも副業は、いろいろな制約の中で行うことを前提としておりますので、個々人それぞれの環境や、持っている資源によってもその制約は自ずと違ってきます。

その制約される条件の中で一番のネックになるのはやはり「時間」ではないでしょうか。

本業の傍ら行う副業にとって、その限られた時間をどれだけ有効に使うことができるのか、これが難しくも悩ましい問題なのです。これは、単にウィークデーの本業以外に余った時間ではなく、むしろ休日の時間をどれだけ副業に向けることができるのか、といった問題なのです。つまりこの問題は副業を行う者の「意志の強さ(これもやはり価値観の違いです)」という尺度で捉えることができます。

 

せっかくの休日、家族孝行もしなくてはならないし、若い方であればデートもしたいし、遊びたいし、いろいろな欲求がそこにあるわけですね。

そんな欲求をどこまで抑えながら取り組むことができるのか。時間が一番のネックと言ったのは実はこの欲求に使いたい時間をどこまで裂けるか、ということなのです。

 

と、ここまで書きますと、やはりプライベートも潰して取り組まなくてはならないのか~、とちょっと溜息をついた方もいるのではないでしょうか。でもご心配なく、そこまでの必要はありません。筆者が思う副業というのは、基本的に本業で得ることのできない、充実感や納得感を得ることです、そして結果として何がしかの報酬も得ることができる、このスタイルです。ですから決してプライベートの貴重な時間をやたらに割いたり、まして周囲の大切な人との関係まで犠牲にして行うようなことまで求めるものではありません。何故なら、しつこいようですがそこには「価値観」というベースがあるからなのです。

くれぐれも、仕業に没頭してしまい、家族や大切な人まで顧みなくなって、気がついたら、裸の王様ならぬ、一人ぼっちの副業家にならないようにお気をつけください。

 

「不言実行」「有言実行」という言葉がありますが、普段何かを決意した時に皆さんはどちらのタイプでしょう?

 

一般的にどちらが良いか、ということはこの場では触れませんが、皆さんが「副業」を行う際には、是非「有言実行」で臨んでほしいと思うのです。何故ならば、副業はあくまで自分の価値観で、追い求めたいもので、欲しているものです。

つまりは周囲の方には全く(と言っても良いと思います)関係のないことです。そのようなことをするわけですから、先ほども書いたように、当然時間を費やすことになりますから、日常的にプライベートの時間を共有する存在がいらっしゃる方は、その時間を副業に使うことを、使わざるを得ないことの了解を得ておく必要があるかと思うのです。そうしておけば、理解を得られるうえに、協力をも得られる可能性が大いにあると思いませんでしょうか。

さらに、応援者(支援者)がいると思うだけでも、強力な精神安定剤、カンフル剤になること間違いないのです。

 

目一杯に時間を使いたい思いはやまやまなのですが、人間は機械ではありませんからエアコンのタイマー設定みたいに、自動的にオン・オフなどできるはずもないわけです。当たり前のこととして、人間らしい生活を求めていく前提において取り組む副業でもあるのですから、その壁を無理に乗り越え、生きるための基本である健康な身体をも代償にする必要など全くの無意味なのです。もしも、この壁を乗り越えなければ先に進まないような業であるとしたら、それは副業としては失敗と判断すべきと思います。または、そこまでの決意があるとしたなら、むしろ本業でその力を発揮して、そちらの世界で活きるべきではないでしょうか。

 

自分や家族、周囲の大事な人間関係まで犠牲にしてまで、頑張る(頑張り過ぎる)ことはないのです。

「健康のためなら死んでもよい」というギャグトークを昔聞いたことがありますが、まさにそうならないような頑張り方が大事なのです。

 

「頑張る」とは、困難にめげないで我慢してやり抜く・・と解されています。

さて、読者の皆さんが求める副業とは、「我慢して」やることなのでしょうか?

 

バランスが崩れると、せっかく築いた努力の結晶も、長く維持できなくなります。

 

『砂上の楼閣』

 

 

つづく