●初めからカタチを求めるな
・最低の準備と見栄とを混同しない
「カタチから入る」 ということも、見方によってはとても大事なことであります。
カタチを作ることによって、意識の更なる高まりを感じるとか、世間に対するプロモーションの役割を果たすことができるとか、あるいは相手に対する安心感を与えることができる、といった様々な要素が考えられます。
ビジネスにおいては、やはり信頼感・安心感が一番重要なことになります。
とはいえ、あまりにもそれを求めるあまり、自分が実際できることの内容よりも、表面的な見てくれを追い求めてしまう、そんな失敗策をとる恐れが多分にあるのです。今時の言葉でいえば、見た目のハードばかりを作ってしまい、肝心要のソフトを蔑ろにしてしまう、ということになると思います。
実際具体的にはどんなことがあるかといいますと、代表的なものは固定費が一番かかるであろう、オフィスです。ビジネスを、と考えると大体の方は場所は?事務所は?となるのではないでしょうか。といっても通常のサラリーマンの皆さんにおかれては、一般的には会社の建物があってその中のオフィス、あるいは作業が必要な部門では工場、流通関係では大きな物流倉庫・システムなどを設置している建物の中で仕事をしています。故に、何か仕事をと考えた時には、必ず建物、つまり自分のいる場所の確保、といった思考になるのもごく自然なことなのです。
ですが、こと副業を行う場合には、その考えはまず初めは捨てる必要があります。
簡単に想像してみてください、事務所を借りました。そしたら机が必要になります、当然電話やファックス、来訪された方のためにはソファも必要になります。お茶やコーヒーも少なからず必要になるでしょう。そしたら、電気ポットや茶具・・・
結果的には、完全なオフィス機能を作り上げることになってしまいます。
さて、いったい費用はどのくらいかかるのでしょうか。
・カタチ作りで達成感の感受は禁物
先に述べたように、確かにカタチがあるのは、相手に対して安心感を与え、それなりの信頼感は得られるかもしれません。ただ、みなさんが行う副業そのものの全体像を考えた時に、果たしてそれが必要不可欠なものなのかどうかです。最低限必要なカタチではなく、むしろ見栄が作りだした「無用の長物」となる恐れ満載なのです。
本書ではネットビジネスには敢えて触れてはいませんが、ただツールとしてのインターネットは現代最大のツールでもありますから、インターネットの環境があるだけでも、多くの機能を果たすことができるはずなのです。初めのうちはコピーが必要ならコンビニで取ればいいし、ファックスができるコンビニも多くあります。
ひとまずは、そういった方法を活用して、初期投資を限りなく少なくして行う、これも副業を行う際には、重要なポイントになります。
そうはいっても、行うビジネスとしてその信憑性・信頼性がまずなくてはならない、例えば会社としての登記簿謄本が必要、あるいは何かの許認可事業をする場合など、会社(本店)の所在の確認がとる必要がある、というような場合には、最近都内などでは増えてきましたレンタルオフィスなどを考えるのも良いと思います。バーチャルオフィスはもちろん、電話やファックスなどの通信機器、そして電話の代行や郵便物の受け取りなどを行ってくれるところもあります。そして事業に必要な会社の住所(登記も含めて)を得られるオフィスもありますから、必要に応じてレンタルできますので、とても有効に利用できるはずです。
実際筆者も都内にあるレンタルオフィス(巻末参照)を借りていますので、例えば今回本書の執筆作業などで利用していますし、そこは会議室なども完備していますので、カウンセリングの実施や、セミナーの開催などでも利用させていただいております。
以上のように、誰しもそのビジネスとしての「カタチ」は欲しいものです。ですが、初期の段階においてはそこを求めず、いわゆるソフト面での有効性をどうやって打ち出していくのか、そこを中心に考えていくのが大前提です。
カタチを作るには、それ相当の費用や時間をも使うことになります。自分の部屋を決めて引っ越しをして、生活形態が無難に取れるようになるまでは、結構時間がかかることを、ご経験のある方は理解できると思います。場合によっては精魂尽き果てる、くらいの疲労感を味わうこともあるのです。
第三者が全て賄ってくれるのであれば、そんなこともないのかもしれませんが、こと副業に関しては初めから大っぴらにはしませんし、むしろ隠密的に動くことになります。ということは、殆どのことを自分一人で行うことになりますから、決して気楽なことではありません。そんな苦労の中でカタチ作りが終えた後に、熱い達成感を味わい、そして生気が抜けてしまってはそれこそ意味がないのです。
「カタチ」 は先々どうにでも作ることができる。
つづく