放火はなぜ殺人より罪が重い(重かった)のか | Sephiriaの独り言

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1ヶ月くらい前から目がかゆく、花粉症だと思って

放置してても全然良くならずに今に至るセフィリアです。


この前ですね、ドラゴン桜2を観てたんです。

そしたら放火は殺人と同等の罪だってことを言っている

シーンがあったわけです。

刑法が大好きだった私としては見逃せません。


とりあえず、まずはタイトルに書いてある放火と上の

放火は現住建造物等への放火という定義にしておきます。

建造物には家だけでなく電車や船も含まれます。


そしてもう1つの要素として、現住と非現住があります。

現住というのは現に人が住んでいるあるいは現に人が

使用していることを指し、非現住とは簡単には現住の

逆の意味を指します。

なので人が住んでいない、人が使用していないという

ことになります。


ところで、一般的な認識ってどうなんでしょうね。

放火と殺人、どっちが罪が重いと感じるでしょうか?

私は法学部で学んでしまっているため、世間一般の

感覚がもう分からないんです。


ちなみにタイトルに「罪が重い(重かった)」と書いた

ことには理由があります。

今の殺人罪の法で定められている刑の重さは、

死刑または無期懲役もしくは5年以上の懲役刑です。

そして現住建造物等放火罪(タイトルに書いてある放火)も

全く同じ刑の重さです。

死刑または無期懲役もしくは5年以上の懲役。


これが改正前の殺人罪は5年の部分が3年だったんです。

この法改正された年が2004年なので、私はちょうど

その頃モロに大学に在学していました。

そんなこんなで、実は殺人よりも放火の方が

実際に罪が重かったんです。


ではこれはなぜだということになるかもしれません。

そこを考えるキーとなるのが、非現住建造物への放火が

ポイントになってきます。


この建造物にはさらに、自分の物が他人の物かで

扱いが変わってきます。

他人のを燃やしたらそりゃ当然イカンわけです。

では自分の物だったら・・・?


現在建造物等放火罪は刑法108条に規定されていますが、

冒頭で説明した人が住んでいない、人が使っていない

場合の罪である非現住建造物等放火罪は109条に

規定されています。

おもしろいのはこの109条の2項なんです。

とりあえず109条の1項は非現住建造物等放火罪なので、

「現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない・・・」と

書かれています。

では2項はと言えば、「109条1項の物が自己の所有に

係るときは、(中略)ただし、公共の危険を生じなかった

ときは、罰しない」となっています。

「公共の危険を生じなかったとき」とはなんぞ。

簡単に言えば周囲に一切の危険がなかったときと

言い換えることができます。

自分の物かつ周囲に危険性がなかった場合は

処罰

されないのです。

極論ですが、自分の私有地の中にデカイ池があり、

その池の中心くらいに陸地があり、その陸地には

電気も通らないただの使っていない自分の倉庫が

あって、それを燃やすとかですかね。


つまり放火とは端的に、周囲への危険性を考慮した結果、

殺人よりも罪が重かった(過去の話)ことになります。


どうでも良い話しですが、自分の家でも差し押さえとか

されていた場合は除きます。




昔から地震、カミナリ、火事、オヤジと言われて

いますが、火事は本当に危ないんです。

日本の場合、特に民家と言えば木造で、土地も

日本は広くないため、隣の家とのスペースもそれほど

広くはありません。

なので、ひとたび火を放てば、木造故に延焼し、

被害が非常に拡大しやすく、隣の家などに燃え移り、

それが広範囲に広がれば、関係のない多くの人命が

奪われる可能性がかなり高いということで、殺人と

同等の罪の扱いになっているのです。